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【ペンハリガン】リリー オブ ザ バレー(マイケル・ピクタール)

ペンハリガン
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リリー オブ ザ バレー

原名:Lily of the Valley
種類:オード・トワレ
ブランド:ペンハリガン
調香師:マイケル・ピクタール
発表年:1976年
対象性別:女性
価格:100ml/22,550円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム

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感想(9件)

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「薔薇のようなかわいいスズランの香り」

1956年4月19日のグレース・ケリーのロイヤルウエディング。

私がもっとも愛する薔薇のようなかわいいスズランの香りです。

フレデリック・マル

1950年代を代表するハリウッド女優であるグレース・ケリー(1929-1982)がモナコ王妃として、1956年4月19日に、ロイヤルウエディングを挙げた時に持っていたウエディングブーケはスズランでした。

イブがエデンの園から追放された時に、流した涙から生まれたと言われるスズラン。この花に「永遠の愛」と〝ブランドの復興〟の願いを託し、1975年に復活したペンハリガンから、クリエイティブ・ディレクターに起用されたシーラ・ピクルスが、1976年に生み出したのが「リリー オブ ザ バレー」です。マイケル・ピクタールにより調香されました。

ちなみにシーラは、1989年に「The Language of Flowers: Penhaligon’s Scented Treasury of Verse and Prose」という本を出し、200万部の世界的なベストセラーとなりました。

第二次世界大戦後、ペンハリガンは、ゆっくりと衰退の道を歩みつつありました。その流れを止めたのが、イタリア人映画監督兼オペラ演出家であるフランコ・ゼフィレッリのでした。1975年に、彼はペンハリガンを買収し、シーラに全権を委ねたのでした。

超音速旅客機のコンコルドがイギリスとフランスを空で結びつけた年に生み出されたこの香りは、今では、ディオールの「ディオリシモ」と並ぶ〝スズランのものがたりの伝承者〟とでも呼ぶべき〝永遠のクラシック〟とされています。

長い年月をかけて愛されてきたスズランの香りを、私たちの肌の上で伝承する喜び。それもまた香りの楽しみ方のひとつと言えます。まさに〝永遠のスズラン〟を愛する喜びなのです。

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肌の上で感じる、スズランの清らかで軽やかな歌声

©Penhaligon’s

スズランが「幸せの再来」を象徴するのは、想像を絶するほど甘い花だからです。その可憐な白い鈴と紛れもない緑の香りは、ナイチンゲールを巣から誘い出し、仲間のもとへ導くという言い伝えがあるほどです。

メーデーのシンボルであり、聖母マリアが十字架で流した涙から育ったことから、〝聖母の涙〟と呼ばれていました。修道士が祭壇を飾るために好んで育てた花で、小さなフラワーベルが茎の上に階段状に伸びていくことから、〝天国への梯子〟と呼ばれていました。

シーラ・ピクルス「The Language of Flowers」

触れるとこぼれて落ちそうな、スズランの鈴のような花びらを想わせるアマルフィ・レモンとベルガモットが、清らかな音色を響かせるようにしてこの香りははじまります。

春の訪れを告げようとしているのですが、お世辞にも〝きらめく春の訪れ〟とは思えない温かな鈍さがそこにはあります。そんな中、緑の妖精が到着するのです。ゼラニウムにより、キリっとフレッシュグリーンに引き締まった瞬間…透き通るように白い鈴の音がかき鳴らされるのです。

爽やかなスズランとローズに、クリーミーなイランイランとジャスミンが、それぞれの甘さをフローラルブーケのように溶け合わせてゆくのです。そんなブーケの中央にはスズランが定位置を保っています。そして、それを持つ花嫁を優しく支えるように、まるで新郎のようなオークモスとサンダルウッドが現れるのです。

スズランの凛とした横顔から、天使のような優しい微笑み、そして、歓喜の涙まで、その花の持つしあわせな側面を捉えた、明るいスズランの無垢で軽やかな歌声に包まれてゆくのです。

この香りの素晴らしさは、生まれた時から、あなたを祝福しているような、つまり、いつもそばにいてくれたかのような心が落ち着く響きを与えてくれるところにあります。

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今は亡きダイアナ妃がもっとも愛したスズランの香り

ダイアナ元妃のロイヤルウエディング。Anwar Hussein/Getty Images


〝永遠のエレガンス〟が凝縮されたエリクサー。それは、過去から現代へと繋ぐ、女性に魔法のようなオーラを与えてくれる液体です。その人が部屋に入ると、人々が静寂し、羨望の眼差しで一挙手一投足を見守る…その人にあなたがなる香りなのです。

ちなみに1981年7月29日に、ダイアナ元妃がロイヤルウエディングで使用していた香りはディオールの「ディオリシモ」だったのですが、プライベートで最も使用頻度が高かったのは、ペンハリガンの「ブルーベル」とこの香りだったと言われています。

ミュゲ(スズラン)からは精油がとれない(量が少なく安定しない)。そのすばらしい香気の元となる芳香成分が精油に含まれるのかどうかも、はっきりしていない。

ミュゲはプロコフィエフの『ピーターと狼』を香りで表したようなものだ。青々しくて軽く、ローズのようにフレッシュなノートを通して、肺もふくらむ浮かれ騒ぎだ。

こんなに世界中で愛される香りは、ほかにはバニラしか思いつかない。だが、これが仇になった。最高のミュゲの原料はアルデハイドとアルコール類を含むもので、前者はパンチ、後者は石鹸のようなフレッシュさを与える。このハイドロキシアルデヒド(ヒドロキシシトロネラール)は非常にパワフルだ。そして人気のある香りのため、たくさんの人に大量に使われた結果、アレルギーを作り出してしまい、両方とも使用を規制されてしまった。

ルカ・トゥリン『世界香水ガイド』より抜粋

ちなみにルカ・トゥリンはこの香りを「青々しいハニーサックルの香り」と表現しています。

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香水データ

香水名:リリー オブ ザ バレー
原名:Lily of the Valley
種類:オード・トワレ
ブランド:ペンハリガン
調香師:マイケル・ピクタール
発表年:1976年
対象性別:女性
価格:100ml/22,550円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム


トップノート:ベルガモット、アマルフィ・レモン、ゼラニウム
ミドルノート:スズラン、ブルガリアン・ローズ、イランイラン、ジャスミン
ラストノート:サンダルウッド、オークモス

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