ブルガリ ブルー
原名:BLV Bvlgari
種類:オード・パルファム
ブランド:ブルガリ
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2000年(現在廃盤)
対象性別:女性
価格:25ml/4,800円、40ml/5,900円、75ml/8,900円
新世紀初頭、狂騒の日本の若者文化を象徴する香り
2000年、ブルガリはついにアルベルト・モリヤスと初遭遇を果たすことになりました。この香りのテーマは「予期せぬコントラスト」なのですが、ブルガリとモリヤスこそがこのテーマそのものだった訳です。そして、この時から、彼の将来の名称「ミスター・ブルガリ」の軌跡ははじまったのでした。
また一方で、日本においては、ギャル文化、キャバ嬢文化、ホスト文化との「予期せぬ相性の良さ」を見せた香りであり、ブルガリのブランディングに良くも悪くも決定的な影響を与えた商品でした。
カルダモンに押し出され、氷のように冷たく弾けるベルガモットと、(通常は温かいはずの)スパイシーなジンジャーが溶け合い、爽やかでクリーンな清涼感に圧倒されるようにしてこの香りははじまります。
当時としてはここまではっきりジンジャーが主張する香りは珍しいものでした。
すぐにパウダリーなバニラと透き通るようなムスクがジンジャーを優しい甘さで包み込んでゆきます。この辺りが、非常に繊細な美しさを持っており、少しお酒に酔った時に、好みの男性に優しく介抱されているような〝氷が燃える〟要素があります。
やがて、クマバチが集まってきそうなほど、華やかに涼しげな甘さを放つウィステリア(藤)と、木の実のような亜麻の花が現れ、パウダリーフローラルとクリーミージンジャーの素敵なブレンドが生み出されます。
そして、ドライダウンに向かう中で、ジンジャーは温かみを取り戻します。クリーミーなサンダルウッドとシダーウッドと溶け合い、ソーピィーかつパウダリーなうっとりするような余韻に包み込まれてゆくのです。
この香りが、21世紀初頭の水商売の女性・男性に好まれたのは、獲物を捕まえるための〝蜘蛛の糸〟の役割を果たす効果が絶大だったためでしょう。そのうっとりするようなドライダウンの余韻によって、〝相手を油断させる隙〟を自らに生み出し、罠を仕掛けてゆくのです。
女性用でありながら『機動戦士ガンダム』のグフを連想させる格調高いロイヤルブルーのボトル・カラーに包まれた独特なシルエットの影響もあり、男性にも愛用された香りでした。
ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「ブルガリ ブルー」を「スパイシーフローラル」と呼び、「ミモザとジンジャーのふしぎなアコードはおもしろいが、未完成な感じがする。まるで、締め切りに間に合わそうとして、処方の代わりに、メモ用紙を提出したみたいだ。調香師アルベルト・モリヤスがこれを忘れずに、いつか完全に仕上がった作品を生み出してくれることを期待したい。」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:ブルガリ ブルー
原名:BLV Bvlgari
種類:オード・パルファム
ブランド:ブルガリ
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2000年(現在廃盤)
対象性別:女性
価格:25ml/4,800円、40ml/5,900円、75ml/8,900円
トップノート:ジンジャー、ベルガモット、カルダモン
ミドルノート:ウィステリア、亜麻(タバコフラワー)、ジュニパーベリー
ラストノート:ニセアカシア、サンダルウッド、ムスク、バニラ、シダーウッド