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クラウディア・カルディナーレ

クラウディア・カルディナーレ1 『ピンクの豹』1(4ページ)

クラウディア・カルディナーレ
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元々オードリー・ヘプバーンのための役柄だった。

元気いっぱいにスキーするイタリア娘クラウディアの姿は、到底プリンセスのイメージではありません。

1960年代当時の映画の中でのプリンセスのイメージは、オードリー・ヘプバーンであり、現実においてはグレース・ケリーでした。

CCの魅力は、美人であるにもかかわらず気さくな雰囲気にあります。

温室育ちというよりも、自分の力で伸し上がってきた雰囲気が彼女にはある。

スキーをしていても陽光を感じさせる健康的な人。

作中では登場しなかったピンクパンツ。

プリンセス・ダーラ・ルック1 ピンクのスキールック
  • ピンク色のニットのスキー帽、ボンボン付き
  • ピンク色のアランタートルネック
  • ブラックグローブ
  • ブラックパンツ
  • ブラックブーツ、レースアップ

クラウディア・カルディナーレという女優は、本作に出演するまで、ほとんどの役柄において、健気に生きる裕福ではない下町の美人娘役を演じてきました。それを同時代の日本人女優でたとえるならば『男はつらいよ』シリーズでさくらを演じていた倍賞千恵子こそ相応しいでしょう。そんなさくらが、急遽ハリウッドに招かれ、東洋のお姫様を演じたと想像してもらうと、本作のミスキャストぶりをご理解して頂けるはずです。

更にCCの場合は、はち切れんばかりの健康美溢れる肉体を持っている訳です。映画史上、ここまでプリンセスらしからぬ要素を兼ね備えた女優が、プリンセスを演じた作品は存在しないでしょう。そんなグラマラスな女優のために、プリンセス・ルックを創造することを課せられたイヴ・サンローランの苦労は計り知れなかった筈です。

元々、『ティファニーで朝食を』を1961年に監督していたブレイク・エドワーズは、この役をオードリー・ヘプバーンで希望していました。しかし、結果的に、褐色の肌を持つCCが演じることになり、そのエキゾチックなプリンセスの非現実的な存在感が、60年代の現実的なプリンセス像を凌駕し、タイムレスな神話性を生み出していったのです。

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極めて60年代的なパンツルック

『ホブスンの婿選び』(1954)で好演していたブレンダ・デ・バンジーも出演しています。

黒のタートルネックにブレザーが決まっているデヴィッド・ニーブン。

このシーンで、1972年にモサドに暗殺されるワエル・ズワイテルが、ウエイター役で登場しています。

全身パールカラーで統一したスタイリングが、プリンセスの品格を生み出しています。

プリンセス・ダーラ・ルック2 オールパールカラー
  • パール・シルク・ボートネックシャツ、袖とすそにフリンジ
  • 同色のスラックス
  • 同色のローヒールパンプス、ボウ付き

デヴィッド・ニーブンは、本作で競演したCCに対してこう語っています。「スパゲッティの次に、あなたはイタリアが生み出した偉大なる発明だ!」と。

21世紀に入り、世界各国の映画監督のデビュー作に積極的に出演しているクラウディア。その理由は、「今、映画を撮ることは、昔以上に大変なの。だから、私がそんな彼らのお役に少しでも立てればと思っているのよ」という優しい気持ちからです。

裏表のない性格で、共演者からの受けも抜群だった彼女は、『恋人泥棒』(1968)で共演したロック・ハドソンと性別を越えた友情関係を築くことになり、ポール・ニューマンには、ハリウッド進出中の滞在場所を提供されるほどでした(そして、スティーブ・マックイーンとも強い友情関係を築きました)。