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【ブルガリ】ブルガリ プールオム エクストレーム(ジャック・キャヴァリエ)

ブルガリ
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ブルガリ プールオム エクストレーム

原名:Bvlgari Pour Homme Extreme
種類:オード・トワレ
ブランド:ブルガリ
調香師:ジャック・キャバリエ
発表年:1999年
対象性別:男性
価格:30ml/7,920円、50ml/11,110円、100ml/15,510円

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〝香水の歴史〟を変えた「ブルガリ プールオム」

香りのイメージは、この男性モデルの〝表情〟。©BVLGARI

1884年に創業したハイジュエリー・ブランド、ブルガリの香水の歴史は、それほど長くありません。それは「オ パフメ オーテヴェール」と共に、1992年にはじまりました。

ジャン=クロード・エレナにより調香されたこの香りは、史上初めての「緑茶=グリーンティーの香り」として、90年代のユニセックス・フレグランスの流行のはじまりとなりました。

そして、1994年に二つ目の香りとしてソフィア・グロスマンにより「ブルガリ プールファム」が生み出され、三つ目の香りとして1995年に生み出されたのが「ブルガリ プールオム」でした。

現在ルイ・ヴィトンの専属調香師をつとめるジャック・キャヴァリエにより調香されたこの香りは、ブルガリ最初のメンズ・フレグランスであり、90年代に大流行しただけでなく、21世紀においても不動の地位を確立しているメンズ・フレグランスの永遠のスタンダードです。

一言で説明すると、品のあるシトラスに、ダージリンティーが注ぎ込まれ、フワッとした甘さと苦味に包まれる、吸い込まれるような香り。香りそのものはシンプルでありながら、一緒に時を過ごしていると複雑さを感じることが出来る奥行きのある香りです。

この香りが〝香水の歴史〟に与えた影響は、「ブルガリ プールオム」の前と後で〝ムスク〟の概念を変たところにあります。

天然のムスク(ジャコウ)とは、3歳を越える雄のジャコウジカのへそと生殖器の間にある麝香嚢という分泌腺を、体から取り出し、分泌液を乾燥させ、エチルアルコールで抽出した〝甘く粉っぽい〟香りのするものです。

しかし、1979年以後、ワシントン条約でジャコウジカの捕獲が禁止され、天然のムスクの使用が難しくなり、その代用品として使用されるようになったのが、キャヴァリエやアルベルト・モリヤスの手により作り出された、この香りの中にも使用されているフィルメニッヒ社製の数々の〝新生ムスク〟なのでした。

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女性を引き立てるように、エレガントに佇む男性のような香り


「ブルガリ プールオム」のエクストリーム版として1999年に発売された「ブルガリ プールオム エクストレーム」は、実際のところユニセックスの香りだった「プールオム」の〝オム=男性〟を突出させた香りです。フランカーとしては稀なことなのですが、オリジナルに匹敵する人気を20年以上も保っているウッディ・アロマティックの香りです。

冷たくも清々しいグレープフルーツが、春の陽光のように全身に降り注ぐようにしてこの香りははじまります。オリジナルには存在しなかったグレープフルーツが透き通るようなベルガモットと遭遇し、パワフルなオーラを解き放ってくれます。

すぐに、ダージリンティーが、心にぬくもりをくれるように注ぎ込まれてゆきます。そして、アロマティックなラベンダーと、フレッシュグリーンなガルバナムとネロリ×プチグレン、さらにスパイシーなコリアンダ、ペッパー、ナツメグ、カルダモンがティーとブレンドされながら、うっとりするほど的確に軽やかに全身を包みこんでゆくのです。

軽やかに柔らかく、強いオーラを放つわけではないのに、静かなる優雅さを生み出すこの香りは、華やかな女性の隣で、鮮やかな色の服を着て女性よりも目立つのではなく、女性を引き立てるように仕立てのよいグレーのスーツを着て、エレガントに佇む男性のようです。

やがて、甘いバルサムモミがスパイスの甘さと結びつきながら、威風堂々とした木々(ガイアックウッド、ブラジリアン・ローズウッド、サンダルウッド、シダーのこれまた素晴らしいブレンド)とパウダリーなアイリスが、スペシャルブレンドされたムスクによってかき混ぜられ、紅茶のシャンパンと言われるダージリンティーの魅力を、肌と心に染み入らせてくれるのです。

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〝やさしいブレンド〟が生み出す、パワフルな男のオーラ


周りにいる人々に対して、色々な香りの感想を生み出す理由は、ジャック・キャヴァリエの真骨頂である〝やさしいブレンド〟によるものです。

だからこそ、ある人は、あなたから咲き誇るような花の華やかさを感じ、ある人は、あなたから心を温めるブラックティーの余韻を感じ、ある人は、あなたから、凛としたパウダリーグリーンな佇まいを感じ、またある人は、あなたから甘いスパイスの危険な微笑を感じるのです。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「ブルガリ プールオム エクストレーム」を「ウッディスパイシー」と呼び、「ありがたいことにちっとも行き過ぎ(エクストレーム)ではなく、むしろ優美な水彩画にも似たウッド、ハーブ、胡椒、スパイシーな香りの組み合わせは、つけ始めからドライダウンまでずっと各々がしかるべき位置に留まっている。このタイプの男性向け香水は、調香師が猫を集めたかのようになりがちだが、これは例外。」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:ブルガリ プールオム エクストレーム
原名:Bvlgari Pour Homme Extreme
種類:オード・トワレ
ブランド:ブルガリ
調香師:ジャック・キャバリエ
発表年:1999年
対象性別:男性
価格:30ml/7,920円、50ml/11,110円、100ml/15,510円


トップノート:コリアンダー、ラベンダー、ガルバナム、ティー、グレープフルーツ、ネロリ、プチグレン、ベルガモット
ミドルノート:ナツメグ、ペッパー、バルサムモミ、ガイアックウッド、ブラジリアン・ローズウッド、カルダモン
ラストノート:アイリス、サンダルウッド、ムスク、オークモス、シダー