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【キリアン】インペリアル ティー(カリス・ベッカー)

カリス・ベッカー
カリス・ベッカーキリアンブランド調香師香りの美学
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インペリアル ティー

【特別監修】Le Chercheur de Parfum様

原名:Imperial Tea
種類:オード・パルファム
ブランド:キリアン
調香師:カリス・ベッカー
発表年:2014年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売

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中国の歴代皇帝への献上茶の香り

©Kilian

キリアンから2012年に発表された「アジアン テイルズ —瞑想のような、東洋へのボヤージュ—」コレクションの第四弾の香りとして、2014年4月に発売された二本の香りのうちのひとつ「インペリアル ティー=大紅袍の伝説~皇帝のお茶~」は、自身もティー・フリークと断言するカリス・ベッカーにより調香されました(もうひとつは「セイクリッド ウッド」)。

「インペリアル ティー」は、中国の歴代皇帝に献上された最上級茶「大紅袍(だいこうほう)」をイメージして作られた香りです。ウーロン茶発祥の地である中国・福建省の武夷山において、(武夷岩茶のひとつ)大紅袍は、清王朝時代から「茶王」と称されています。

それは9回注ぎだしても本来の香りがそのまま残るためです。大紅袍は発酵したウーロン茶で、木犀や蘭の香りを持ち、とても長い甘い後味が特徴です。ちなみに、樹齢300年超の原木はわずか数本しか残っておらず、年間1kgも採れないため、2005年には、20g/250万円の高値がついたほどでした。

大紅袍という名がついたのは、ある伝説に由来します。ある人が科挙の試験を受けに急ぐとき、途中で腹痛を起こし、病に倒れてしまいました。そこにちょうど通りかかった住職が寺に連れて帰り、あるお茶を飲ませました。するとしばらくして痛みが無くなり、元気になりました。

その後、科挙試験に合格したその人は、武夷山の命の恩人のもとに行き、感謝をし、そのお茶を見てみたいと頼みました。そこで住職は案内し、その人は了解を得たうえで茶葉を持ち帰りました。

暫くしてから、皇后が腹痛を訴え、病に倒れました。医者もなすすべなくいた時に、その人が持ち帰ったお茶を献上し、たちまち皇后の病状は良くなりました。それに喜んだ皇帝は、その人に真っ赤な長い衣を与え、その人はそれを茶木に掛けたのでした。それ以来、このお茶は「大紅袍」と呼ばれ、皇帝へ献上されることになったのでした。

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カリス・ベッカーのジャスミン・ティーの香り

遂にジャスミンティーを忠実にコピーする仕事をやり遂げたわ。なぜなら私は毎日ティーを18杯も飲んで育ってきたのよ。

カリス・ベッカー

カリス・ベッカーはかつてティー・フレグランスの傑作「トミー ガール」(1996、グリーン・ティー)を生み出した調香師です。そんな彼女がずっとずっと感じていた事。それは市場に存在するジャスミン・ティーの香りに対する不満でした。

ジャスミンボールにお湯を注ぎ込み、花開く瞬間を再現した、華やかに立ち昇るジャスミンティーの蒸気の香りからこの香りははじまります。グリーンノートが特徴的なジャスミン・サンバックの爽やかな甘さの中に、タンニンのような渋味が広がっているようです。でありながら透き通るようでありながらミルキーなのがこの香りの特徴です。

何よりも明らかに存在するはずのベルガモットの存在を、見事に隠しおおせているところにカリス・ベッカーの〝ティー・フレグランスの極み〟を感じ取ることが出来ます。

どうやらこの最初の瞬間に隠し味のように、ウーロンティーを連想させるマテが、スモーキーな閃光を放ちながら注ぎ込まれているようです。このジャスミンティーとウーロンティーのスペシャル・ブレンドこそが、「インペリアル ティー」がより本物のジャスミンティーだと感じる素敵な錯覚を生み出している要因なのです。

至福のジャスミンティーの香りはそれほど長く続きません。やがて、ティーがドライダウンする中、ジャスミンがインドールを解き放とうとした瞬間、淡いホワイトムスクとガイアックウッド、ヴァイオレットに包み込まれ、甘くもミルキーかつウッディな余韻を残してゆくのです。

この香水でベッカーは、また別の試みに挑戦している。ややオイリーでフローラル調のジャスミンとドライで渋みのあるティー自体の、素晴らしいコントラストを瓶詰めしようというのだ。その試みは成功している。

ルカ・トゥリン

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ティー・フレグランスとは何ぞや。

©Kilian

ジャスミンティーとは、フレーバーティーの一種です(アールグレイも同じく)。そして、元の茶葉は緑茶や烏龍茶、プーアル茶が用いられます。ちなみに緑茶、ウーロン茶、紅茶などのお茶は、全て学名が「カメリアシネンシス」というツバキ科の茶の樹からできています。この樹の生葉の発酵度合いによって、それぞれのお茶になります。

恐らく、「インペリアル ティー」は渋みを出したいために、半発酵させた烏龍茶を使った可能性が高いです。なぜなら半発酵させることで、少しフルーティな要素が出るので、ジャスミンと相性が良いからです。

基本的に、香りでティーを生み出すとき、マテは必要不可欠な原料となります。ちなみに、ジャスミンも、へディオンがティーフレグランスの元になるので、実際には、へディオンの代わりにジャスミンがティーの香りを出す原料として使われている場合もあります。

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『ジャスミン ルージュ』と比較するととても面白い香り

©TOM FORD

実に面白いことに、ジャスミンティーを表現したと聞くと、口に含んだ味・風味かな?と想像しがちですが、ジャスミンティーはフレーバーティーなので、香りをまず楽しむものなのです。

だからこそ、「インペリアル ティー」はジャスミンティーを入れたカップから立ち昇る蒸気を表現しているのです。それは蒸気を吸い込んだ時、ジャスミンのフローラル、フルーティさが香る一方で、発酵させて作られたブラックティーのスモーキーさやグリーンさが香り、入れ替わり立ち替わりやってくるのを捉えているのです。

カリス・ベッカーがかつて作った「トミー ガール」とこの香りを比較するのは酷なのですが、低予算で若かりし頃に作った香りであるにも関わらずとてもよく出来た香りです。ただ、熟練した調香技術と、豊潤な予算と時間をかけて生み出されたこの香りとは、つけた瞬間の包み込む柔らかさが全く違います。「トミー ガール」は、オーデコロンなので当然ですが、若干、強く感じます。

ちなみに、「インペリアル ティー」はジャスミンのソリフローラにも分類されます。そのためトム・フォードの「ジャスミン ルージュ」と比較してみるととても面白いでしょう。

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香水データ

香水名:インペリアル ティー
原名:Imperial Tea
種類:オード・パルファム
ブランド:キリアン
調香師:カリス・ベッカー
発表年:2014年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売


シングルノート:ティー、ジャスミン・サンバック、ベルガモット、ガイアックウッド、ホワイトムスク、マテ、ヴァイオレット

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