究極のフレグランスガイド!各ブランドの聖典ページ一覧にすすむ

マティルデ・ビジャウイ 調香界のスパイスガール

調香界のスーパースター達
調香界のスーパースター達
この記事は約6分で読めます。
当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

マティルデ・ビジャウイ

Mathilde Bijaoui 1980年、フランス生まれ。13歳の頃から調香師になりたい考えイジプカで学び、IFFの研修で知り合ったローラン・ブリュイエールに師事。2004年に、クリスティーヌ・ナジェルが在籍していたMANE社に入社し、今に至る。

2007年からは、先輩の調香師カリン・デュブルイユ・セレーニのパートナーとしてロジェ・ガレやロクシタンの香りを調香する。2016年よりジョー・マローン・ロンドンの調香も担当するようになる。

代表作

ジャスミン サンバック & マリーゴールド コロン インテンス(ジョー・マローン・ロンドン)
フィグリーフパフューム ウォーター(ロジェ・ガレ)
ベルベット オリエンタル ムスク(ドルチェ&ガッバーナ)
ミルラ & トンカ コロン インテンス(ジョー・マローン・ロンドン)
ライク ディス こんなふうに(エタ リーブル ド オランジェ)
リリー&スパイス(ペンハリガン)

マティルデ・ビジャウイの全ての香水一覧

スポンサーリンク

1980年生まれのジョー・マローンの美人調香師


現在、日本のジョー・マローン・ロンドンでは、調香師についての説明をお客様にしてはいけないようになっています。しかし、フレグランスをコンバイニングする時に、誰が調香したかを知ることは、コンバイニングの相性を楽しむためにマストなことだと私は考えます。考えても見てください、作曲家を知らずに、クラシック音楽を楽しめるのでしょうか?

専属調香師(インハウス・パフューマー)という存在により、調香師に対する敬意をしっかりと示すラグジュアリー・ブランドが存在する一方で、ジョー・マローン・ロンドンの調香師に対する姿勢は議論の余地があると思います。香りに対する思いを知るためには、調香師が誰であるかということはとても重要な要素なのです。お客様のフレグランスIQは年々上がっています。そして、今では、香りは、ブランドが作るのではなく、ブランドイメージにのっとり、クリエイティブ・ディレクターが調香師を雇い、創造しているということをご存知なのです。

この香水は、合成香料を一切使っていない100%天然香料の香水です」という天然詐欺(こういったケースは、販売員も何も知らない天然が多い)とでも申しましょうか、そういった販売方法に引っかかるお客様も年々減少の一途を辿りつつあるのです。

そんなジョー・マローン・ロンドンにおいて、最高峰のメンズ・フレグランスと言えるのが、ミルラ & トンカ コロン インテンスです。この香りは、まさに神の調香の領域に達している香りであり、ファッション感度高めの30代から50代の男性(つまりはセレクトショップのベテラン販売員のような)が身に纏えば、圧倒的な存在感を示すことが出来るジョー・マローンらしからぬ、トム・フォードやペンハリガンのような、さらにその中でも一段優れた香りなのです。その香りを調香したのが、1980年生まれの美人調香師マティルデ・ビジャウイなのです。

女性でありながら男性のダンディズムを知る女性であり、そんな彼女は、スパイス使いの独特さから、調香師界において、「スパイスガール」と呼ばれているのです。間違いなくこれからのフレグランス界を牽引していくであろう女性です。

それでは、フレグランスを愛する皆様。以下の記事をお読みになっても、調香師について知ることは、香りに対する興味を深める原動力になりえないかどうかを是非考えてみてください。

スポンサーリンク

調香師も革ジャンを着る時代なんです!


マティルデ・ビジャウイは、1980年に地中海に面した南仏で生まれました。元々、テレビ局でサウンドミキサーとして働いていた父親は、祖父母のオリーブ畑を引き継ぎ、オリーブオイル・ビジネスで成功を収めました。そんな両親の下でマティルデは何不自由なく育ちます。

好奇心旺盛な彼女は、オリーブ畑の香りに触れ合ううちに、13歳の頃からはっきりと調香師になりたいと確信します。そして、祖母にお願いし、ベルサイユのオスモテーク(香水図書館)を訪れ、その気持ちを確固としたものにしました。やがて、時は経ち、高校卒業後、サマーインターンシップで、アニック・グタールの調香師の一人でもあるイザベル・ドワイヤンから調香について学びます。

そして、13歳の頃から目指していたイジプカ(ISIPCA)で本格的に調香を学びました。それと同時に2年間IFFで研修を受けていたマティルデは、3年目には、午前中のみ授業に参加し、アントワン・リーから本格的なトレーニングを受けることになります。更に、IFFの研修で知り合ったローラン・ブリュイエールからも大いなる影響を受けたと彼女自身回想しています(彼はその数年後の2008年に43歳の若さで死去します)。

マティルデはこのままIFFに入社するのだと思われていたのですが、クリスティーヌ・ナジェルなどが在籍しておりウーマンパワーが台頭していたMANE社(ヴェ・マン・フィス香料)に、2004年に、24歳で入社しました。以後、今に至るまで彼女はここで香りを生み出すことになるのです。

スポンサーリンク

誰よりもスパイスに恋してる調香師


MANE社とは、ジャングルエッセンスと呼ばれる抽出法で、今まで抽出できなかったイチジクとキャビアなどの香りを抽出した香料会社です。マティルデはそのジャングルエッセンスを駆使する術を探求しながら、2007年からは、先輩の調香師カリン・デュブルイユ・セレーニのパートナーとしてロジェ・ガレやロクシタンの香りを調香することになります。

彼女が最も崇拝する香りは、ジャン=クロード・エレナによるカルティエの「デクラレーション」です。そこには彼女が愛する香料である、カルダモン、シダーウッド、ティーが効果的に調香されているからです。

基本的にプルメリアなどのエキゾチックなフローラルの香りを愛する彼女は、単独で強い香りを発する香料をシンプルに調香するスタイルを好んでいます。中でも彼女のハイライトは、ティルダ・ウィンストンの香りを作り上げた、エタ リーブル ド オランジェの「ライク ディス」でしょう。

「私は、レースを編むように丁寧にそれぞれの香りを編み上げていくスタイルなのです」という彼女の香りには、その人柄を反映した、牧歌的で、温かいムードが存在しています。そして、それはどこはかとなく懐かしさを感じさせてくれる「ふるさと=故郷」の香りとも言えるのです。

そして、そのスタイルの総決算として発表されたのが、2018年にジョー・マローン・ロンドンのフレグランス・ディレクターであるセリーヌ・ルーと共に生み出した「イングリッシュ フィールズ コレクション」だったのです。そして、この限定コレクションから、「ポピー&バーリー コロン」は2019年9月よりレギュラー販売されることになったのでした。