大変身を遂げるオーギュスティーヌ

最後に美しく変身したオーギュスティーヌが登場します。

そして、ドレスに着られてる感がハンパありません。

ここで、洗練よりも、違和感を生み出すようにオゾンは演出しています。

40~50年代のハリウッド・シルエット。
イザベル・ユペール・ルック3 シャンパンドレス
- メタルブルーのオフショルダーカクテルドレス、パネルスカート
- ファーケープ
- ハイヒールパンプス
ダグラス・サーク監督の『心のともしび』(1954)のジェーン・ワイマンをベースに、このヘアスタイルは1940年代のファム・ファタールであるヴェロニカ・レイク風です。
イザベル・ユペールが最後に華麗なる変身を遂げるシーンは、明らかに『地中海殺人事件』(1982)のジェーン・バーキンを再現したものでしょう。ただし、本作におけるオーギュスティーヌはまだまだぎこちなく、どことなく初々しいという形容詞がぴったりなわけなのですが、変貌を遂げていく女性の一時ほど、魅力的な季節はありません。彼女もまた有閑マダムが美魔女化に目覚めたように、第二の青春を謳歌するのでしょうが、そんな洗練していく姿は、往々にして倦怠の感情のみを異性に沸き起こすものなのです。
ドヌーヴが足を組み、ベアールが地べたで正座する。

全員の集合写真。ダニエル・ダリューだけがここにはいない。

ファニー・アルダン、カトリーヌ・ドヌーヴ、イザベル・ユペール。
かくして、ベルリン国際映画祭で8人全員に銀熊賞 (芸術貢献賞)が贈られました。