アパレル塾

売れるラグジュアリー・ブランドの販売員の特徴 第一条



    そろそろ爆買いブームも最終章を迎えようとしています。

    東京の松屋銀座には、あなたの足の甲に接吻するようにシューズを売る素晴らしい販売員がいます。

    2000年代~2010年代の空前のプチプラ旋風により、日本全国にファスト・ファッションの店舗が増えました。そのことにより、アパレル販売に従事する人々の数が飛躍的に増加しました。

    一方で、プチプラとは真逆のラグジュアリー・ブランドの店舗も後を追うように拡大していきました。そして、今では、海外のラグジュアリー・ブランドのほとんどが日本に上陸し、直営店を増やしています。しかし、この急速な成長がひとつの弊害を生み出しています。それは、ラグジュアリー・ブランドの販売員の質が恐ろしく低下していることです。

    現在、日本において、ラグジュアリー・ブランドを販売するに値する販売員は、5人に1人しかいないと言われています(特に、男性においては、売れる販売員程、将来性のある宝飾・時計の販売へと転職していくため)。それはブランドのジャパン社がこれまで提供してきた研修システムを縮小させている点からも窺い知れます(10年前までは、1週間かけていた大手ラグジュアリー・ブランドの研修も、今では一泊二日になっていたりする)。

    一人の人材を育てるよりも、とにかくすぐに現場に投入し、海外から来る爆買い顧客に対する的確な対応を取らせることに精一杯なのです。ほとんどのラグジュアリー・ブランドのジャパン社のスタンスは、現在の爆買い<最終章>の流れに対して、とにかく一円でも稼ぎきることに精一杯なのです。

    爆買いは、インスタというSNSと結びついたアジア圏のリッチ層の、洗練されていないショッピング・スタイルの典型なのですが、顧客の質が落ちれば、販売員の質も落ちていくのは当然です。ラグジュアリー・ストリート・ブームとは、そんな洗練されていないショッピング・スタイルの申し子なのです(ヒップホップで成り上がったセレブ達の成金スタイルがその本質にあります)。

    しかし、あくまでもブームはブームです。例えば、バレンシアガから販売されているトリプルエスのようなスニーカーも1年も経てば、誰も履かないファッション・アイテムになっていくのです。そして、これがファッションなのです。

    だからこそ、ラグジュアリー・ブランドは、これからのことを考え、21世紀のラグジュアリー・ブランドの販売員に相応しい販売スタイルを認識しておかなければなりません。そのために、今、売れている販売員が、決して教えてくれないであろう「タブーを突き破る販売法」を知り、全販売員で心がけていく必要があるのです。

    それでは、これから私が、数十人の現役ラグジュアリー・ブランドの販売員との個人的な交遊関係で見つけ出した「売れる販売員」の特徴を列挙していきます。



    第一条 常に笑顔であること

    売れる販売員に、共通していることは、常に「笑顔」であることです。それは外面だけでなく、「いつも心に太陽を」という風情の心の底からの笑顔に満ち溢れていることです(基本的に売れる販売員は、プライベートでは、無邪気なおっちょこちょいな人が多い)。

    しかし、ここで「笑顔」は、二種類あることを知らなければなりません。

    ひとつは、媚びた笑顔

    もうひとつは、自信に満ち溢れた笑顔です。

    GINZA SIXの中にあるDというラグジュアリー・ブランドには、実に笑顔が爽快な男性販売員がいます。彼の最高の武器は、笑顔であり、その笑顔を振りまきながら、実に堂々と、お客様のスタイリングを提案していくその姿は自信に満ち溢れています。

    「○○様の場合でしたら、このブルゾンは、タイトめに着ることをお勧めしますよ」

    と提案するときに、彼は、この生地ならタイトに着ても着心地が悪くないということを知り尽くしているのでちなみに彼の信念は、サイズでお客様を迷わせることはあっても、商品でお客様を迷わせてはいけないというものです。コレもいいです、アレもいいですと矢継ぎ早に提案するのではなく、笑顔という沈黙を武器にして、お客様が本当に悩んでいく状況まで誘導していくのです。

    売れる販売員は、お客様と決して一緒には悩みません。一方、売れない販売員は、お客様と一緒に悩んでしまいます。

    一方、このGINZA SIXの中には、無表情に店舗内に立つ販売員と、ただ媚びた笑顔を見せているだけの販売員が、そこらかしこに見て取れます。箱は立派なのですが、そこに滞在する販売員は、二流級の人々が多く感じられるのは私だけでしょうか?GINZA SIXの業績がパッとしないのは、何よりも、そこにいる各ブランド店舗の販売員の質に比例しているように感じ取れます。とびきりラグジュアリーな空間とは、超一流の販売員がそこにいてこそ成り立つのです(彼らの給与が低ければ、そこからはラグジュアリーな空気など生まれようがありません)。

    さて、無表情に店舗内に立つ販売員は、基本的に沈黙型の販売なのですが、店舗を訪れたほとんどの人々にとっては、GINZA SIXに相応しからぬ陰気臭い(地方のイオンモールの服屋の)販売員だなという印象を与えます。一方、媚びた笑顔の販売員に対しては、大してラグジュアリー・ファッションに対する知識もない、勢いで商品を売りつけようとするタイプなんだろうなという第一印象を植え付けてしまいます。

    「常に笑顔である」ということは、ファッションに対する知識が伴って初めて意味を成すということを、心して、ラグジュアリー・ブランドに従事する販売員は、ファッションの歴史と向き合わなければいけません。


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