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【バーバリー】マイ バーバリー(フランシス・クルジャン)

バーバリー
©Burberry
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マイ バーバリー

原名:My Burberry
種類:オード・パルファム
ブランド:バーバリー
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2014年
対象性別:女性
価格:30ml/8,424円、50ml/11,772円、90ml/16,416円

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バーバリ史上初めての〝トレンチコート〟の香り

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とっかかりのアイデアは、女性の身体を包み込み、生きているトレンチコートの香りを生み出すことでした。着やすく、時代を超越し、世代を超えて、洗練されていて、でも着飾りすぎない香りです。

クリストファー・ベイリーがいつも口にする 「乱れたエレガンス」とは、トレンチコートが誘発する、少し無頓着で、ほとんど不遜な態度を表現した言葉です。

フランシス・クルジャン(以下、すべての引用はクルジャンのお言葉です)

1856年にトーマス・バーバリーにより、大英帝国で創立されたバーバリーが、(1989年にユニリーバに買収される)ベスコ・フレグランス社と提携し、最初のフレグランスを発売したのは1981年のことでした。しかし、この頃から1990年代にかけて、バーバリーのブランド力は落ちてゆき、存亡の危機に立たされていました。

そんな中、1997年にバーバリーのCEOに就任したローズ・マリー・ブラボー(1951-)は、帝国復活の施策として、2001年にクリエイティブ・ディレクターとして若干29歳のクリストファー・ベイリー(1971-)を抜擢しました。

彼は、1994年にダナ・キャランにより見出され、1996年にトム・フォード王朝下のグッチでレディース部門のシニアデザイナーに抜擢され頭角を現した人でした。ローズ・マリーは、バーバリーの存在感が薄かった北米市場攻略を、最重要視しました。そして2005年までの在任中に、ベイリーの起用が見事に当たり、目的を達成したのでした。

1990年代以降、バーバリーは、インターパルファムとライセンス契約し香水を作っていました。ベイリーは積極的に協力し、香水の開発に取り組んでいきました。

ベイリー率いるバーバリーは、2001年に4億2,500万ポンド(約6億200万ドル)だった売上を、この香水発表時の2011年には、15億ポンド(約24億ドル)にまで回復させました。つまり僅か10年で4倍の売上に拡大したのでした。

2014年9月に、ベイリーは、フランシス・クルジャンをバーバリーの調香師として迎え、「雨上がりのロンドン庭園」と「トレンチコート」からインスパイアされたアイコンフレグランスを誕生させました。その香りの名を「マイ バーバリー」と申します。

日本では2015年6月3日に発売されました。ちなみにこの時期、バーバリーと資生堂は、香水と化粧品の輸入と国内販売を行う契約を締結していました(2017年4月に終了)。

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背のびしたくなるような美しく短い秋を素肌で感じる香り

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ロンドンの都会の庭園からインスピレーションを得ています。そのためこの香りには、街の活気があり、現代的なものになっています。庭園があり、花があり、そして英国人にとって非常に重要なガーデニングの芸術があります。この香水の花のような側面は、雨上がりの庭園というアイデアから来ています。青々とした湿り気があります。土があり、土っぽさもあります。これらすべての感情です。

ロンドンの光の感覚、雲、湿気、雨、花を呼び起こしたいと思いました。トップには、リネンとベルガモットがあります。メインの花はローズとフリージアで、少しスパイシーで明るさを加えています。次にゼラニウムの葉で、ハーブのような、ほとんどミントのような活気を香水に加えています。

さらにベースに、パチョリの葉とマルメロ(洋ナシとリンゴの中間の果実)が感じられます。とても英国的です。ただのフルーティーな香りではありません。フルーティフローラルです。

クルジャン自身が「ロンドンの全てを体現した香り」と答えたこの香りは、トレンチコートのエッセンスを香りで表現するために、まずはコートが必要な季節感を生み出すように、通常は春か夏の風を運んでくれるベルガモット、オレンジ、グレープフルーツ、レモンといったシトラスに、秋の寒風を素肌に運ばせるようにしてはじまります。

