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【キリアン】インセンス ウード(シドニー・ランセスール)

キリアン
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インセンス ウード

原名:Incense Oud
種類:オード・パルファム
ブランド:キリアン
調香師:シドニー・ランセスール
発表年:2011年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売

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インセンスとウードの禁断の恋

©Kilian

この香りをシドニーと作るために、2年もの月日が費やされました。インセンスはとてもトリッキーなノートなので、何かが狂うと、すぐに教会の中に入って行ってしまうのです。

キリアン・ヘネシー

キリアンからオリエンタル・ゴールドと呼ばれるウード(沈香)とゴールドをテーマに発表された「千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)」コレクションの第三弾として、2011年に発売されたのが「インセンス ウード」です。

シドニー・ランセスールにより調香されました。ちなみにシドニーは「ルーブル ノワール」コレクションの中で唯一ウードをテーマにした「クルーエル インテンションズ」を調香していました。この香りは、キリアン・ヘネシーがイヴ・サンローランの「M7」を愛用していたというシドニーの話を聞いて、彼女にモダンなウードを作ってもらおうと考えたところからはじまりました。

そんな彼女が、前二作品(「ピュア ウード」「ローズ ウード」)を調香したカリス・ベッカーの後に生み出したのがこの「インセンス ウード」です。

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瞑想と幻覚の力を手にしたターキッシュローズ


インセンスの煙が人間と神々を繋いでいく架け橋であるというアラビアンナイトの世界観を反映したインセンス(乳香)の香りからこの香りははじまります。

全香料のうち25%使用されているという過剰摂取とも言えるインセンスに、サンダルウッド、シダー、パチョリ、オークモスそして、レザーのようなラブダナムが滑らかに溶け込んでゆき、クリーミーなインセンスウードの世界観に奥行きを与えてゆきます。

ウード・フレグランス特有の酸味はわずかしか感じられません。パチョリとオークモスの存在感を強く感じるこの独特なウードは、サンダルウッドが、全ての香料に肌との馴染みの良さを生み出してゆきます。

天に向かって立ち上る〝瞑想的な〟インセンスに対して、斜め上から降りそそぐ〝幻覚的な〟ウード(沈香)が生み出す〝禁じられた恋〟に全身が優しく包まれてゆくのです。ある意味、ウードをインセンスが浄化するようです。

やがて、だんだんと存在感を増すシダーにシンクロするようにフルーティースパイシーなカルダモン、ピンクペッパーが加わります。そして、フレッシュなダークローズ(パチョリと見事に結びついている)とグリーンなゼラニウムの花びらが蜃気楼のように揺ら揺らとゆらめくように花咲かせるのです。

そこにグレープフルーツのようなメチル・パンプルムースが、香り全体に〝光と影〟の陰影を与えながら、インセンスウードは、より生き生きと煌くような輝きの中消え去ってゆくのです。

どこかフレデリック・マルの「ポートレイト オブ ア レディー」を連想させる香りです。

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香水データ

香水名:インセンス ウード
原名:Incense Oud
種類:オード・パルファム
ブランド:キリアン
調香師:シドニー・ランセスール
発表年:2011年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売


トップノート:エジプト産ゼラニウム、グアテマラ産カルダモン、ピンクペッパー、ターキッシュ・ローズ
ミドルノート:インドネシア産パチョリ、ヴァージニア・シダー、インド産パピルス、メチル・パンプルムース
ラストノート:ムスク、スペイン産ラブダナム、サンダルウッド、マケドニア産オークモス、ソマリア産インセンス