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【メゾン フランシス クルジャン】グラン ソワール(フランシス・クルジャン)

メゾン・フランシス・クルジャン
©Maison Francis Kurkdjian
メゾン・フランシス・クルジャン
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グラン ソワール

原名:Grand Soir
種類:オード・パルファム
ブランド:メゾン・フランシス・クルジャン
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2016年
対象性別:ユニセックス
価格:70ml/39,600円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム

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「アプソリュ プール ル ソワール」について

フランシス・クルジャン ©Maison Francis Kurkdjian

「アプソリュ プール ル マタン」

フランシス・クルジャンが、2009年にメゾン・フランシス・クルジャンを創業した時に発表した7作品のうちの二つとして朝用と夜用のコロンを生み出しました。その夜用のコロンが「コロン プール ル ソワール」でした。〝パリの夜更けのためのコロン〟という意味です。

〝新しい一日の訪れを伝えてくれるコロン〟の後にやって来る〝過ぎ去る一日を愛おしむ、豊かな夜のコロン〟でした。

2010年にオード・パルファムに進化した「アプソリュ プール ル ソワール」が発売されました。〝パリの夜更けのためのアブソリュート〟と名付けられたこの香りは、コロンには存在しなかったクミンとイランイラン、シダーウッドが加わっています。

賞賛と恐怖を同時に得た香り。ブランド史上最高の香りのひとつです。〝過ぎ去る一日を愛おしむ、豊かな夜のコロン〟の優しい夜の調べとは一転し、〝愛と憎しみの果てに、狂わしいほどお互いを求めあう夜のアブソリュート〟です。

この香りは、まるですべての香料の中に潜む獣=アニマルを引き出し、美しさと汚さを同時に解き放ち、素肌の上で、狂宴を催していくようです。特にフランキンセンス、クミン、ハニーの存在感が際立っています。満月の夜にだけはこの香りは避けるべきかもしれない。

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最終形態を迎えた「グラン ソワール」=〝パリの荘厳たる夜〟

©Maison Francis Kurkdjian

©Maison Francis Kurkdjian

2009年の「コロン プール ル ソワール」=〝パリの夜更けのためのコロン〟が、2010年に「アプソリュ プール ル マタン」=〝パリの夜更けのためのアブソリュート〟へと進化し、2016年(日本では同年10月1日より発売)に最終形態を迎えたのが「グラン ソワール」=〝パリの荘厳たる夜〟です。

それは光の都の眠りを五感で楽しむイベントです。

同時に最終形態を迎えた「プティ マタン」がパリの朝ならば、こちらはパリが夜へと向かう光をテーマに、パリの街が、琥珀色にきらめく夕陽を経て、満天の星のように輝く夕べの移ろう情景からインスパイアされた1920年代風のオリエンタルの香りです。

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〝光の都パリ=究極のアンバーの輝き〟に包まれたなら。

©Maison Francis Kurkdjian

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別名「アンバー ユニヴェルサリス」(〝宇宙一のアンバー=万能のアンバー〟)でしょうか。最初から最後まで徹底的に壮麗たるパリの香りです。それも「二人の巴里」の香りです。

夕陽からはじまる終わりのない夜にかけて、最高の装いで、外見を磨き上げてデートするカップルのためのロマンティックな香りです。食欲も性欲もどちらも触発する香りです。

オレンジの夕陽と街灯に照らされ、パリのブリッジやカフェ、記念碑、噴水、セーヌ河が千の星のように輝くように、素肌の上に舞い落ちる、飼いならされた獣の如し甘いアンバーに温められたハーバルなラベンダーと(クローブ調の)スパイシーなシナモンリーフが、魔性のインセンスのような塩辛く甘苦いシスタスラブダナムと溶け合うようにしてはじまります。

この香りに使用されているラベンダー・インテルメディア (Lavandula x intermedia)は、精油向けに改良されたハイブリッド品種でありカンファー/樟脳とアニスシードの効いた目を醒ませるような清涼感を感じさせます。

すぐに、酔わせるウイスキーのようでありながら、舌を焦がすチョコレートのようなベンゾインとまろやかなバニラが苦みと甘みをシンクロさせながら、アンバーとひとまとめになってゆきます。このとても滑らかなキャラメルバニラは、まったく押しつけがましさがなく、極上の上品さと控えめさを感じさせます。それはただ甘さだけを主張するバニラとは一線を画します。

やがてバルサミックなトンカビーンがクリーミーに素肌の上で引き延ばされ、暗闇の中で蠢く欲情する本能のように、妖艶たる糖蜜(グルマンに近い)が、終わりのない夜を抱くように、とろけて匂い立ちます。

若い女性と男性が身に纏うと「シックな空気を甘く暖かいものにしながらも、クールビューティな二人の世界観」が生み出され、中高年の女性と男性が身に纏うと「甘さの中に潜む、若々しさと洗練の絶妙なバランス」という大人の余裕を感じさせてくれます。

人は〝甘さ〟の中にロマンスを見るのですが、その〝甘さ〟が、ガルニエ宮やオテル・リッツでのデートではなく、パリの街角で浮かれる大人の心を優雅に翻弄させ、昇華させていく香りはなかなか存在しません。その意味において、この香りこそまさに、液体化された恋の物語なのです。

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香水データ

香水名:グラン ソワール
原名:Grand Soir
種類:オード・パルファム
ブランド:メゾン・フランシス・クルジャン
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2016年
対象性別:ユニセックス
価格:70ml/39,600円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム


トップノート:スペイン産シスタスラブダナム、ベンゾイン
ミドルノート:ラバンディンオイル、シナモンリーフオイル
ラストノート:バニラ、アンバー、トンカビーン