イプノーズ
原名：Hypnose
種類：オード・トワレ
ブランド：ランコム
調香師：ティエリー・ワッサー、アニック・メナード
発表年：2005年
対象性別：女性
価格：50ml／8,000円
甘くも冷たい「氷の女王」の香り
©LANCOME
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ランコムのフレグランス50作記念として、2005年に発売した新作フレグランス「イプノーズ」は、アニック・メナードとティエリー・ワッサーという豪華な組み合わせにより生み出されたオリエンタル・ウッディの香りでした。
イプノーズとは、フランス語で「催眠」の意味です。ちなみにアニック・メナードは、ディオールにて「ヒプノティック プワゾン」（1998）という似た意味を持つ香りを調香した経験があります。
氷の石柱のようなボトルは、氷の女王が棲む、氷のお城のようでもあります。そんなボトルから吹き出す香りは、「催眠」という名とは裏腹な冷たい風です。
バニラシャーベットとリコリス（甘草）がブレンドされた苦味のある冷たいバニラからこの香りははじまります。冷たくもミルキーだという所がミステリアスな空気を運んでくれます。
すぐにハーバルなパッションフラワーとベチバーがブレンドされ、ソーダーシャーベットのような弾けるような感触を与えてゆきます。
やがて、グリーンジャスミンとガーデニアといったホワイトフローラルが、クリーミーさによって香りの後方を旋回するように香り立ちます。そして、バニラはベチバーと溶け合いながら、ときに焦がされたカラメルのような香りを放ちながら、肌の上に吸い込まれていくように一体化してゆきます。
甘くも冷たいという恐ろしいバランスが、この香りを嗅ぐ人々を魅了してやまない、「氷の女王」を生み出す香りです。この香りを吹きかけ、1時間ばかしツンとお澄ましした後で、笑顔を見せれば、どんな堅物の男でさえもイチコロで虜にしてしまいえそうな香りです。
さすが、香りの調教師＝アニック・メナード様と、悪魔に魂を売った過去を持つ男＝ティエリー・ワッサーの二人の魔女の饗宴です。
ウォン・カーウァイによるキャンペーン・フィルム
©LANCOME
2005年春からランコムの顔となったファッション・モデル・ダリア・ウェーボウィ（1983－）が登場するキャンペーン・フィルムは、ウォン・カーウァイが監督しました。
女性のシルエットからインスパイアされたボトルデザインは、1950年に専属調香師ジョルジュ ルプリューにより生み出された「マジ」のために、ランコムのアーティスティック・ディレクター・ジョルジュ・デロムにより生み出されたボトル・デザインをアレンジしたものです。
日本においては、着物をイメージしたボトル・デザインという風に紹介されました。
ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「イプノーズ」を「単調なオリエンタル」と呼び、「ティエリー・ワッサーやアニック・メナードといった有能な調香師を雇い、衣類の柔軟剤を作る費用で名香を作らせるにはどうすればよいのか？ロレアル（ランコムの親会社）はこういうことをする情けないけちな会社だ。だがこれもまた、金持ちが金持ちたるゆえんかもしれない」と2つ星（５段階評価）の評価をつけています。
香水データ
香水名：イプノーズ
原名：Hypnose
種類：オード・トワレ
ブランド：ランコム
調香師：ティエリー・ワッサー、アニック・メナード
発表年：2005年
対象性別：女性
価格：50ml／8,000円
トップノート：パッションフラワー
ミドルノート：ジャスミン・サンバック、ガーデニア
ラストノート：ベチバー、バニラ