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【ボッテガ ヴェネタ】パルコ パッラーディアーノⅠ(ミシェル・アルメラック)

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©Bottega Veneta
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パルコ パッラーディアーノⅠ

原名:Parco Palladiano I: Magnolia
種類:オード・パルファム
ブランド:ボッテガ・ヴェネタ
調香師:ミシェル・アルメラック
発表年:2016年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/38,500円

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幻のコレクション『パルコ パッラーディアーノ』

トーマス・マイヤー ©Bottega Veneta

1966年にイタリア北東部のヴェネト州で創業されたボッテガ・ヴェネタ(〝ヴェネト州の工房〟の意味)は、「イントレチャート」と呼ばれる特徴的なレザーの編み込み技法を開発し、1970年代に世界中のセレブに愛されるレザー・ブランドとなりました。

しかし、1980年代には早くも顧客離れが深刻化し、倒産寸前の所を2001年2月にグッチ・グループ(現ケリング・グループ)に買収されました。そして、トム・フォードにより、クリエイティブ・ディレクターとして任命されたのがトーマス・マイヤー(1957-)でした。

2001年6月にディレクターに就任した彼は、17年間の在任中、見事にブランドを復興させ、ボッテガ・ヴェネタをケリングでも最有力のブランドに変えました(2001年から2011年までの間で売り上げを800パーセント増大させた)。

パルコ パッラーディアーノ ©Bottega Veneta

2011年にボッテガ・ヴェネタは、コティと提携し、トーマス・マイヤー自身の宿願ともいえるブランド初のフレグランス「ボッテガ ヴェネタ」を発表しました。そして、2016年6月6日より発売されたブランド初のユニセックスのフレグランス・コレクションが『パルコ パッラーディアーノ』でした。

まず最初に、2年の歳月をかけて生み出された6種類の香りが発表され、2018年までに合計15種類の香りが発売されました。ミシェル・アルメラックアレクシス・ダディエが各3つの香りの調香を担当し、ダニエラ・アンドリエクエンティン・ビスクシドニー・ランセスールが各2つ、そして、ミレーヌ・ アルランアマンディーヌ・クレーヌ・マリーオーレリアン・ギシャールがひとつづつ担当しました。

トーマス・マイヤーはこのコレクションについて、ただ一言『嗅覚のトロンプ・ルイユ』と表現しています。

そんなコレクション『パルコ パッラーディアーノ』のインスピレーションの源は、ボッテガ・ヴェネタ創業の地ヴィネト地方に点在するパッラーディオ様式の庭園です。ちなみにトーマス・マイヤーの父親は建築家であり、この建築様式と庭園についての研究をライフワークにしていました。

そして、トーマスは、この庭園に生息する植物をリストアップしたものを調香師たちに送り、その中で彼らがインスピレーションを受けた植物を選んでもらい思い思いの香りを創造してもらったのでした。以下、それぞれの調香師が選んだ植物と作品の一覧です。

  1. Magnolia マグノリア(ミシェル・アルメラック)
  2. Cipresso サイプレス=糸杉(アレクシス・ダディエ)
  3. Pera 洋ナシ(ダニエラ・アンドリエ)
  4. Azalea つつじ(アレクシス・ダディエ)
  5. Lauro 月桂樹(ダニエラ・アンドリエ)
  6. Rosa ローズ(ミシェル・アルメラック、ミレーヌ・ アルラン)
  7. Lillà ライラック(ミシェル・アルメラック)
  8. Neroli ネロリ(ミレーヌ・ アルラン)
  9. Violetta ヴァイオレット(シドニー・ランセスール)
  10. Olivo オリーブ(アマンディーヌ・クレーヌ・マリー)
  11. Castagno 栗(アレクシス・ダディエ)
  12. Quercia オークの木(クエンティン・ビスク)
  13. Quadrifoglio クローバー(オーレリアン・ギシャール)
  14. Melagrana ザクロ(シドニー・ランセスール)
  15. Salvia Blu ブルーサルビア(クエンティン・ビスク)

