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【ル ラボ】イラン49(フランク・フォルクル)

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イラン49

原名:Ylang 49
種類:オード・パルファム
ブランド:ル ラボ
調香師:フランク・フォルクル
発表年:2013年
対象性別:女性
価格:1.5ml/990円、15ml/13,200円、50ml/29,700円、100ml/42,900円
公式ホームページ:ル ラボ

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ロゼワインに浸したイランイランのフローラルシプレ

©LE LABO

この香りのインスピレーションは、エレベーターの中だった。ある女性と一緒にエレベーターに乗ったんだけど、彼女は古いシプレー系の香水をつけていた。パチョリ、ローズ、オークモスの香りが空気に混じり、彼女の髪についた冷たいタバコの香りが死ぬほど心地よかった…。優雅で美しい瞬間だった。

その瞬間に唯一必要なのは、この瞬間の官能性を耐え難いものにするインドリック・フローラルの効果だと思った。それが、この香りで再現しようとしたことです。

ファブリース・ペノー

2006年3月に発表された10の香水と共に、ル ラボの歴史は始まりました。そして2010年に「ウード27」が誕生し、2011年に「サンタル33」が誕生しました。この香りの登場により、ル ラボは、ニューヨークを中心に世界中のファッショニスタの心を掴むきっかけになりました。

そして、ル ラボ旋風の中、2013年に「イラン49」が「リス41」と共に発売されました。「イラン49」は、フランク・フォルクルにより調香されました。「イラン49」の「49」とは、49種の香料により生み出されたという意味を持ちます。

プアノアノア(=ティアレ)と呼ばれるタヒチ産のガーデニアがイランイランの官能性を引き立てていく、フローラルシプレの香りです。海外の公式サイトの説明文の最後の一文がとても興味深いです。

「イラン49」は、森の中を散歩し、五彩にきらめく花のブーケを手に、グレン・グールドによるJ.S. バッハの平均律クラヴィーアを聴きながら、ニ短調のフーガがニ短調を遥かに超えるのと同じように、花の作曲も花を超えることができるのだと気づくようなものだ。
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ロマンチックなムードと歩調を合わせるようにあなたの素肌で香り立つ

©LE LABO

©LE LABO

私が調香したフレグランスのすべてに、少なくともひとつかふたつのフィルメニッヒの「キャプティブ(captive molecules)」を使用しています。

フランク・フォルクル

「サンタル33」で世界中のファッショニスタを虜にしたフランク・フォルクルが、21世紀の究極の〝ファッション・フレグランス〟を生み出そうとしたのがこの香り「イラン49」です。

ちなみにフォルクルの妻はタヒチ出身であり、毎年里帰りするので、彼はトロピカル・フラワーに対する並々ならぬ愛着があるという。そんな彼がイランイランという、他の花々の香りの引き立て役にずっと徹してきた名脇役である黄色い熱帯の花に脚光を当てました。

はじまりから終わりまで、ファッションが持つロマンチックなムードと歩調を合わせているこの香りは、とてもエレガントで情熱的で、そして残酷な栄光と転落の空気が流れています。頂点にのぼりつめた後、待ち構える転落を予感させる香り。でありながら、人々を魅了させずにはおれない成功の甘い匂いがこの香りに、崇高な精神性を与えています。

黄金の輝きでも、太陽の輝きでもない、女性の素肌をもっとも美しく輝かせるライティング(人工照明)のようなスパイシーなイランイランが、レフ板の役割を果たすフルーティなパチョリとフレッシュグリーンに苔むすオークモス、ベチバーの助けを借り、生き生きとふくよかな光を満ち広がらせていくように香り立ちます。

このイランイランの香りがとても変わっているのは、熟したバナナのような香りではなく、1940年~50年代のハリウッド・グラマーを思わせる(赤ワインのように)ドライでレザーな側面を持ち合わせているところです。

はじまりからエレガントなフローラルシプレが、女性の肌のぬくもりに溶け込んでゆきます。すぐにタヒチ産のガーデニアが共に咲きはじめ、うつくしく磨き上げられた素肌を、滑らかなシルクのイブニングドレスが包み込んでいくように、イランイランのきらめく香りのオーラを解き放たれてゆきます。

やがて、クリーミーなサンダルウッドとベンゾインが、地上の星々が煌めく夜のイベントに向けて、最高の自分を引き出してくれるように、とろけるようなつけ心地ですべてをひとまとめに引き伸ばしてゆきます。

そんな自分自身もうっとりとしてしまう、ミステリアスでフルーティなイランイラン×パチョリ、そしてロゼワインのようなアクセントが、生み出す至福のムードで満たされていくのです。

クラシックなシプレの定義とも言える、ベルガモットが生み出す酸味と、ラブダナムが生み出す甘み、オークモスが生み出す塩っ気と苦みの絶妙なバランスを、21世紀のシプレの主流となっているピンクの花々にパチョリやベチバーを配し生み出していく。そんなモダンシプレとは全く違うイメージでアップデイトした、今まで明らかにされることはなかったイランイランの持つ光と闇の魅力を世に示したフローラルシプレの傑作です。

最後に、この香りのもうひとつの忘れてはならない魅力をお伝えさせて下さい。それは30%の賦香率(香料の濃度)というパルファンの濃度の越えたエクストレ・ドゥ・パルファンであるということです。

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香水データ

香水名:イラン49
原名:Ylang 49
種類:オード・パルファム
ブランド:ル ラボ
調香師:フランク・フォルクル
発表年:2013年
対象性別:女性
価格:1.5ml/990円、15ml/13,200円、50ml/29,700円、100ml/42,900円
公式ホームページ:ル ラボ


シングルノート:イランイラン、パチョリ、オークモス、タヒチアン・ガーデニア、ベチバー、ベンゾイン、サンダルウッド