ラベンダー エクストリーム
原名:Lavender Extreme
種類:オード・パルファム
ブランド:トム・フォード
調香師:オリビエ・ギロティン
発表年:2019年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/49,500円
アロマセラピーはラベンダーから誕生す
古代の帝国(エジプト、ギリシア、ローマ、アラビア)に愛された植物ラベンダー。その語源は、「洗う」というラテン語から来ており、それは、古代ローマ人が洗濯や入浴に用いていたことからという通説があります。そして、ハーブとしても万能薬として重宝されました。
さらには、ルネ=モーリス・ガットフォセによって1930年代に生み出された造語「アロマセラピー」が誕生するきっかけになったのが、ラベンダー油を火傷の治療に使用したことからという伝説も生み出されたのでした。
そんなラベンダーの香りの一般的なイメージは、気持ちを落ち着かせてくれる優しいハーバルな香りです。トム・フォードの面白いところは、クリエイティヴ・ディレクターのキャリン・コーリーと共に、そういったラベンダーのイメージを覆そうとしたところにあります。
トム・フォードのラベンダー革命
「プライベート ブレンド コレクション」の新作として2019年4月(日本は7月19日)に発売された、〝ラベンダー革命〟とも呼べる「ラベンダー エクストリーム」は、オリビエ・ギロティンにより調香されました。
トム・フォードは、かつて2011年に、ヤン・ヴァスニエの調香によりラベンダーの新たなる一面を引き出そうと画策したことがありました。「ラベンダー パーム」という名のその香りは、ビバリーヒルズ・ブティック限定で発売されました(現在は廃盤)。この香りは、その最終形態と言えます。
まず最初に、プロヴァンスのオート=アルプ県が産地である2種類のラベンダー精油が登場します。
ひとつは高地で育てられたラベンダーで、すがすがしい香り立ちが特徴です。もうひとつは、谷間に咲くラベンダーを3日間乾燥させたアンバーのような香りが特徴のものです(精油抽出の前に乾燥させることにより、ハーバルが突出することになる)。そこにイタリアン・ベルガモットが絡み合い、グリーンとシトラスの閃光が放たれます。
やがて酵素プロセスにより、土っぽさが取り除かれたキャロットシードに、3つ目のラベンダーであるラベンダー・アブソリュート・フランス(ミルキーかつバルサミック)がブレンドされ、ラベンダーのハーバルな側面がエクストリームに達します。
しかし、ここからがこの香りの真骨頂なのです。ハーバルな三種類のラベンダーがブレンドされた香りに、ローストしたトンカビーンが注入され、ほど良い甘さを加えていくのです。そして、ベンゾインも加わり、クリーミーかつウッディなオリエントの余韻に満たされるのです。
かくして「ラベンダー革命」により、アロマセラピーを生み出したラベンダーの清純派のイメージは、妖艶なメイクアップとグラマラスなトム・フォードのシルバードレスにより、ファムファタールな〝魔性のラベンダー〟へと転生を遂げるのです。
30年代のハリウッド・ビューティーの香り
グラマラスなシルバードレスを着た女性のシルエットからインスパイアされた、トム・フォードらしいオールシルバーのボトルデザイン。
それはまさに1930年代のハリウッドの女神キャロル・ロンバード様(飛行機事故で僅か33歳で死去した悲劇のハリウッドスター)が着ていたシルバードレスのようです。
トム・フォードの生み出すビューティーの法則。それは、30年代のブラック&ホワイトのハリウッドビューティーの世界観に、色彩を与えているところにあります。
香水データ
香水名:ラベンダー エクストリーム
原名:Lavender Extreme
種類:オード・パルファム
ブランド:トム・フォード
調香師:オリビエ・ギロティン
発表年:2019年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/49,500円
トップノート:ベルガモット、ヴァイオレット
ミドルノート:ラベンダー、ゼラニウム、ローズ、シナモン、ニンジン
ラストノート:クマリン、トンカビーン、ラオス産ベンゾイン