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ペンハリガン

【ペンハリガン】ラヴァンティウム(クリスチャン・プロヴェンザーノ)

ペンハリガン
©Penhaligon's
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ラヴァンティウム

原名:Levantium
種類:オード・トワレ
ブランド:ペンハリガン
調香師:クリスチャン・プロヴェンザーノ
発表年:2014年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/23,760円

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緑の妖精<アブサン>と、黄金の怪人<ラム酒>のマリアージュ

©Penhaligon’s


2007年にペンハリガンのジェネラル・マネージャーに就任し、ブランド復興の舵取り役を見事に果たしていたサラ・ロザラムが、右腕のクリエイティブ・ディレクター、ナタリー・ヴィンチグェッラと2008年に生み出した最初の香り「エリクシール」により、オリヴィア・ジャコベッティがペンハリガン初登場となりました。

それ以降、実力派調香師を起用する流れがはじまりました。そんな中、2014年に(19世紀末の)ロンドンと植民地とを結ぶ大英帝国の貿易ルートから想起された「トレードルート コレクション」として、3種類の香りが発表されたのでした(日本では2015年2月25日から全国発売されました)。

そのうちのひとつが、「ラヴァンティウム」です。その名の意味は〝Levant=レバント〟つまり1581年から1825年にかけて、ギリシャからエジプトに至るオスマン帝国の東地中海貿易を開拓した英国のレバント貿易会社から採られています。

イスタンブールを中心とした、英国とオスマン帝国との間の貿易を連想させるエキゾチックなスパイスや妖しげなお酒にインスパイアされた、オリエンタル・ウッディ・フローラルな香りです。クリスチャン・プロベンザーノにより調香されました。

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悪魔を憐れむウードとピーチローズの香り



モネ、ロートレック、モディリアーニ、ランボーらに愛され〝緑の妖精〟と呼ばれたアブサンと、海賊を筆頭に海の男たちに愛されたラム酒のマリアージュからこの香りははじまります。

〝緑の妖精〟と〝黄金の怪人〟がひとつになった瞬間、祝福するようにダバナとサフランが魔性の輝きですべてを満たしてゆくのです。「ラヴァンティウム」は、〝悪魔を憐れむ香り〟なのです。海賊船から飛んでくる大砲のような激しさと、蜃気楼の中に見える幽霊船のように捉えどころがなく、おぼろげで妖しい美しさを持ちます。

そして、あいつはやって来た!魔法の壺の中から、スモーキーなウードが立ち上るのです。明るくジューシーなピーチと華やかに咲き誇るローズとヴァイオレットを魔法のパチョリで包み込む、天国から吹いてきたようなうっとりさせる甘酸っぱい風と共に、ウードがやって来るのです。

ムスキーでスモーキーで、しかもアーシィーなウードが、サフランのバターのような質感を引き出し、すべての香料について判別不可能なほどひとまとめにしてゆくのです。

甘い誘惑に満ちたジャスミンやイランイランの囁きと、温かいカルダモンとクローブの抱擁も添えられる〝魔の刻〟に飲み込まれていく中、ピーチの果蜜とバニラとミルラが滴り落ちてゆきます。そして、サンダルウッドとガイアックウッド、シダーのとろけるような甘さと燻された木樽とハーモニーを奏でながら、全身に満ちひろがるのです。

〝異国のお酒とスパイスと花々とタバコの爆発〟。まるでロバート・ルイス・スティーヴンソンの冒険小説を素肌で読み上げていくように、はじまりからおわりまで、スケールの大きな変化を肌の上で見せてくれる香りです。

ペンハリガンの香りの中にウードが初登場したのは「アイリス プリマ」ですが、この香りから本格的にウードをセンターに据え、新たなる『ペンハリガン劇場』の幕が切って落とされることになったのでした。

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香水データ

香水名:ラヴァンティウム
原名:Levantium
種類:オード・トワレ
ブランド:ペンハリガン
調香師:クリスチャン・プロヴェンザーノ
発表年:2014年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/23,760円


トップノート:サフラン、ダバナ、アブサン、ベルガモット
ミドルノート:ローズ、クローブ、カルダモン、ジャスミン、ヴァイオレット、イランイラン、ピーチ
ラストノート:ウード、ガイアックウッド、パチョリ、サンダルウッド、アンバー、ミルラ、シダー、ムスク、バニラ