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【トム フォード】パチュリ アブソリュ(リシャール・エルパン)

トム・フォード
©TOM FORD
トム・フォード
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パチュリ アブソリュ

原名:Patchouli Absolu
種類:オード・パルファム
ブランド:トム・フォード
調香師:リシャール・エルパン
発表年:2014年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/30,800円

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トム・フォードの〝究極の精神世界〟の香り

©TOM FORD

どこかバットマンを連想させる「アイコニック。挑発的。都会的。ダークなミステリーを秘めながら、眠りに誘うような、究極に現代的なパチュリ」というキャッチコピーと共に2014年に発表されたトム・フォードプライベート ブレンド コレクションの新作「パチュリ アブソリュ」は、リシャール・エルパンにより調香されました。

60年末から70年代前半のヒッピー(フラワー・チルドレン)全盛期において、「ラブ&ピース」の象徴的な香りとしてもてはやされたパチョリ(パチュリ)。

パチョリは、大麻の臭いを消す作用もあると言われるほどに強い香りを発し、催淫効果もあるのですが、好き嫌いがはっきり分かれる香りです。そんな香りに注目して〝完全無欠のパチョリ〟というフレグランスを作ってしまうのがトム・フォードの大胆不敵さです。

完全に大人の香りであり、私たちの中で絶対的に足りない何かを補ってくれる香り。そうです、香りとはある段階に達すると、それは他人に対してではなく自分自身に対して強烈に何かを覚醒させようとするパワーの源になっていくのです。

「パチュリ アブソリュ」はパチョリを森の香りで包み込んだ「静謐さ」を追求した香りであり、浄瑠璃寺のような山寺の本堂で、九体の阿弥陀像と対峙した時に感じる〝究極の精神世界〟を肌の上に再現してくれる香りなのです。

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3種類のパチョリの香りをブレンド

©TOM FORD

ファースト・フレグランスの「ブラック オーキッド」にしてもそうなのですが、トム・フォードはパチョリを本当に愛しています。そんな彼が、この香りのために三種類のパチョリを使用しています。

  1. パチョリオイル・・・水蒸気蒸留により抽出した原始的な香り
  2. パチョリクール SFE・・・二酸化炭素抽出法により抽出されたより高純度なアーシィな香り
  3. クリア ウッド™・・・サトウキビを発酵させ生み出した、本来のパチョリよりも汚れのないクリーンなアンバーとダークウッディな香り(フィルメニッヒ)

スパイシーでハーバルなローリエとローズマリーの香りをモスが包み込んでいく神秘的なスモーキーな香りからはじまります。すぐに、三種類のパチョリが、70年代ヒッピーの幻想的な危険な魅力と、すーっと鼻腔が広がるような墨汁のような静謐さと、キラキラと輝くような新鮮さの三面を絡み合わせながら、ジャミーさを伴いつつ円やかに現れます。

さらに、恐るべきことに、パチョリの三重奏の中に、そつなくガイアックウッド、シプリオール、ヴァイオレットウッド、カシミアウッドといったスモーキーウッドの四重奏が重ね合わせられています。この七重奏が、相乗効果を生み、パチョリの様々な側面(ただし暗い側面のみ削ぎ落とされている)が回転木馬のように回り、催眠効果に近い倒錯感を生み出してくれるのです。

そして、トンカビーンとアンバー、ムスクがレザーの風に乗って円やかなパチョリと優しく混ざり合い、官能的な余韻で包み込んでくれるのです。

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香水データ

香水名:パチュリ アブソリュ
原名:Patchouli Absolu
種類:オード・パルファム
ブランド:トム・フォード
調香師:リシャール・エルパン
発表年:2014年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/30,800円


トップノート:ローリエ、ローズマリー、モス
ミドルノート:パチョリ、ガイアックウッド、シプリオール、ヴァイオレットウッド、カシミアウッド
ラストノート:トンカビーン、アンバー、ムスク、レザー