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【ル ラボ】リメット37 サンフランシスコ(フランク・フォルクル)

ルラボ
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リメット37 サンフランシスコ

【特別監修】Le Chercheur de Parfum様

原名:Limette 37 San Francisco
種類:オード・パルファム
ブランド:ル ラボ
調香師:フランク・フォルクル
発表年:2013年
対象性別:ユニセックス
価格:1.5ml/1,850円、15ml/20,900円、50ml/45,100円、100ml/69,850円
公式ホームページ:ルラボ

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開放感に充ちた西海岸の休日の香り

ジェンダーレスではあるが、セックスに満ちた香りを創造したかった。

ファブリス・ペノ

ルラボが出店している都市ごとの限定の香り「シティ エクスクルーシブ コレクション」。その中のひとつとして2013年に発売されたサンフランシスコ限定の香りが「リメット37」です。フランク・フォルクルにより調香されました。

「リメット」とは、フランス語でライムの意味です。

サンフランシスコと言えば、ゴールデンゲートブリッジ(金門橋)、アルカトラズ島、フィッシャーマンズワーフ、ヘイト・アシュベリーです。そんな名所の真ん中に聳え立つようなアップダウンの激しい街並みを、ライムとジャスミンの香りの変化で表現した香りです。

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サンフランシスコの香りがなぜ「ライム」なのでしょうか?


最初に、サンフランシスコの香りがなぜ「リメット=ライム」なのかを考察してみましょう。まず前提として、ルラボは〝最も高い割合で使われた香料〟を香水名にしているという点を理解しておかなければなりません。

ライムの香りからサンフランシスコをイメージする人は少ないかもしれませんが、実はサンフランシスコは、アメリカ西海岸のカリフォルニア州北部に位置する都市であり、属するサンフランシスコ・ベイエリアはフィンガーライムの一大生産地なのです。

オーストラリア原産のフィンガーライムは、別名キャビアライムとも呼ばれ、切断すれば、プチプチの粒が出てくる普通のライムとは少し異なる面白いフルーツです。

ちなみに、世界的に有名なトミーズマルガリータというカクテルを生み出した〝Tommy’s〟というメキシコ料理店はサンフランシスコにあり、生のフレッシュなライムが売りです。

サンフランシスコの環境にもライムはマッチします。サンフランシスコは湿度がほぼなく、年中、ドライで涼しいので、この気持ち良さを最大限に味わうには重い香りではなく、シトラスの香りが最適です。沖縄はシークヮーサーが有名ですが、それに近い感覚です。

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サンフランシスコの坂道を香りで感じましょう。


もぎたてのベルガモットの香りがどこからともなく鼻腔に飛び込んできます。そんな、ふいに現れた香りに導かれる、懐かしさと新鮮さを呼び覚ます活気のある柑橘の香りからはじまります。プチグレンはおもむろにグリーンではなく、陽光のようなきらめきを感じさせてくれます。

すぐに透き通るようにスパークリングするビターなライム(の皮)が広がり、そこに甘いジャスミンが注ぎ込まれてゆきます。それはまるで急降下するライムと滑らかなジャスミンが決してブレンドされることなく、ベルガモットとプチグレンの坂道を下っていくようです。

そんな陽のあたる坂道を下る中、ふと空を見上げると、申し分のないカリフォルニアの青い空が広がっているように、ムスクが空から舞い降りてくるのです。そこにクローブとベチバーが加わり、ジャスミンはメランコリーな詩を歌いはじめます。

ビターグリーンの閃光を放つライムと、甘やかに誘うフローラルの香りを放つジャスミンのバランスが、時に絶妙、時に崩れている、まさに坂道を心地よく下りつつも、時に、駆け下りるような感覚に包まれます。

何よりも、眼下に海が見えた瞬間、否応なしに心が揺れるときめきを、スパイシーでクリーミーな甘さを持つトンカビーンに託しているところがこの香りの美しさなのです。

遠くに見えるアルカトラズ島に心踊らせながら、やがて、耳に聞こえるフィッシャーマンズワーフの喧騒とカニが茹でられた匂いに到達し、すべては温かい余韻に包まれてゆくのです(ただしカニの茹でた香りは感じられないのでご安心を)。

