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【ル ラボ】テ ノワール29(フランク・フォルクル)

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テ ノワール29

原名:The Noir 29
種類:オード・パルファム
ブランド:ル ラボ
調香師:フランク・フォルクル
発表年:2015年
対象性別:ユニセックス
価格:1.5ml/990円、15ml/13,200円、50ml/29,700円、100ml/42,900円
公式ホームページ:ル ラボ

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イチジクとアールグレイと黒薔薇で生み出されたブラックティー

©LE LABO

2006年3月に発表された10の香水と共に、ル ラボの歴史は始まりました。そして2010年に「ウード27」が誕生し、2011年に「サンタル33」が誕生しました。この香りの登場により、ル ラボは、ニューヨークを中心に世界中のファッショニスタの心を掴むきっかけになりました。

そして、ル ラボ旋風の中、2013年に「イラン49」が「リス41」と共に発売されました。2014年にエスティローダーに買収され、ル ラボ旋風がさらに加速する中、2015年に発売されたのが「テ ノワール29」でした。

「サンタル33」を調香したフランク・フォルクルにより調香されました。「テ ノワール29」の「29」とは、29種の香料により生み出されたという意味を持ちます。

「サンタル33」でミステリアスな木の香りで世界中のファッショニスタを虜にしたフランク・フォルクルが、ミステリアスなブラックティーの香りで、〝お茶〟の香りが好きな一般層までル ラボの香りの虜にしてしまった〝フレグランス帝国の作り方〟の教科書のような、定石の流れで生み出された香りです。

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紅茶が踊る〝華やかなブラックティー〟の香り

©LE LABO

©LE LABO

フレグランス・ブランドにとって、定番のオーデコロンを生み出す以上に重要なこと、それは〝血〟とも言える〝大ヒットするお茶の香り〟を生み出すことです。

その一見簡単なようで最も難しい課題を果たしたこの香りは、摘み立てのイチジクとバラの花びらに、一絞りのベルガモットと一つまみのベイリーフ(シナモンリーフ)を加え、ひとまとめにし、そこにブラックペッパーを少々振り掛け、極上のアールグレイの煌めきを素肌に注ぎ込んでいくようにしてはじまります。

「テ ノワール29」の魅力は、香りを嗅ぐというよりも、香りを振りかけるというよりも、香りを素肌で飲んでいくように、不思議な浸透力を見せてくれるところにあります。

すぐに、だんだんと剥きたてのミルキーなイチジクの果汁が引き伸ばされていく素肌に、タバコとヘイが到来し、スモーキーなコクと土っぽさがどんどん増してゆきます。

やがて、たゆたうムスクの風に乗り、シダーウッドとベチバーが、円やかに立ち上るブラックローズと溶け合い、ブラックティーと錯覚させる〝磨き上げられたダークな木の深み〟で満たしてくれるのです。

スタイリッシュなモノトーンのオーラに包まれる〝華やかなブラックティー〟と表現したい「テ ノワール29」は、「サンタル33」の血を引くものです。スパイシーでもウッディでもフレッシュでもスイートでもビターでもない、アールグレイのように澄み渡る、ブラックティーのカジュアルなエレガンスを感じさせます。

それは絶対にあなたを裏切らない誠実な友人のような存在であり、嬉しいときも悲しいときも、その感情を一緒に分かち合いたくなる香り。周りさえも、幸せな気分にしてくれる香り。でありながら、周りを魅了するミステリアスな何かをどんな鈍感な人に対してさえも感じさせる、記憶に残る香り。

麻布台ヒルズのようなとびきりラグジュアリーな建物の内覧会から、日常の生活の中まで、カメレオンのように変幻自在に香りの印象を変えていく〝魔法のお茶の香り〟とも言えます。

何気にすごいのは、イチジクにベストマッチする二つの組み合わせである、クリーミーさを引き出すココナッツや、フレッシュさを引き出すガルバナムなどのグリーンノートを避け、ドライでシャープなひねりを加え〝新しいイチジクの魅力〟を引き出しているところにあります。

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香水データ

香水名:テ ノワール29
原名:The Noir 29
種類:オード・パルファム
ブランド:ル ラボ
調香師:フランク・フォルクル
発表年:2015年
対象性別:ユニセックス
価格:1.5ml/990円、15ml/13,200円、50ml/29,700円、100ml/42,900円
公式ホームページ:ル ラボ


トップノート:イチジク、ベルガモット、ベイリーフ
ミドルノート:シダーウッド、ベチバー、ムスク
ラストノート:タバコ、ヘイ(干し草)