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『愛の嵐』1|シャーロット・ランプリングとトレンチコート

シャーロット・ランプリング
シャーロット・ランプリング
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キャメルヘア・トレンチコート

ウィーンの街並みに映えるウールのトレンチコート。

ある日、ボガードはテレビで流れていた映画『ガリレオ』(1969)を見て感動しました。そして、その監督リリアーナ・カヴァーニの名前に親しみを覚えました。それもそうです。なんと彼女から送られてきた本作の脚本が地下室に放置されたままになっていたのでした。

リリアーナ・カヴァーニとシャーロット。

ほっとするシャーロットの笑顔と、リリアーナ。

首の長い女は、トレンチコートがよく似合う。

ルチア・ルック6 トレンチコート
  • キャメルヘア・トレンチコート。襟を立てて、かなりのクールさを演出
  • 一連パール
  • 白のハイゲージのセーター
  • 黒のショルダーバッグ
  • 黒のレザーのショートグローブ
  • ロファーパンプス

マックスと再会してしまったルチアは、それ以後、ほとんど話さなくなります。心底、憎しみだけを抱いてきたあの男に対して、奇妙な親近感が、彼女に沸き起こってきます。それを払いのけようと、ウィーンの街並みを歩き、ふと立ち寄ったアンティークショップで、あの忌まわしい記憶が、鮮烈に蘇ってきました。マックスに与えられた服に似たピンクのワンピースがそこに在りました。この時、彼女は恐ろしい真実に気づいたのでした。私は彼を憎んでいるのではなく、愛しているのだという真実を。そして、躊躇なくそのワンピースを購入するルチア。彼女は、この日のために12年間生きてきたことを知るのでした。

しかし、この時に着ているトレンチコートの美しさは、ファッション誌ではあまり取り上げられていないのですが、この物語のもう一つのアイコニック・スタイルとも言えます。それはトレンチコート・アイコンとしての要素を100%満たしています。1.エレガントな女が、2.アップスタイルで、3.ヨーロッパ的な背景に、4.貴族的な物腰で、5.男性を隣に立たせず、独り歩くところにあります。

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『元フランス外人部隊』フィリップ・ルロワ

フィリップ・ルロワのファッションが実に魅力的です。

片眼鏡にブラック・レザーのトレンチコート。

実に派手な柄のバスローブ。

そして、黒のチェスターフィールドコート(ダブル)。

ピンストライプのウールのスーツ。

本作において元SS将校の弁護士クラウスを演じたフィリップ・ルロワ(1930-)のファッションがかなり決まっています。片眼鏡で、基本的には、モノトーン・スタイルで登場する彼の、レザートレンチコートや、ダブルのチェスターフィールドコート、そして、ピンストライプのスーツは、その姿勢の良さもあって、今見ても違和感がないほどに、洗練されて見えます。

ちなみにこのフィリップ・ルロワという人は、『黄金の七人』(1965)の教授役でも有名なのですが、1954年にフランス外人部隊に入り、インドシナ、アルジェリアを転戦した本物の戦争の犬だったのです。そういう観点から見ると、この人の面構えが、本作中最も緊張感溢れているのも納得がいきます。