ラリック
原名:Lalique
種類:オード・パルファム
ブランド:ラリック
調香師:ソフィア・グロスマン
発表年:1992年、2001年
対象性別:女性
価格:100ml/25,300円
公式ホームページ:ラリック
ラリックのはじめての香水
1888年に、稀代のガラス工芸家ルネ・ラリック(1860-1945)により創業されたラリックは、孫娘であり三代目のマリー=クロード・ラリック(1936-2003)により、1992年にブランド初のフレグランスを発売しました。
ラリックのクリスタル製品のように、繊細かつ大胆、清楚でありながら妖艶なコントラストの妙をフレグランスに投影したこの香りは、ソフィア・グロスマンによって調香されました。
太陽のように輝くマンダリンに向かって、ガラスで作られた妖精は、つつましい両手を天に向かって差し伸べます。そんな妖精の回りをどこか人工的なクセのあるガーデニアの甘さが包み込んでゆきます。
すぐにブラックカラントをはじめとする、温かい赤ワインのようなフルーツの甘さが、ガラスの妖精に血液のように注ぎ込んでゆきます。
やがて、オークモスとムスクの風が、ローズとオレンジ・ブロッサムを中心としたフローラル・ブーケを運び、ガラスの妖精の中に、喜びと悲しみが生み出されます。
そして、バニラとアンバーによって、すっかり温かい心を手に入れたガラスの妖精は、クリーミーなサンダルウッドにより、そのガラスの肌が柔らかい人肌へと変わってゆき、美しい女性の姿へとソーピィーな香りと共に転生してゆくのです。
この素敵なボトル・デザインは、マリー=クロード・ラリック自身によりデザインされたものです。最初のボトル・デザインはハニーサックル・モチーフでした。そして、毎年新しいデザインでシリアルナンバー付で発売されました。
2001年リニューアル・ヴァージョン
2001年に、ソフィア・グロスマンにより再調香されたリニューアル・ヴァージョンは、名前を「ラリック ドゥ ラリック」と改め、ボトル・デザインも、最初のハニーサックル・モチーフをアレンジしたもので固定されました。
香り自体は、オリジナルの持つクラシカルなムードは、そのまま残されており、ガラスの妖精の存在を感じさせるものになっています。
ローズとジャスミンを中心とした甘いフローラルブーケの中に、パウダリーなアイリスとスパイシーなクローブが飛び込んでいくようにして、この香りははじまります。
花は、その生命力を直ちに失い、品のある貴婦人の肌を美しく彩るために吸収されていったのでしょうか?そんなとても上品なパウダリー・スパイシー・フローラルの香りに全身は包み込まれてゆきます。
やがて、洋ナシのみずみずしさとブラックベリーの甘酸っぱさが加わり、ほんの少しだけ、現代的なフルーティーなアクセントを感じることが出来ます。
そして、クリーミーなサンダルウッドとバニラを、ホワイトムスクが包み込んでゆき、最初から最後まで存在していた妙に気になるクラシカルな香りの正体を白日の下に曝け出してくれるのです。その正体とは、パウダリーさ、スパイシーさ、フルーティーさ、クリーミーさといった様々な側面を見せてゆくブルガリアン・ローズなのでした。
それは実に器用に自らの魅力を変幻自在に発散させる女性のようなのです。最後の2001年ヴァージョン(現行品)の香りの変化を記載しておきます。
トップノート:ジャスミン、アイリス、ローズ、クローブ
ミドルノート:洋ナシ、ブラックベリー、ブラックカラント・リーフ
ラストノート:マイソール産サンダルウッド、ホワイトムスク、バニラ
タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「古きよき昔に戻ろうとしたものの、ただの時代遅れになってしまった濃厚なフローラル様オリエンタル。すべてが備わっているけれど、うるさいだけで、これといった特徴はない。」と2つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:ラリック
原名:Lalique
種類:オード・パルファム
ブランド:ラリック
調香師:ソフィア・グロスマン
発表年:1992年、2001年
対象性別:女性
価格:100ml/25,300円
公式ホームページ:ラリック
トップノート:シチリア産マンダリン、ブラックカラント、ブラックベリー、中国産ガーデニア
ミドルノート:ピオニー、ブルガリアンローズ、マグノリア、チュニジア産オレンジ・ブロッサム、イランイラン
ラストノート:インド産サンダルウッド、シダーウッド、バニラ、アンバー、ユーゴスラビア産オークモス、チベット産ムスク