一部の香りはトーマス・マイヤーが「誰も触れなかった花、誰も触れなかった森、誰も触れなかったハーブがあります」と言及しているほどのユニークな香りです。

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太陽の輝きに、滅ぼされるはかない花・マグノリア

©Bottega Veneta

パッラーディオ建築のなかでもトーマス・マイヤーが最も魅了されたという『ラ・ロトンダ』

パッラーディオ様式の庭園

マグノリアは、あなたの手が触れた瞬間に黒くなってしまうほどはかない花です。なぜならそれはとても繊細で、太陽の光を浴びると酸化してしまうため、太陽が昇る前の早朝がもっとも魅力的な香りを放つ瞬間なのです。

つまり、すべてが消える瞬間に、最高の香りを解き放つ花。それがマグノリアなのです。

ミシェル・アルメラック

最初に発売された6作品のうちのひとつ「パルコ パッラーディアーノⅠ」は、ミシェル・アルメラックにより調香されたマグノリアの香りです。

マグノリアからは天然香料を抽出することが出来ません。そのため他の香料を組み合わせてマグノリアの香りを生み出していきます。

日が昇る少し前に、あなたがパッラーディオ様式の庭園にあるマグノリアの木の下に腰掛ける情景からこの香りははじまります。すると、近くの柑橘の木々からグレープフルーツ、ベルガモット、オレンジの清々しい香りがやって来るのです。それはまるで太陽の光を浴びる前に、気温の変化を敏感に感じ、期待に胸を膨らませるようです。

柑橘は、決してスパークリングするようではなく、グリーンノートと見事に調和した、あくまで庭園の新緑を覆う朝露が、蒸発していくようなフレッシュさを感じさせます。

すぐに木の温もりに包まれながら、明るい大地=温かなムスクが香りを包み込んでゆきます。そして、朝日の一番最初の光が、ムスクのヴェールを突き抜け、露に覆われたマグノリアの花びらに到達した瞬間、透き通るようなスズランの甘さをアクセントにしながら、クリーミーな甘い香りが解き放たれるのです。

やがて、日は完全に昇り、マグノリアは、オレンジの甘い余韻を残し消えてゆくのです。純度の高いダイヤモンドのようなきらめきと透明感を与えられたマグノリアの香り。それはあまりにも美しすぎるためにスズランの歓喜の声までが香りの端に浮かんでくるほどです。

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もう一度しっかりと再販して欲しいコレクション

©Bottega Veneta

最初に発売された6つの香りによって、パッラーディオ様式の庭園の一日の移り変わりを表現しているというコンセプトの素晴らしさ。そして、肌に身に纏うと一瞬にしてわかる、ラストノートまで安心できる香料の品質のよさ。

しかし、日本のボッテガ・ヴェネタには、その香りの世界観を伝えるフレグランス・スペシャリストも存在せず(恐らく世界的に)、的確なトレーニングが施されなかった為に、完全に宝の持ち腐れとなってしまった〝悲しいフレグランス・コレクション〟になってしまいました。

2016年から2020年にかけて、ブティックの片隅、もしくは、完全に陽の目を見ない環境で販売されていました。

もし、ルイ・ヴィトンのフレグランス・スペシャリストのような方が常駐しており、その世界観の素晴らしさをお伝えし、それぞれの魅力的な調香師たちについてしっかりと説明していたなら、容易に香水愛好家を魅了したことでしょう。

イントレチャートエンボス加工されたフラコンとボトルキャップもブランドイメージに合致していてとても素敵だっただけに、非常に残念な『幻のボッテガ・コレクション』です。今のカルティエもそうなのですが、もはや「お土産のように香水を買ってもらう」という発想は捨てるべきでしょう。

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香水データ

香水名:パルコ パッラーディアーノⅠ
原名:Parco Palladiano I: Magnolia
種類:オード・パルファム
ブランド:ボッテガ・ヴェネタ
調香師:ミシェル・アルメラック
発表年:2016年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/38,500円


トップノート:グレープフルーツ、ベルガモット、オレンジ
ミドルノート:マグノリア、スズラン、ローズ
ラストノート:グリーンノート、イソEスーパー、ホワイトムスク