リヴ ゴーシュ
原名:Rive Gauche
種類:オード・トワレ
ブランド:イヴ・サンローラン
調香師:ジャック・ポルジュ、ミシェル・ハイ
発表年:1971年(廃盤)
対象性別:女性
価格:100ml/12,800円
ジャック・ポルジュの処女作
KGBの女性エージェントがジェームズ・ボンドを誘惑するために身に着けているような香り。
スーザン・アーバイン「The Perfume Guide」
「リヴ ゴーシュ」とは、フランス語で「左岸」を意味し、1966年に、イヴ・サンローランがプレタポルテのブティックをセーヌ川左岸の6区トゥルノン通りにオープンしたことから名づけられたブランド名でした。その名を冠したこのフレグランスは、1969年にジャック・ポルジュとミシェル・ハイ(パコ・ラバンヌの「カランドル」)により調香されました(後のシャネルの三代目専属調香師ジャック・ポルジュの処女作)。
1971年に販売開始された、自由かつ独立精神旺盛な女性のためのグリーン・アルデハイドの香りであり、ローズとジフェニルエーテルから作られた非常に珍しいメタリックノートが特徴的です。
この香りの素晴らしさとファンタジーについて説明するに相応しい物語をここに記します。
美しく咲き誇るレッドローズが、ジフェニルエーテルという呪文により精巧なメタルローズに変えられてしまいました。そこに魔法使いイヴが現れ、アルデハイド、ベルガモット、イランイラン、フリージア、ペラルゴニウムという呪文を駆使し、グリーンな空気に包まれたレッドローズを蘇らせていく香りそれが「リヴ ゴーシュ」なのです。
だからこそ、この香りは、あなたの体内に潜むレッドローズを蘇らせる香りでもあるのです。〝最も美しく咲き誇る季節を迎えた女性の香り〟=グリーン・ソーピィーな泡の中に潜むレッドローズの香りです。
2003年に、トム・フォードの指揮のもと、ダニエラ・アンドリエとジャック・ハイにより、アルデハイドが弱体化し、ウッディとアロマティックが強化された香りに再調香されました。
当時も今もかなり斬新な、シルバーとコバルトブルーのストライプ柄の総アルミニウムで作られたボトル・デザインはピエール・ディナンによるものです。
凛とした女性にとても似合う香り
ジェイ・デヴィッドソンのアンドロギュヌス的な魅力が炸裂したニール・ジョーダン監督の『クライング・ゲーム』(1992)の中で、IRAの女性テロリストを演じたミランダ・リチャードソンの鏡台の前に置かれていました。凛とした女性に似合うフレグランスです。
ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「リヴ ゴーシュ」を「ローズの手本」と呼び、「これは史上最高のフローラル・アルデハイディックかもしれない。」「昔のリヴ ゴーシュは、シトラス、ローズ、グリーンのノート間で保たれているバランスに対比して、暗く、樹脂質のバックボーンがあり、とてもよかった。」
「古いほう(だいたい1980年もの)のリヴ ゴーシュはトップが強いタール質で、構成全体に、暗くドラマチックなトーンを与えている。ハートはどちらもたいへんよく似ており、エドモン・ルドニツカが「フォーム」と呼ぶ部分は変わりない。新しいリヴ ゴーシュはもっと軽く、もっと輝きがあり、そしてフルーティな感じが強い。」
「古いほうのリヴ ゴーシュはハートに一風変わった、プラスチックのようなオフノートがあるが、新しいほうにはない。その後はドライダウンまでどちらもずっと平行線をたどり、私の見解だと新しいほうが一定のレベルを保ち安定している。」「香り全体の効果を評価するならば、古いほうのリヴ ゴーシュがもっと薬効のある感じで、新しいほうは食用っぽい感じだと思う。どちらもすばらしい。」と5つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:リヴ ゴーシュ
原名:Rive Gauche
種類:オード・トワレ
ブランド:イヴ・サンローラン
調香師:ジャック・ポルジュ、ミシェル・ハイ
発表年:1971年(廃盤)
対象性別:女性
価格:100ml/12,800円
トップノート:アルデハイド、ハニーサックル、ピーチ、ベルガモット、レモン
ミドルノート:マグノリア、アイリス、ガーデニア、ジャスミン、イランイラン、スズラン、ローズ、ゼラニウム
ラストノート:サンダルウッド、トンカビーン、アンバー、タヒチ産ベチバー、ムスク、オークモス