ジャンヌ・モロー

ジャンヌ・モロー2 『エヴァの匂い』2(3ページ)

    作品名:エヴァの匂い Eva (1962)
    監督:ジョセフ・ロージー
    衣装:ピエール・カルダン
    出演者:ジャンヌ・モロー/スタンリー・ベイカー/ヴィルナ・リージ



    男性よりも、女性にとって崇拝の対象になり得る人。



    エヴァ・ルック6 ギリシャ・ルック
    • 白のケープ
    • ノースリーブの白ドレス

    「世界中で一番好きなものは?」「ラルジャン(お金)」「(男の次に)一番嫌いなものは?」「年取った女!」

    エヴァとティヴィアンの会話より

    セックスの果てに身体を起こしたティヴィアン。エヴァはその美しい足の甲で彼の顎をちょんちょんとノックする。その時のティヴィアンの表情がエヴァに対する想いを全て物語っています。あの失われた少年時代に立ち戻ったかのような表情。それよりも何よりも、もっと単純に物事を考えてみよう。スマホをいじくって男を虜にする悪女よりも、オレンジをかじりながらビリー・ホリディの自伝を歩き読みする悪女の方が、遥かに洗練されて見えます。そして、ハイヒールで男を誘惑するよりも、素足の甲で男を油断させる女のほうが、なるほど恐ろしいわけです。

    <本当にいい女にだけ許されるモテムーブ>とでも言いましょうか。足が長くて綺麗だからというテンションではなく、男性の顎を足の甲で撫でるタイミングを知る女性は、とてつもない魅力に身を包んでいる女性なのです。本質的に魅力的な女性とは、容姿以上に男性にパンチを叩き込むタイミングの上手いボクサーのことを指し、エヴァにはその要素が少なからずあります(フランソワ・トリュフォーは娘の一人の名前をこの作品から取ってエヴァと名づけたのでした)。



    ビリー・ホリデイの「柳よ泣いておくれ」

    ビリー・ホリデイのレコード・ジャケットを持つエヴァ。


    エヴァ・ルック7 レインコート・ルック
    • ドット柄のボックスシルエットのレインコート
    • レインブーツ
    • カチューシャ
    • ビリー・ホリデイ自伝「Lady Sings the Blues」(1956)の本とオレンジ
    • シースルートートバッグ

    監督は、女優のことをいろいろ知っていて、とてもよく見ているわ。彼女のなかに隠された人格の源を理解しなければならないのよ。優れた監督なら、女優を最大限に生かそうとするはずよ。女優に魅了されれば、必然的に一種の〝恋愛〟関係が生まれるものよ。・・・女優である私にとって、映画作りは一つの愛の形なの。

    ジャンヌ・モロー

    ルイ・マル監督・ジャンヌ・モロー主演の『恋人たち』(1958)を見てジョセフ・ロージー(1909-1984)は、フランス映画に夢中になりました。1953年にハリウッドの赤狩りから逃れイギリスに亡命したロージー。ハーバード大学卒の彼は、1935年にソ連を訪れ、ロシアの舞台の勉強をするほど、物事の本質を突き詰めるためには行動あるのみの人でした。そして、モスクワでは『戦艦ポチョムキン』(1925)の監督セルゲイ・エイゼンシュテインから映像について学びました。1946年には共産党に入党しており、赤狩りが始まるとすぐにブラックリストに載るようになりました。「私は恐怖心からアメリカを去ったのではなく、何ヶ月も仕事が出来ない環境に追い込まれたから去ったまでだ」という言葉こそ彼の性格の強さを示しています。

    スタンリー・ベイカーは言い切ります。「彼が一番私を芝居に没頭させ、いい部分を引き出してくれる監督である。即座にすべてを投げ出せる相手は世界でロージーただ一人」。そして、ダーク・ボガードやアラン・ドロンにとってもロージーは特別な監督でした。そんな彼がジャンヌ・モローを撮影したいと望み、彼女の滞在するブルターニュを訪れたのでした。そして、暖炉のある小さな部屋で、山と積まれたビリー・ホリデイのレコードに囲まれて座っているジャンヌを見たのでした。

    好奇心と行動力が人一倍多いロージーは、ジャズに対しても興味を持ち、ビリー・ホリデイ(1915-1959)が16歳のころから交友関係がありました。同じ歌手をこよなく愛する二人の共通点以上に驚かされたのは、ジャンヌがビリー・ホリデイの同じアルバムを30枚以上持っていたことでした。「なぜ同じアルバムをそんなに持っているのですか?」と聞いたときの答えは「投げて割ったり、プレイヤーごと持ち運んでどこかに無くすので、そのためのストックよ」でした。この初対面の時に流れていた曲こそが、本作中に流れるビリー・ホリデイの「柳よ泣いておくれ」だったのです。



    ページ:

    1

    2 3

    関連記事

    1. アンナ・カリーナ1 『気狂いピエロ』1(3ページ)
    2. 2018年春夏おすすめラグジュアリーバッグPART6<シャネル>…
    3. カトリーヌ・ドヌーヴ7/リュディヴィーヌ・サニエ 『8人の女たち…
    4. エヴァ・オーリン1 『キャンディ』1(2ページ)
    5. ジェーン・ラッセル2 『紳士は金髪がお好き』6(3ページ)
    6. アニー・デュプレー1 『薔薇のスタビスキー』1(2ページ)
    7. ヴィヴィアン・リー1 『風と共に去りぬ』1
    8. オルガ・キュリレンコ1 『007 慰めの報酬』3(2ページ)

    このページに関連した記事一覧

    女性目線の男磨き

    PAGE TOP