サブリナパンツを履くバルドー
ジュリエット・ルック7 サブリナパンツ
- グレーのスキッパーカラーの半そでシャツ
- インディゴのサブリナパンツ
ブリジット・バルドーの最も愛した男。
ジュリエット・ルック8 カラス・ルック
- 黒のフリンジ付き羽織
- ダークグリーンのフレアスカート
ジャン=ルイ・トランティニャンが演じる映画の中の夫はブリジットの現実の夫(ロジェ・ヴァディム自身)を思わせた。ジュリエット=ブリジットがカメラの前で、夫に「こわいの」と言ったとき、実際は私に向かってそう言ったのだ。
ロジェ・ヴァディム
この作品の撮影前に、ヴァディムとバルドーの夫婦関係は倦怠期に入っていました。18歳の時に結婚した最初の男性であるヴァディムの存在が、共演者であるジャン=ルイ・トランティニャンとの撮影が進むにつれてすっかり薄いものになっていたのでした。そして、ヴァディムの狙いもバルドーが実際に新たな恋愛に身を焦がす姿を撮影したかった嫌いもあるのですが、人間の感情は一つの感情に終始できるほど単純なものでもありません。このシーンの撮影の後、ヴァディムはバルドーに聞きました。「彼を愛しているの?」と。バルドーは答えました「こわいわ」と。そして、沈黙が続き、眠り込む前にブリジットは呟きました。「幸せでいることは難しいんだわ」と。それはその日の撮影で言った最後のセリフと全く同じでした。
彼(トランティニャン)は空を指しながら、星座について教えてくれた。・・・彼はクラシック音楽を教えてくれた。私の控え室のターンテーブルの上からキューバ=アフリカ音楽のレコードが消え、クラシックに変わった。
ブリジット・バルドー
私は彼と共に、私の生涯においてもっとも美しく、もっとも強烈で、もっとも幸せな時間をすごした。私たちは自由で、気ままだった。さらに巣晴らしかったことは、私たちが無名で、人に知られていなかったことである。
ブリジット・バルドー
バルドーとトランティニャンは、物語以上に、本気で恋をしていました。撮影後、二人は双方離婚し、正式に交際します。しかし、この作品の中で、ラジオから流れていた歌声の張本人によって二人の関係は二年後に破局を迎えます。その男の名をジルベール・ベコーと呼びます。1961年5月、別れた二人は、バルドーがアラン・ドロンと初共演する撮影の初日に偶然再会するのでした。お互いに何も言えずに別れ、それ以後二度と会うことはありませんでした。
しかし、バルドーの自伝にはこう書かれています。「あれほど彼を愛した・・・、今でも愛している。でも彼に何も言うことは出来なかった」。ブリジット・バルドーという女性の魅力、それはその恋愛に対する姿勢にもあります。外見だけでなく、中身も本当にカッコいい人なのです。
これほど拳銃が似合わない女優はいない
ジュリエット・ルック9 オフショルダー
- 黒のオフショルダーネック・ニットシャツ
- 黒の太ベルト
- グリーンのラップスカート
ファッション・アイコンと呼ばれる女優に共通している点が一つだけあるとするならば、それは拳銃が似合わないということだろう。オードリー・ヘプバーン、グレース・ケリー、マリリン・モンロー、カトリーヌ・ドヌーヴもそうであり、ただ例外はジャンヌ・モローだけ。
ボーイフレンドシャツから覗く美脚
ジュリエット・ルック10 ボーイフレンド・シャツ
- 水色の男物のシャツ
この作品はこれまで男の特権だった性の悦びを正直に女にも認めた、最初のフィルムであるという事実だった。
ロジェ・ヴァディム
この作品の脚本をヴァディムが閃いたのは、3兄弟ひとりひとりの愛人になった娘が兄弟の1人を殺した裁判の三面記事を読んだ時でした。この記事を読んでいてヴァディムが感じた感情は、これが男女逆転していたら、それほど驚くにあたらないなと言うことでした。そして、彼は上記の命題を物語にすることにしたのでした。それから三ヵ月後にようやくヴァディムは作品の題名を決めることが出来ました。それは「かくして神は女性を創り給えり」でした。
男物のシャツを着て、生脚を露出するスタイルの一つのアイコン・シーンがここにはあります。この作品は、意外にもそういう認識を受けていないのですが、ブリジット・バルドーという女優のあらゆる一面=ファッションが詰め込まれた作品なのです。