マレーネ・ディートリッヒ

マレーネ・ディートリッヒ1 『モロッコ』1(2ページ)

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マレーネ・ディートリッヒの「100万ドルの美脚」

Marlene Dietrich and Gary Cooper Morocco - (1930)

Marlene Dietrich and Gary Cooper Morocco(1930)

マレーネ・ディートリッヒの神話性を高めるひとつの要素として存在するのが、この『100万ドルの美脚』です。スタンバーグは、虚無的な表情に、だらしなく伸ばしたり曲げたりした脚というアンバランスなバランスに、男性が惹きつけられることを知っていました。氷のような美貌を持つ女性が、少女のようにだらしない姿勢をするところにデカダンスの美があるということです。

時計のようにマワる美脚は、男の時計を忘れさせる〟『モロッコ』では、ハリウッド進出第一弾として、本格的にマレーネの〝美脚〟を人々の脳裏から消し去れないほどの刻印として刻み込んでやろうと決心していました。しかし、この美脚を演出するために3つの障害があったのです。

  1. マレーネは身長165cmに対して、当時体重が55Kgありました。つまり少しぽっちゃりしていたのです。
  2. しかも、かなりの猫背。
  3. 足は、膝下は美しいが、太ももは太めでした。

マレーネは、ハリウッドで他の女優たちを見てすっかり自身を失っていました。「私は太りすぎだ」と絶望していました。そこで、思い切って、黒を着たいとスタンバーグに要求しました。白黒映画で黒を撮影することはとてつもない労力を要します。しかし、マレーネは少しでも自分を痩せて見せたかった。〝カメラのダ・ヴィンチ〟スタンバーグは、その時ひらめいたのでした。すぐに脚を見せずに、全く露出しない黒ずくめの衣装を着せて観客の期待を煽ろう。そして、その後に美脚を露出した衣装にチェンジして、光り輝かんばかりの美脚を光と影を駆使して作り上げてみようと決心したのでした。

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美は常にコンプレックスから生み出される

Morocco2

Gary Cooper & Marlene Dietrich -Publicity shot for “Morocco” 1930

マレーネ・ディートリッヒは、額が広く、自身でも「髪のせいで、私はいつも絶望的な気分になった」というほどやわらか過ぎる髪質を持ち、まとまりが悪かった。ふっくらとした丸顔の頬にくぼみを作るために奥歯を抜いたという伝説も存在したが、マレーネ本人がそれは否定している。ちなみに松田優作はその伝説を信じて『野獣死すべし』(1980年)の撮影にあたって、奥歯を4本抜き、頬にくぼみを作った。

真実はどうであれ、伝説は、それが例え偽りであっても魅力的なものだ。実際のマレーネのくぼみは、スタンバーグによって、スポットライトを上から照らし作り上げられた。さて、ドイツからやって来たマレーネが、ファッション・アイコンになるための同志をここにもう一人紹介しなければなりません。第三の男です。この三位一体となった共同作業がファッションの歴史に革命をもたらしました。

「媚びない女性の魅力」を示すために、女性らしさと最もかけ離れた装いで、(100万ドルの美脚を期待していた)観客の期待を裏切ること。友人のココ・シャネルが言いました。「男は苦労させられた女のことは、決して忘れない」。マレーネは、この言葉から感化を受けました。そして、マレーネは、実行しました。ただ美脚だけを売りにすることなく、2作目にして、ヴァージョン2の新たな自分を見せることに。そう、変化してこそのスターであり、ファム・ファタールなのであると、世界中の女性に示すために。この時代のスターは、スケールが果てしなく大きかったように感じます。今のスターの証が、テレビCMで化粧品を売りつけることであるならば、マレーネ・ディートリッヒの活躍した時代のスターの証は、スクリーンでその存在をしめすことでした。

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