すぐにムスクの風の乗って、甘くクリーミーなスイートピーが、冬が来るまでの、背のびしたくなるような美しく短い秋を素肌に広がられてゆきます。そして(酸味も感じる)果蜜を滴らせるマルメロ、パッションフルーツ、ピーチと、ミントのようにフレッシュグリーンなゼラニウムが加わり、素肌は、ハニーが混じり光り輝く雨音で満たされてゆきます。

やがてフレッシュグリーンかつフルーティーな雨が上がり、目覚める大地を思わせるパチョリが広がる中、フリージア、ガーデニア、そしてダマスク・ローズとグラース産センティフォリア・ローズがブレンドされたローズ・アブソリュートが、雨に濡れたゴージャスな花々が厳かに咲き誇ります。ほんのりとスパイシーな甘さが広がります。

だんだんとムーディーに深みを増すレザーとヴァイオレットが、朝、描いたアイシャドウに、違う色を重ねていくだけで、夜はまたちがう雰囲気の目もとに変えていくように、秋の目もとの艶やかさを顔周りから全身に、高級石鹼のような清潔感で包み込んでくれるのです。

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ケイト・モスとカーラ・デルヴィーニュ

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フローラルブーケを選ぶことで、時代を超えた香りが生み出されることになるのですが、ゼラニウムの葉(ミントの色合い)を少し加えることで、リラックスした、少し生意気な感じを出しました。

さらにトレンチコートはもともと男性のワードローブからはじまったものなので、シャキシャキしたマルメロの香りを加えて、花に少し男性的な骨格と風格を与えました。華やかになりすぎないフローラルを作ることに成功しなければならなかったのです。

この秋色の香りを色で示すと、間違いなくバーバリートレンチコートのハニーカラーでしょう。短い秋を楽しみ、冬から春にかけて、やがてやって来る豊潤な果物の蜜の季節を待望させるハニーカラーに包み込まれる、まろやかなフルーティーさと洗練されたフローラルのバランスが絶妙なバランスの香りです。

ガラス製のボトル・デザインのストーン・カラーのリボンは、カッスルフォードの工場で作られているトレンチコートと同じ英国製のコットンギャバジン生地を使用しており、ボトルキャップには、トレンチコートのボタンのデザインが取り入れられています。

キャンペーンモデルとして、英国人のファッション・モデルである二人ケイト・モスカーラ・デルヴィーニュを起用。ジェフ・ベックと歌手のジョス・ストーンが歌う「I put a spell on you」が流れる中、人工の雨の下で、磨き上げられた美脚を露わにする二人の女性。

姉妹でもなく、母娘でもないこの二人の不思議な距離感が、ただのキャンペーン・フィルムの領域を越えた「トレンチビューティ」なモノクロームな洗練された美しい世界観を生み出しています。撮影はマリオ・テスティーノによるものです。

私はこの香りを英国式庭園のように作りました。自由で、少しクレイジーな側面があります。つまり、フランス式庭園を作ろうとした場合よりも、ちょっと枠にはまらない。また、どの花の香りを嗅いでいるのかわからないようにしたかったのです。花のハーモニーは少し漠然としていて、霧がかかっていて、まるで「霧のかかった」イギリスの天気を思い出させるかのようです。

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香水データ

香水名:マイバーバリー
原名:My Burberry
種類:オード・パルファム
ブランド:バーバリー
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2014年
対象性別:女性
価格:30ml/8,424円、50ml/11,772円、90ml/16,416円


トップノート:スイートピー、ベルガモット、マンダリン・オレンジ、グレープフルーツ、レモン
ミドルノート:ゼラニウム、マルメロ、フリージア、パッションフルーツ、ピーチ、グリーンノート、ガーデニア
ラストノート:パチョリ、ダマスク・ローズ、レザー、ヴァイオレット、ムスク