ライク ア ヴァージン
香水名:ライク ア ヴァージン
原名:Like a Virgin
種類:オード・パルファム
ブランド:アート ミーツ アート
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2017年
対象性別:女性
価格:50ml/28,600円
販売代理店ホームページ:NOSE SHOP
マドンナ初の全米No.1ヒット曲「ライク ア ヴァージン」の香り。

スティーヴン・マイゼルの写真が、マドンナのイメージを決定づけました。

それは「地球上で最もセクシーな女」というイメージでした。
『ライク ア ヴァージン』への世間の反応には驚いたわ。だってあたしが歌ってるのは、何らかの形で自分をある気持ち―まっさらで新鮮な―にしてくれるものがある、ってことなのに、ほかの人はみんなこう解釈するのよ。『もうヴァージンでいるのはいや。気が遠くなるくらいファックして!』。あたしはそんなつもりで歌ってなんかいないのに。
マドンナ
デヴィッド・ボウイの『レッツ・ダンス』を1983年にプロデュースし、ボウイの新境地を開いたナイル・ロジャースと、マドンナがタッグを組んだ第二弾アルバム『ライク ア ヴァージン』。
このアルバムにより、マドンナは、スターからスーパースターへと昇華していきます。CDの表紙等のプロモーション写真は、ファッション・フォトグラファーであるスティーヴン・マイゼルによって、ニューヨークのセント・レジス・ホテルのスイートルームで撮影されました。
マドンナ初の全米No.1ヒットを記録した「ライク ア ヴァージン」は、1984年10月リリースされ、婚前性交渉を奨励する歌として、保守的な人々からの批判を浴びました。
ミュージック・ビデオは1984年7月にイタリア・ヴェニスで撮影されました。作詞はビリー・スタインバーグとトム・ケリー。彼らはのちにシンディ・ローパーの「トゥルー・カラー」(1986)やハートの「アローン」(1987)、ホイットニー・ヒューストンの「やさしくエモーション」(1988)、バングルスの「胸いっぱいの愛」(1989)で全米No.1ヒットを連発するヒットメイカーになります。
1980年代に入るまで、ロックスターやポップスターに対するファンのリアクションは、彼らに対する憧れから、同じ格好をするということはありませんでした。しかし、マドンナの登場が、ファンもマドンナになれるという妄想を掻き立てることに成功しました。
ファッションモデルのように長身で細くない、平均的な肉体を持つマドンナが起こした革命は、ある意味、一昔前に日本でも爆発的ブームを巻き起こしたAKBブームに共通する部分があります。
マドンナ・ワナビー(We wanna be like Madonna!)の誕生です(1985年5月号のタイム誌の記事で命名された)。マドンナのコンサートに沢山現れたマドンナ・ファッションに身を固めた女性ファンたちは、その姿で、街に繰り出すようになりました。それは1984年から86年にかけてピークに達します。ファッションだけでなく、話し方や仕草までもマドンナになろうとする女の子たちが増えたのです。この時期のマドンナは「等身大のアイドル」だったのです。
そんな80年代のスーパースターのフレグランスを生み出したいと考えた男が居ました。その名をアリ・カシャニと申します。
時代を超えて愛されるポップソングをフレグランスに…

©Art Meets Art
アリ・カシャニは、2017年7月にArt Meet Art(アート ミーツ アート)というニッチ・フレグランス・ブランドを創業しました。
「時代を超えて愛されるポップソングをフレグランスにしてみたい」という発想で、まず著作権を持つ者へのアプローチから始まり、複雑な権利関係をクリアした上で、アルベルト・モリヤス、クリストフ・レイノー、ファブリス・ペルグラン、フランク・フォルクルといった有名調香師に5つの香りを依頼しました。
ブランドの精神は、〝気分に合わせて聴く音楽を選ぶように、香水もプレイリストのような感覚で選ぶ〟です。ちなみにアリは、パンデミックにより印税を払えなくなり2021年にブランドを停止しました。
このブランドを2019年から共同経営者として参加しているタンギー・ル・ボーが引き継ぎ、2022年12月に再始動させました。彼はロレアルのフレグランス部門(ランコム、キールズ)で13年間にわたり経験を積んだ人です(2023年11月に、麻布台ヒルズのNOSE SHOPのオープンにあわせて日本上陸)。
危険な〝処女のようなマドンナ〟を生み出す香り

さらに「BOY TOY」ベルトを装着。

ウエディングドレスに妖艶さのアンバランスなバランス。
何かを期待する気持ちが既にあるんです。永遠の若さと純粋さの物語です。カルト的な人気を誇る曲を軸にすることで、(顧客との)繋がりが生まれ、調香師にとって作品はより意義深く、より興味深く、刺激的なものになるんです。
アリ・カシャニ
私はマドンナの長年のファンであり、彼女が常に自分を改革していく姿のファンです。「ライク ア ヴァージン」では、彼女の人生のこの時点のエッセンスと、この曲と時代を取り巻くエネルギーを捉えようとしました。
アルベルト・モリヤス
アルベルト・モリヤスが2017年に調香した「ライク ア ヴァージン」はマドンナの1984年の大ヒット曲の音楽観を投影した香りです。その世界観は〝神聖なる清らかさに包まれてください。「まるで処女のように、初めて触れられたかのように」〟です。
80年代のMTV時代を反映した、キャッチーでポップな、分かりやすく、踊りやすく、楽しく口ずさみやすい軽快なメロディーに乗るようなフレッシュなアクアティックな風に乗り、アンブロックスとムスクが混ざり合う、クリーミーなトロピカルフルーツと梨のような白ワインの香りが広がるようにしてはじまります。
すぐにローズとジャスミン、フリージア、ピオニーが、素肌を照らすように、透き通るような輝きで包み込んでゆきます。やがて、クリーンに酔わせるほのかに甘い、まさに〝いつも心にヴァージンをもたらす〟中毒性のある余韻に満たされてゆきます。
どんなにセクシーな女性もこの香りを身に纏うと、意図的な美脚の露出さえも、無邪気さに感じさせ、より純粋に周りを魅了してゆくとても危険な〝処女のようなマドンナ〟を生み出す香りです。
ちなみに同じ年にモリヤスの調香により発売された「アイ プット ア スペル オン ユー」は、2021年にルイ・ヴィトンが発売した「スペル オン ユー」に著作権をさらわれる形になり、発売することが出来なくなっています。
香水データ
香水名:ライク ア ヴァージン
原名:Like a Virgin
種類:オード・パルファム
ブランド:アート ミーツ アート
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2017年
対象性別:女性
価格:50ml/28,600円
販売代理店ホームページ:NOSE SHOP
トップノート:アクアティックノート、マンダリン
ミドルノート:フリージア、ピオニー、ローズ、パラディゾン
ラストノート:ムスク、アンブロックス