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【トバリ】スモーク フラワー(トバリ)

その他
©2007 蜷川組「さくらん」フィルム・コミッティ
その他その他ブランド調香師香りの美学
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スモーク フラワー

原名:Smoke Flower
種類:オード・パルファム
ブランド:トバリ
調香師:不明
発表年:2018年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/13,200円、100ml/16,500円

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花魁をテーマにした、世界に誇ることができる歴史的傑作

高尾太夫(たかおだゆう)の浮世絵。

明治末期の花魁の写真。

1575年に創業し、1965年に線香「青雲」のヒットにより、翌年より社名を日本香堂に改めた線香製造メーカーが2018年に生み出した日本発の香水ブランドそれが『TOBALI トバリ』です(2016年には京都・二寧坂に〝香十〟という店舗もオープンしています)。

『TOBALI=帳(とばり)』とは、覆い隠し、秘める布=空間を隔てて見えなくする垂れ絹のことです。谷崎潤一郎の『細雪』の4人姉妹のひとり雪子の持つ〝魅力をひけらかさず、敢えて内に秘める事により、奥ゆかしさの中から美は昇華する〟という、日本女性の独特の感性が導き出した〝秘める美〟をテーマとして2018年に一挙5作品が発売されました。

全ての香りに共通したベースノートとして「Hidden Japonism 834(合成ウード)」が使用され、〝色気と知性〟〝強さと情愛〟〝気品と狂気〟など、相反するイメージが表現されています。すべての作品は、クリエイティブデザイナー(ディレクター)の米津智之氏により生み出されています。

そのうちのひとつ「スモーク フラワー」は、〝色気に秘める知性〟をテーマにした、色気をスズラン、知性をタバコに託した香りです。花魁と高尾太夫に捧げられしこの香り。日本が江戸時代だった17世紀から18世紀にかけて、吉原で美貌と知性において最も有名な遊女を〝高尾太夫(たかおだゆう)〟と呼びました。

高尾太夫は11代目まで襲名され、名跡が廃された後に、吉原遊郭の最高級の遊女を〝花魁〟と呼ぶようになりました。つまり、この香りのテーマは江戸時代に全盛を誇った高尾太夫と、やがて滅びさる明治以降の花魁の世界=〝男が通う極楽道。女が売られる地獄道。〟をテーマにした香りなのです。

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〝一度ふっきれると女は強い〟=花魁の凄艶肌の香り

©2007 蜷川組「さくらん」フィルム・コミッティ

『吉原炎上』の二宮さよ子様と名取裕子様。

煙花(えんか)と名づけられたこの香りは、〝女の強さ=花魁の凄艶な肌〟を香りにした歴史的傑作と言っても過言ではないでしょう。それはトバリという領域を超え、日本のお香文化が辿り着いた〝香水文化〟に対するひとつの答えなのです。

〝太陽の光とは無縁〟なアガーウッド(ウード)が夜闇を漂う中、酸味を含んだウードの風に乗り、ピンクペッパー、ウコン、カルダモン、ジンジャー、クローブといった華やかなスパイスが蝶々のように肌に舞い降りるのです(たしかにそれは極彩色の花々のような妖艶さも感じられます)。

この香りは、〝はじまりからおわりまで美しく〟香るのです。〝一度ふっきれると女は強い〟そんな女性の持つ〝強さ〟のあらゆる側面を、ひしめくスパイスにより投影していくように、情念が立ち上るように香りは広がっていくのです。

すぐに、キセルを燻らせたようなタバコの香りが、情念を燃え上がらせるように渦巻き、スパイスと炎上するように肌の上に降り注ぎます。そこに凛としたスズランの色気が、抗し難いほどの甘やかなグリーン・シャワーを注ぎ込み、肌と肌が重なり合いひとつになるように溶け合うのです。

お金で買われ、絶世の美貌と、磨き上げた知性を駆使して、遊郭の頂点まで駆け上り、お金で道中を買い、颯爽と歩く、高嶺の花。まさに〝ふっきれた女の凄み〟が、厳かに香るインセンスとアンバーによりパウダリーな儚くも甘い余韻を残してゆくのです。

この香りが何よりも恐ろしいのは、遊女の頂点の絢爛たる虚飾と実像を、合わせ鏡のように香らせるところにあります。それはまるでスモーキーなウードとインセンスに包まれ誘い導かれた女が、京都から博多までスパイシーな最愛の人を追いかけて、今日も会えずにスズランの涙を流す、そんな純愛に命をかける乙女の一面さえも描き出しているのです。

あと5年も経てば、資生堂の「ノンブル ノワール」のように神格化されていく可能性のある香りでしょう。

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2021年11月に「M1700 SMOKE FLOWER」となる

©COLOURS ONLINE STORE 2022

©COLOURS ONLINE STORE 2022

2021年11月3日にトバリはブランドを終了し、11月4日より新しいフレグランスブランド、サウザンドカラーズにそのDNAは引き継がれる形になりました。そして、「スモーク フラワー」も「M1700 SMOKE FLOWER」の名でボトルデザインがリニューアルされ、継続販売されることになりました(25ml/9,350円、100ml/17,600円)。

ちなみに〝M1700〟の意味は、高尾太夫の全盛の年代の意味です。

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香水データ

香水名:スモーク フラワー
原名:Smoke Flower
種類:オード・パルファム
ブランド:トバリ
調香師:不明
発表年:2018年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/13,200円、100ml/16,500円


トップノート:タバコ、ピンクペッパー、ウコン、カルダモン、ジンジャー、クローブ
ミドルノート:スズラン、ライス、インセンス
ラストノート:アンバー、アガーウッド(ウード)、カシミア・ウッド

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