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【ディプティック】キョウト(アレクサンドラ・カーリン)

ディプティック
©Diptyque
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キョウト

原名:Kyoto
種類:オード・トワレ
ブランド:ディプティック
調香師:アレクサンドラ・カーリン
発表年:2021年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/24,970円

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非常に興味深い〝京都〟の香り

©Diptyque

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ディプティック創業60周年を記念して、2021年8月26日に「ル・グラン・トゥール」コレクションが発表されました。このコレクションは、世界の五都市(パリ、ヴェネチア、ミリエス、京都、ビブロス)を香りで表現した数量限定のものとなります。

そのうちの二つが「キョウト」と「ヴェネチア」と命名されたフレグランスです(ちなみにキャンドルの「パリ」はオリヴィア・ジャコベッティにより調香されました)。

ディプティックの本店があるパリから丁度一万キロ先にある(創業者の三人が訪問を夢にまで見て果たせなかった)「キョウト」はアレクサンドラ・カーリンにより調香されました。

600年の歴史がある京都発祥の生け花をテーマにしたこの香りは、生け花における〝天・地・人〟の概念を〝天=インセンス、地=ベチバー、人=ローズ〟に置き換えフレグランスで表現した香りです。

私はかつて生け花に感銘を受け、その背後にある哲学を理解しようとして多くの本を読み漁りました。しかし、その精神を知るためには自分自身で作ってみることが一番だと常々感じていました。

そして、生け花の精神を〝調香〟によって達成しようとしたのがこの香りです。不完全なものを受け入れ、そこから価値を見つけ出すという侘び寂びの精神を表現するため、ビートルートの苦味と酸味が、予測不可能なアクセントになっています。

アレクサンドラ・カーリン

華やかさとは対極に位置するこの世界観は、華やかな東京から新幹線に乗り、京都駅で降り、タクシーで東山に向かう町並みの変わり行く様子にそっくりです。

雨が流れる清水坂。東山には、カラフルな色合いは似合わず、繊細なくすんだ和色がしっくりきます。そして、そういった色彩に包まれる中で、日本人がいかに大地を感じる静寂の中、自然と調和することに喜びを見出していたのかということを思い出すのです。

苦味と酸味が駆け巡るビートルートの蕪のような野菜の香りに、静かに真紅のスパイシーなローズが溶け込んでいくようにして「キョウト」の香りははじまります。ローズが最初から最後まで感じられるのですが、インセンスがビートルートと不思議な調和を見せてゆきます。

そして、枯山水のようなベチバーが加わり、ローズは肌の上から、心の中へと浸透するように静かに花を咲かせてゆくのです。京都という古都の様々な一面を生み出してくれそうな香りです。

2020年に発売されたコム・デ・ギャルソンの「ルージュ」もビートルートが主役の香りですので、こちらとも比較してみたいと考えています。

ちなみにボトルを包む風呂敷は、創業者たちが60年代にデザインした「Sarayi(サライ)」モチーフです。

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アレクサンドラ・カーリン様に注目!



アレクサンドラ・カーリンは、少女時代より文学の世界に魅了され、ソルボンヌ大学で文学を専攻しジャーナリストを目指していたのですが、18歳になり、調香師に対する憧れをつのらせ、2002年にISIPCA(イジプカ)に入学しました。

その後、グラースのロベルテで3年働いた後、2007年にシムライズに入社しました。

CIROの「ル シープル デュ ニル」「プタハ」(2018)、「コロンビーナ」(2019)やBDKパルファムの「ベルベット トンカ」(2021)、メゾン・マルジェラの「マッチャメディテーション」(2021)を手掛けている、今最も勢いのある調香師の一人です。

ちなみにこの作品において彼女が目指したゴールは、最も扱いにくい野菜という分野において、画期的な香水を作るということでした。そんな彼女が創造の面において〝究極のフレグランス〟と断言する香りはディオールの「ファーレンハイト」とオリジナルの「ディオールオム」とのことです。

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香水データ

香水名:キョウト
原名:Kyoto
種類:オード・トワレ
ブランド:ディプティック
調香師:アレクサンドラ・カーリン
発表年:2021年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/24,970円


シングルノート:インセンス、ターキッシュローズ、ベチバー、ビートルート