金髪のカーリーヘアにチャイナドレス
金髪のカーリーヘアにチャイナドレスというとんでもない組み合わせで登場するカレン・モク(1970-)は、この作品で香港電影金像奨(香港のアカデミー賞)の最優秀助演女優賞を受賞しました。
そして殺し屋とブロンディは尖沙咀のマクドナルドで運命的な再会を果たします。しかし、この再会は、殺し屋には全く覚えていない不思議な再会でした。
カレンのコギャル的なファッションが渋谷発のコギャル文化に与えた影響は計り知れません。
僅か10数分だけの彼女の出演シーンが、本作の全てを食い尽くしたのかもしれません。ブロンディのこのファッションが映し出されたスチール写真は、本作のポスターやビデオ、DVDなどの多くのメディアを埋め尽くすことになりました。

カレン・モク、167cm。彼女もイギリス人のハーフです。

圧倒的な歌唱力と存在感を誇る女優でした。
ブロンディのファッション1
ニューチャイナ
- シャンパンゴールドのチャイナドレス、スリット入り
- 黒の半袖のシースルートップス
- ハイヒールミュール(安っぽい感じ)
- 黒の持ち手の白のトート

マクドナルドで食事するシーンさえもスタイリッシュにしてしまうクリストファー・ドイル。

パンキッシュなカレン・モクのファッション・センス。24時間マックが珍しかった時代。

90年代当時のコギャルの心を捉えたその存在感。

目を引くファッションで自分を作り上げているが、実は、寄せ集めで悲しいまでに空虚である。

あくまで脇役に過ぎない彼女が、本作のほとんどのメディアのジャケットを飾っています。
「プチプラ・コーデの教科書」

美人なのか不美人なのか分かり難いのがカレン・モクの魅力です。
1990年代の109やOPA、EST(またはHEP)にいたコギャルたちのような下着仕様のタンクトップに上から透ける素材のシャツを羽織っているブロンディ。同時代のパリジェンヌは決してしないアジア人独特のスタイルに、当時の世界中のファッション・デザイナーは度肝を抜かれました。
カレン・モクのファッションは、殺し屋の腕に歯形を残す以上の、壮大なる影響力を後のファッション・シーンに与えたのでした。そして今も与え続けているのです。
そのアジア的な独特の感性のアンサンブルは極めてファスト・ファッションとの相性が良く、この作品が「プチプラ・コーデの教科書」と呼ばれるのも、その先駆的なスタイリングの姿勢ゆえでした。
ブロンディのファッション2
トムボーイ・スタイル
- グレーの白ストライプのクロップドパンツ
- パコ・ラバンヌ風ストラップサンダル
- 透け感のある白ブラウス、2つのフラップポケット
- 青空色にフラワープリントのブラトップ
- 黒の持ち手の白のトート

バーの入り口は、新橋や京都の七条通の居酒屋群にあるようなビニールシート。

グランジ風ストライプパンツと90年代的なストラップサンダル。

トム・ブラウン的でかなりトムボーイセンスに満ちたスタイル。

90年代にアジア圏で大流行した派手なブラトップ。

今見てもハイセンスなエッジの効いたスタイル。
作品データ
作品名:天使の涙 Fallen Angels 堕落天使(1995)
監督:ウォン・カーウァイ
衣装:ウィリアム・チャン
出演者:ミッシェル・リー/カレン・モク/チャーリー・ヤン/レオン・ライ/金城武