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ゴールデンゲートブリッジの香り


この香りには「ローラーコースターのような香り」というテーマもあるのですが、それは冷たさと温かみを感じさせる激しい香りの変化ではなく、優しく光に包まれた(眠気を誘う子守唄のような)香りの変化を感じさせてくれます。

まるでゴールデンゲートブリッジの前の、芝生が敷き詰められた広場で、のんびりうたた寝をしているあなたが、寝落ちする瞬間の爽やかなジャスミンの香りとも言えます。

ディオールの「オー ソバージュ」やクリードの「ヴァージン アイランド ウォーター」ともよく比較される香りです。

フィルモア・ストリートにあるルラボのブティックと、バーニーズ・ニューヨークのサンフランシスコ店にて発売されています。

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「リメット37」のトンカビーン

©LE LABO

シトラス系の香りとしてベルガモット・ライム・ジャスミンの組み合わせは、決して珍しいものではありませんが、そこにトンカビーンが存在することがこの香りを稀有なものにしているポイントです。

トンカ25」のように、強く他を制するほどにトンカビーンの香りは感じませんが、フゼアのような使われ方をしています。ちなみにゲランの「ジッキー」はライムは使っていませんが、ベルガモット・ジャスミン・トンカビーン(クマリン)を使用しています。

もちろん「リメット37」を嗅いでフゼアだと感じる人はいないでしょう。しかし、ライムの苦味とジャスミンのフローラル感、後を引くホワイトムスクが、フゼアではなく、性別を感じさせないルラボ感を生み出しているのではないでしょうか。

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ジョー・マローンなど、色々な香りと比較してみたくなる香り

©Jo Malone London

「リメット37」は、色々なライムの香りと比較したくなるほど素敵な香りです。たとえばジョー・マローンが実際に調香したジョー・マローン・ロンドンの「ライム バジル & マンダリン コロン」と比較してみると、こちらはよりグリーン感とフローラル感があります。

一方、フレデリック・マルの「アウトレイジャス」はカイピリーニャをイメージして作り出された香りなのですが、こちらはよりライムが強く、フルーティです。

さらにゲランの「ゲラン オム」と比較すると、こちらはミントが入っているのでよりすっきりとしています。つまり「リメット37」は、ライムのため、かなり苦味を感じるシトラスなのです。

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最後に、ルラボの他のシトラスの香りとの比較

©LE LABO

最後に、ルラボの他のシトラスの香りと比較してみましょう。同じシティエクスクルーシブの「シトロン28」と比較すると、こちらはレモンなので、苦味よりも酸味を強く感じます。

一方、「ビガラード18」と比較すると、こちらはビターオレンジのため、フルーツの甘みとネロリのフローラルを強く感じます。

通常のラインであれば、「ベルガモット 22」と比較してみたくなります。こちらにはライムの酸味やサワー感はありませんが、皮の苦味を感じます。「リメット37」の方がラストノートがまろやかでムスクを強く感じます。

このように振り返ってみると、ルラボはかなり満遍なくシトラスの香りを出していることが分かります。しかも面白いのは、男性らしさ・女性らしさというのを感じさせるシトラスが無い点です。だからこそ、一見同じような香りに見えて、身にまとうと他のブランドのシトラスとまったく違う感覚を与えてくれるのでしょう。

この良い意味で主張がないところが、日本人の琴線に触れるのかもしれません。

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香水データ

香水名:リメット37 サンフランシスコ
原名:Limette 37 San Francisco
種類:オード・パルファム
ブランド:ル ラボ
調香師:フランク・フォルクル
発表年:2013年
対象性別:ユニセックス
価格:1.5ml/1,850円、15ml/20,900円、50ml/45,100円、100ml/69,850円
公式ホームページ:ルラボ


シングルノート:ライム、ベルガモット、ジャスミン、プチグレイン、クローブ、ベチバー、トンカビーン、ムスク