ジェームズ・ボンド

ダニエル・クレイグ6 『007 慰めの報酬』1(2ページ)

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作品名:007 慰めの報酬 007 Quantum of Solace (2008)
監督:マーク・フォースター
衣装:ルイーズ・フログリー
出演者:ダニエル・クレイグ/オルガ・キュリレンコ/ジェマ・アータートン/マチュー・アマルリック



メンズ・ファッションに革命をもたらした作品。



前評判で、不安視されていたダニエル・クライグ(1968-)のジェームズ・ボンドが、『007 カジノ・ロワイヤル』(2006)の大成功により、手のひらを返したかのような大絶賛を浴びた後に製作された、ダニエル=ボンド第二弾。007シリーズ第22作目の本作は、英国、パナマ、チリ、イタリア、メキシコ、オーストリアといったシリーズ最多の世界6カ国で撮影されました(マチュ・ピチュで撮る予定もあった)。しかし、どの国の印象も大して残りませんでした。それはボンドムービー特有のその国の風土を生かしたアクション・シーンが、細切れの編集により、観客の記憶力もろともズタズタにされてしまったせいだろう。

ボンドムービーにおける重要なファクターでもあるタイトル・ソングは、アリシア・キーズとジャック・ホワイトによる007シリーズ初のデュエットですが、男と女が吼え合うだけの品のない曲調に、ほとんどのファンは、これは違うだろ?と感じたはず。ジャック・ホワイトは論外として、アリシア・キーズの使い方が間違っています。細切れながらも激しさだけは理解させるオープニング・アクションの後に必要なのは、「サンダーボ~~~ル」と歌うトム・ジョーンズ並みの壮大なスケールのタイトル・ソングなのです。

時代でしょうか?1960年代のマット・モンロー、シャーリー・バッシー、トム・ジョーンズ、ルイ・アームストロング。そして、1970年代のポール・マッカートニー、カーリー・サイモンに比べると、全く洗練されていない子供じみた痴話喧嘩のような雰囲気に包まれています。アルバート・ブロッコリが生きていたときの、気に入るまで歌手をすげ替えてでも何回もレコーディングさせる、あの姿勢がボンドムービーから失われてしまったことを実感させます(当初は、ポール・マッカートニーにもオファーされていた)。

蓋を開けてみると、お色気の要素の欠落とウィットに富んだ会話の喪失、ボンドを助ける秘密兵器と、マネーペニーとQの存在が抹消されていることが、本作を致命的につまらないものにしています。

そんな欠陥だらけの本作の唯一の救いは、ダニエル・クレイグとトム・フォードの初コラボによるスーツ・スタイルのとんでもない格好良さでした。この作品により、ダニエル・クレイグは、ブラッド・ピットを飛び越えた21世紀のメンズ・ファッションのスタイル・アイコンになったのでした。



トム・フォード=ボンド・スーツのお披露目。

物語は前作「カジノ・ロワイヤル」の1時間後からのスタートです。アストン・マーチンDBSと、アルファ・ロメオ159のカーチェイス。秘密兵器はなしの微妙な展開。

アストン・アーチンDBSを14台大破して撮影したシーンではあるが・・・余裕のないボンドは、もはやジェームズ・ボンドではない。

1時間後の物語だが、スーツはブリオーニの3ピースから、トム・フォードの2ピースに変わっている(ここの所は全く問題なし)。

アクションシーンの多さによって、トータルで40着ものTFスーツがダメになった。

ジェームズ・ボンド・スタイル1 カジノ・ロワイヤル・スタイル
  • トム・フォードのリージェンシー・モデルの2ピースのネイビーのピンストライプ・スーツ(ブリオーニは白、しかし、こちらはライトブルーのピンストライプ)
  • トム・フォードのライトブルー・コットンポプリン・シャツ、ダブルカフス
  • トム・フォードのブルーとブラックの正方形のパターンのネクタイ、ウィンザー・ノット
  • チャーチフィリップ、カップ・トウ・オックスフォード(前作ではジョン・ロブのルフィールド)
  • オメガのシーマスター・プラネット・オーシャン・600mコーアクシャル・クロノメーター

ここにシリーズの常識を覆すボンド・スーツのシルエットが明らかになります。それは一流のファッション・デザイナーによる本格的なモード・スーツをボンドが着るということです。この作品からジェームズ・ボンドは、ファッション・モデルのランウェイのような役割も担うことになるのです。ただし、彼はただ歩くのではなく、カーチェイスを繰り広げ、銃を撃つ新時代のファッション・モデルなのです。そして、トム・フォードにボンド・スーツの作成を依頼したのは、ダニエル・クレイグ自身によってでした。でした。

ダニエル・クレイグとコスチューム・デザイナーであるルイーズ・フログリーは、新しいボンド・スーツに、モード色と同時にイタリアのスーツのような滑らかで貴族的なカットと、初期のショーン・コネリーのボンド・スーツの美しいエレガンスを求めました。

そして、60年代の生地であり、入手が困難なドメールのトニックのモヘア生地の使用をトム・フォードに提案しました。それは本当の生活の中で、スーツに使用するのは、奇妙な生地なのだが、フィルムを通して見ると、とんでもなく美しい生地感を生み出せる生地なのです。



優雅すぎるチェスターフィールド・コート

コートまで、パゴダ・ショルダーの徹底ぶり。

トム・フォードのスーツは、甲冑を着た騎士のようなシルエットを生み出しています。

ジェームズ・ボンド・スタイル2 チェスターフィールド・コート
  • トム・フォードのネイビー・ウールのチェスターフィールド・コート、フラップポケットとチケット・ポケット、シングル、膝丈、パゴダ・ショルダー、3つのボタンはかなり低めの位置に設定されている。エレガントなワイド・ラペル、5つのカフスボタン(ダニエルは最後の一個を空けている)
  • トム・フォードのホワイト・ドレスシャツ
  • トム・フォードのグレーのネクタイ
  • 白のリネンのポケットチーフ
  • トム・フォードのリージェンシー・モデルのダーク・チャコールグレー・スーツ、モヘア・トニック、パゴダ・ショルダー、段返りの三つボタン
  • オメガのシーマスター・プラネット・オーシャン・600mコーアクシャル・クロノメーター

おこで、本作のスーツ全てに適応されているトム・フォードのリージェンシー・モデルの特徴について説明しよう。

  1. 段返りの3つボタン
  2. パゴダショルダー
  3. サイドベンツ
  4. ピックステッチ(襟やポケット周辺のハンド・ステッチ)
  5. ストレート・フラップ・ポケット
  6. チケット・ポケット
  7. トラウザーのサイドアジャスター
  8. 本切羽の5つボタン

トム・フォードは、本作のために420点の衣装アイテムを製作しました。そして、ジェームズ・ボンドは11種類の衣装チェンジをすることになります。それぞれのスーツは9つづつ作られました。そのうちの3つはノーマルな撮影用、そして、3つは、戦闘シーンで血や埃を浴びる用、最後の3つは、血と埃だらけの生地という風に、スタントマンにも同じように支給されました。



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