イエス アイ ドゥー 甘い謎
原名:Don’t Get Me Wrong Baby , Yes I Do
種類:オード・パルファム
ブランド:エタ リーブル ド オランジェ
調香師:アントワーヌ・メゾンデュー
発表年:2016年(2007年)
対象性別:女性
価格:50ml/16,500円、100ml/25,300円
販売代理店ホームページ:NOSE SHOP
「勘違いしないでよね」という名の香り。
2006年に創立されたニッチ・フレグランス・ブランド「エタ リーブル ド オランジェ」が翌年(2007年)に発表したスズランの香り「ドント ゲット ミー ロング ベイビー」は、アントワーヌ・メゾンデューにより調香されました。
「ドント ゲット ミー ロング」とは、「勘違いしないでよね」という意味であり、1986年に、全米No.10を記録したプリテンダーズのヒット曲のタイトルもこれです。
その名に「イエス アイ ドゥー」が追加され、2016年に発売されたのがこの香りです。それはディオールのスズランの名香「ディオリシモ」の世界観とは全く別の世界を行く、〝甘い誘惑〟を求める乙女のために作られたスズランの香りです。
思春期のスズラン=乙女のミュゲの香り
さあて、あなたの目の前に、スズランの花束を持った乙女が立っています。彼女は、その大きな目を爛々と輝かせ、スズランの花束の中にオレンジ・ブロッサムも紛れ込ませています。
無邪気なマシュマロのような甘さも漂わせながら、洋ナシとアルデハイドにより弾き出され、その乙女は、まるでバレリーナのように私たちの心の中にピルエットしながら飛び込んでくるのです。
すぐに透き通るようなジャスミンが、スズランの甘さを際立たせてゆきます。そして、パチョリとココアがムスクによって掻き混ぜられながら、彼女の若さの情熱がほとばしるのです。
スズランの若々しさと清らかさを、最後まで成熟へと結び付けなかった「思春期のスズラン」の揺れ動く情熱を〝甘やかさ〟に託した香りです。それは大人になってしまった女性には踏み込めない少女の領域を「イエス アイ ドゥー」させてくれる香りなのです。
トップから存在するアルデハイドの輝きが、マシュマロとココアのしっとりとした甘さを経て、ムスクと同化していく瞬間に、このスズランの香りの真のタイトルを思い知らされるのです。それは、「ドント ゲット ミー ロング」=「もう子供じゃないの」なのです。
2007年発売当時のこの香りのイメージは?
ちなみに2007年に発売されたオリジナルの香りのテーマは全く違うところにありました(ボトルカラーもピンクではなかった)。
「ドント ゲット ミー ロング ベイビー」の後に続く言葉は、「アイ ドント スワロー(I don’t swallow.)」。そのテーマは〝アメリカンキス〟であり、夜の車の中で、女性の扱いに慣れた男性とキスすることになった女の子が、心の中では、「女の子とキスするためなら誰に対してもこんなに優しいんでしょうね。あなたのことちっとも信じてないから」と言い聞かせている〝乙女のキモチ〟がテーマの香りなのです。
一方で、この男性は「女の子なんてみんな同じだな」と心でほくそ笑んでいるのです。甘いキスの背後にある、男女の駆け引きを〝ピュアなスズランとジャスミン、オレンジ・ブロッサム=女性〟と〝甘くてビターなチョコレートとマシュマロ=男性〟に置き換えた香りでした。
つまりは、甘い男性にエスコートされている無邪気な女性、もしくは、凛とした女性に誘惑の甘い罠を張り巡らせる、そんな少し浮かれ気分の危険なムードを漂わせるスズランなのです。
ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「この香水は今日のとてもクリーンなフローラルである。」と2つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:イエス アイ ドゥー 甘い謎
原名:Don’t Get Me Wrong Baby , Yes I Do
種類:オード・パルファム
ブランド:エタ リーブル ド オランジェ
調香師:アントワーヌ・メゾンデュー
発表年:2016年(2007年)
対象性別:女性
価格:50ml/16,500円、100ml/25,300円
販売代理店ホームページ:NOSE SHOP
トップノート:アルデハイド、スズラン、洋ナシ
ミドルノート:ピオニー、ジャスミン、オレンジ・ブロッサム
ラストノート:シダーウッド、パチョリ、ココアアブソリュート、マシュマロ、ムスク