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『マイ・フェア・レディ』Vol.8|映画の中で登場しなかったオードリーの膨大な衣装②

オードリー・ヘプバーン
オードリー・ヘプバーン
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なぜ、オードリーは映画の中で着ていない衣装をたくさん着ているのか?

共通の友人グレタ・ガルボを通じて何年も前からの知り合いであり、撮影前に意気投合していた監督のジョージ・キューカーと衣装デザイナーのセシル・ビートンは、撮影が進むにつれ、セット内で口論を繰り返すようになりました。

その理由は、オードリー・ヘプバーンの写真撮影についてです。セシルの仕事の中に、PR用の写真撮影が含まれていたのですが、基本的にキューカーの映画撮影において、PR用の撮影は、一瞬のスキを縫って、ささっとやり終えなければなりません。

しかし、英国紳士であり商魂逞しいセシル・ビートンには、フォトグラファーとしてのプライドがあります。その姿勢に共感しているオードリー・ヘプバーンと意気投合し、エキストラの衣装を着たオードリーの撮影を行いました。

セシルはそれまでに撮影した千枚以上の写真を欧米の主要雑誌に売り、PRとしても莫大な効果をあげると同時に、彼個人にも莫大な利益を得ていました。清廉潔白で知られているが、怒りっぽいキューカーは、休憩中のオードリーに負担をかけるな!と怒り狂うようになり、最終的にセットでのオードリーの写真撮影を禁止させました。

実際の所、オードリーにとって、コックニー訛りの下町の花売り娘を演じる不安と、ミュージカルシーンと思うようにならない歌唱力に対する重圧の中、唯一の息抜きが、エキストラの衣装を着て、セシルに撮影してもらうひと時だったのでした。

だからこそ、それぞれの写真の中には、解放感に満ちたオードリーの姿を見ることが出来るのです。

オードリーはジーンズにバンダナ変であろうが、オスカー授賞式のために正装していようが、耐えがたいほど美しかった。オードリーが近づいてきてハローと声をかけるだけで逞しい男たちが骨抜きになった。ほかのみんなと同じように、わたしも彼女の目のなかで溺れてしまうだろう。このことを同年代の連中とロッカールーム談議風に話しあったことがあったが、そこには肉欲のニュアンスはいっさいなかった。彼女は気軽に誘いかけたくなるような気持を起こさせなかった。

あるときわたしの妻がいった。「あなたはオードリーとどれくらい親しいの?」。わたしは答えた。『彼女に絶望的な恋をしているよ』。すると妻は言った。『よかった』と。なぜなら彼女は望みがないことを知っていたからである……

アンドレ・プレヴィン

口論するジョージ・キューカーとセシル・ビートン。

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作品データ

作品名:マイ・フェア・レディ My Fair Lady (1964)
監督:ジョージ・キューカー
衣装:セシル・ビートン
出演者:オードリー・ヘプバーン/レックス・ハリソン/ウィルフリッド・ハイド=ホワイト