N°22(No.22)
原名:N°22 Eau de Parfum
種類:オード・パルファム
ブランド:シャネル
調香師:エルネスト・ボー、ジャック・ポルジュ
発表年:2016年
対象性別:女性
価格:75ml/33,000円、200ml/57,200円
公式ホームページ:シャネル
はじまりの10本の試作品のうちのひとつ

1965年 ©CHANEL
N°20はアンバー、N°21はアンバーグリス、N°22はローズの香りでした。そして、それらはN°5と共に販売されるようになりました。
エルネスト・ボー
調香師エルネスト・ボーは、ココ・シャネルのために、N°1からN°5、N°20からN°24の番号がふられた10本の瓶を試作品として、彼女のもとに届けました。そして、ココはその中から5番目の香りを選び、1921年に伝説の香りN°5(No.5)は誕生しました。
ボーは、個人的に10本の試作品のうちN°22が、ココ・シャネル個人のイメージにぴったりだと考えていたので、特別なボトルに詰めて彼女にプレゼントしました。
その結果、翌年の1922年に、N°22(No.22)がVIPのお客様に対してのみ発売されることになりました。のちに公式な発売は1926年に行われました(1928年とも言われています)。
アルデハイドに身を任せる悦びに浸る香り

1968年 ©CHANEL

©CHANEL
N°22は、N°5の驚くべき分身のようなもので、似ているようでいてとても異なります。チューベローズ、ローズ、オレンジブロッサムのアコードを持つN°22は、官能的で魅惑的なフレグランスです。愛撫するような軌跡は、女性らしさの絶対的な象徴のようです。
アルデハイドの太陽の輝きを浴びて煌めく白雪のように、木々に咲き誇るオレンジ・ブロッサムの白い花びらが、きらきらと星の瞬きのように閃くようにして「22番のナンバーを与えられた香り」ははじまります。「No.5」よりもダイレクトに、氷のように微笑むアルデハイドの魅力が肌に伝わって来るようです。
すぐにフレッシュなホワイトローズ、インドールの効いた艶やかなジャスミン、グリーンなライラック、クリーミーなチューベローズ、バターのようなイランイラン、清らかなスズランといった白色と黄色の花々が、アルデハイドにより、宝石のようにきらめきながら、華やかにシルキーに泡立つ高級石鹸のようなエレガントな香りを広がらせてゆきます。
やがて、スモーキーなインセンスとアーシィーなベチバーが、花々が自由奔放に甘くきらめき、弾けて消えそうになる感覚を、抑えるかのように、気高さと厳粛さを全体に与えてゆきます。
ドライダウンに向かうにつれて存在感を増すパウダリーなアイリスが、フェイスパウダーや口紅といった人工的に女性を輝かせる香りを広がらせていきます。一方で滑らかなバニラが素肌をつやつやに温かく磨き上げ、アルデハイドの冷たい輝きと見事なコントラストで満たしてくれます。
長年No.5の影に隠れていた『哀しき氷の女王』の香り

©CHANEL
まるで滑らかに花々の蜜で磨き上げられた温かい素肌に、キンキンに冷えたシャンパンのようなNo.22が流し込まれていくような、選ばれなかったものの哀切を感じさせる、長年No.5の影に隠れ〝日の目を見ることのなかった悲しみ〟を秘めた、ロマンティックなエレガンスを与えてくれる『アルデハイドの氷の女王』の香り。
それは素肌の上で、即興のジャズを楽しむように、即興のフローラルアルデヒドが奏でるフローラルシンフォニーを優雅に楽しむ香り。ただただ香りに身を任せる悦びを知る香りとも言えるでしょう。
ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「N°22は重さの限界に挑戦したらしい。アルデハイドはフレグランスに「エレベーター」をつけたといわれており、つまり香水に含まれるあらゆる甘さや重さを相殺する。」
「たとえばアントノフという名がロシア製の超大型輸送機を指すように、シャネルN°22は搭載量の最高記録に挑戦し、報告は次のとおり。1)人間が倒れずに済む限界のアルデハイド量を決定。2)アルデハイドが耐えられる量の甘さを搭載。3)アイリスのノートを添えて端数を処理、これは簡単に見せるため。4)機体がようやく3マイルほど助走した後、重そうに空へ消えていく姿を一歩下がって傍観。」と4つ星(5段階評価)の評価をつけています。
2022年に発表された「CHANEL22」とも意外にマッチするかも。
丁度この香水が100周年を迎える2022年に発表されたシャネルのニュー・バッグ「CHANEL22」の、キラキラ輝くポップでキュートな世界観とも、意外にマッチするかもしれません。
香水データ
香水名:N°22(No.22)
原名:N°22
種類:パルファム
ブランド:シャネル
調香師:エルネスト・ボー
発表年:1922年
対象性別:女性
価格:廃盤
トップノート:チューベローズ、リリー、ネロリ、スズラン、オレンジ・ブロッサム、アルデハイド
ミドルノート:ナツメグ、ホワイトローズ、ジャスミン、イランイラン
ラストノート:アイリス、バーボン・バニラ、ベチバー
N°22 オー ドゥ パルファム

1970年 ©CHANEL

1980年 ©CHANEL
2007年にシャネルのプレステージ・コレクションとして「レ ゼクスクルジフ ドゥ シャネル」がスタートしました。最初の10種類の香りのひとつとして、「N°22」(オード・トワレ)が、シャネルの3代目専属調香師ジャック・ポルジュによって調香されました。
それは1920年代に発売されたシャネルの4種類の人気フレグランスを、現代に復刻させた香りのひとつです。2016年9月以降は、オード・パルファムとして発売されるようになりました。
1950年代のアルフレッド・ヒッチコックの映画に登場するようなブロンドヘアのハリウッド・ビューティや、90年代のカーディガンズのニーナ・パーションのようなクールなブロンド美女に自分自身が生まれ変わったかのようなエレガントなオーラを与えてくれる香りです。
香水データ
香水名:N°22(No.22)
原名:N°22 Eau de Parfum
種類:オード・パルファム
ブランド:シャネル
調香師:エルネスト・ボー、ジャック・ポルジュ
発表年:2016年
対象性別:女性
価格:75ml/33,000円、200ml/57,200円
公式ホームページ:シャネル
トップノート:アルデハイド、ネロリ、スズラン
ミドルノート:ジャスミン、チュベローズ、ローズ、イランイラン
ラストノート:バニラ、ベチバー