グレース・ケリー

グレース・ケリー2 『泥棒成金』2(3ページ)

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作品名:泥棒成金 To Catch a Thief(1955)
監督:アルフレッド・ヒッチコック
衣装:イーディス・ヘッド
出演者:ケーリー・グラント/グレース・ケリー/ジェシー・ロイス・ランディス



優雅さとは、間違いなく機械に囲まれては生まれない

私が去年(2015年)、キューバを訪れた時に感動したのは、マクドナルドもスターバックスもインターネットも存在しないハバナという都市のあり方に対してでした。おおよそ街には看板と言うものが存在せず、人間と街の間に立ちはだかるものが何もないような環境が保たれていました。ほとんどの建物がスペイン植民地時代のままであり、ネオンも十分になく、50年代のアメリカ車のタクシー(相乗りシステム)に乗ろうものなら、真っ暗闇の不気味な路地裏を猛スピードで駆け抜けることになるのです。

しかし、キューバという国には、私たちが確実に失っている何かを蘇らせてくれるものがあります。それは、人間が機械にそれほど依存していなかった時代の時間の過ごし方でした。多くの人々がすごく狭いアパートに住んでいます。靴やシャツは少し破れているのは当たり前です。しかし、なぜか分からないのですが、そんなあり物で、十分におしゃれを楽しんでいる姿に圧倒されるのです。

遠巻きに見るハバナの美しさには本当に圧倒されます(チェ・ゲバラの旧住居から見るハバナが特に絶景)。この作品の中で映し出されるロケ地はカンヌ、モナコです。その風景の雰囲気を見つけることは、今ではハバナでしか無理かもしれません。優雅さとは、機械と広告に囲まれた街の喧騒から生まれるのではなく、全ては調和から生まれるという事なのです。それを私は、マクドナルド、スターバックス、ルイ・ヴィトンなどのネオンが輝かないハバナから感じ、この作品のコート・ダジュールの全景に投影したのでした。



あなたは足が好き?それとも胸が好きかしら?

Annex - Grant, Cary (To Catch a Thief)_NRFPT_02

大人の男性との言葉遊びが女性を磨き上げるのかもしれない・・・

to-catch-a-thief-grace-kelly-and-cary-grant

グレース・ケリーが運転する車。未来を暗示する意味深なシーンです。

グレース・ケリーが優雅にハンドルをさばき、その前をにわとりが横切りる。そして、その後にフライドチキンを手づかみで食べる時に言うセリフがこれです。つまり「にわとりは、足がお好き?それとも胸がお好き?」ということです。モナコ市街を一望するチェルビー村までのドライブ。1982年グレースはこのロケ地近くで、自動車事故によって死んだことを知ってしまうと何とも言えない気分になります。

それにつけても、白のドライビング・グローブが彼女の小麦肌に雪を降らせているようで印象的です。1950年代にこれほど、大人の男性をリードする若い女性像を描いた作品も珍しかったのではないでしょうか?クールビューティーなブロンド美女が、笑顔と狂気をはらんだ目で車を飛ばし、手づかみでチキンにかぶりつき、お次は男性に乗るキスを交わす。ヒッチコックの素晴らしさは、グレース・ケリーの本質であろう肉食ぶりをナチュラルに描くところにあります。つまり彼女が、「あなたの引き締まった足が好き、それとも逞しい胸が好きかも知れない」と男性に言ったとしても、その言葉が似合うであろう所に、多くの女性は、ただ王妃になった人というバリュー以上のバリューを感じるわけなのです。



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