ジーン・セバーグ

ジーン・セバーグ1 『勝手にしやがれ』1(4ページ)

    作品名:勝手にしやがれ À bout de souffle (1959)
    監督:ジャン=リュック・ゴダール
    衣装:クレジットなし
    出演者:ジーン・セバーグ/ジャン=ポール・ベルモンド


    海が嫌いなら、山が嫌いなら、都会が嫌いなら、勝手にしやがれ!

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    白黒。低予算。ゲリラ撮影。それでもじゃなくて、<だから>2人は今も生きている映画。

    ハンフリー・ボガートに憧れる一人の若きチンピラが行き当たりばったりに殺人を犯し、マルセイユからパリに逃亡します。そして、かつて3日間のアバンチュールを楽しんだアメリカ人留学生パトリシアをうまく丸め込みイタリア逃亡を画策します。しかし、パトリシアに(警察に)密告され、ボロキレのように死んでいく。そんな他愛もない内容の映画なのですが、2人の主人公たちが〝生き生きと〟すごく不思議な魅力を発しています。

    この作品において、ジーン・セバーグのファッションは、世界中の女性に影響を与えることになります。1959年8月17日から9月15日にかけて、わずか1ヵ月足らずで撮影されたこの作品から、大衆ファッション文化が始まったとも言えます。一人の暴走する青年の死を描きながらも、芸術の都パリに生きるアメリカ人女性が、自由を謳歌し、感性を高めていく、生への喜びが対比的に描かれていることが、この作品のラストの一言「最低だ!」のセリフに色々な意味を持たせたのでした。



    ジーン・セバーグから教わる「フレンチカジュアルの鉄則」

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    ピクシーカットにシンプルな着こなし。良く見るとかなり上質なリブニット。

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    タイトルの「A bout de souffle」とは、「息切れして、力尽きて」の意味。

    これは恐らくファストファッションのイメージ戦略なのでしょうが、そういった服装の着こなしのヒントとして登場する回数が最も多く、そして、映画自体は誰も見ていないという代表的な作品のひとつです(他に『麗しのサブリナ』など)。パトリシアのアパートメントには、絵画のポスターが貼られています。ちなみに、冒頭でミシェルがお金を盗む女優志願のアパートメントには「ELLE」がベッドに転がっています。クローゼットの服の数も豊富なので、モード好きな女性なのでしょう。

    絵画のポスターを飾り、クラシック音楽を聴き、ウィリアム・フォークナーを読む女子大生が、ファストファッションで自己表現を楽しむことはないでしょう。絵画と文学で培われている感性に基づいてファッションを組み立てていくはずです。しかし、この作品を取り上げる多くのファッション雑誌の光の当て方は、さぁ、チープな衣服をカジュアルにオシャレにジーン・セバーグのように着こなそうという当て方をします。実に薄っぺらなファッションの捉え方です。

    パトリシアのスタイルの魅力とは、明確に捉えどころのない七変化ぶりにあるのです。そこには、パリ・モードに対する興味がないわけではなく、パリの生活の中で、シーン、シーンに合わせたファッションを楽しんでいるのです。私は、新聞社から出たときにボーダーワンピースに着替えたパトリシアがミシェルの前で嬉しそうにくるりと一回転してみせる姿は、まさにパリ・モードをストリートで体現する喜びを表現した象徴的なシーンだと感じました。そうなのです。この作品のジーン・セバーグこそは、ファッションに対する女性のリトマス紙なのです。

    パトリシア・ルック1 ヘラルドトリビューン・ルック
    • ヘラルドトリビューンのロールアップされた半そでリブニット。ハイネック。肩口から二の腕の3分の1までに収まる絶妙の袖丈
    • アクセサリーは腕時計。小さな巾着袋
    • ゆったりめの九分パンツ
    • ローファー



    セシル・カット再登場

    vprokate.ru

    「悲しみと無とでは、悲しみを選ぶ」ミシェル

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    ピクシーカットにはスマイルが似合う。

    オードリー・ヘプバーンが『ローマの休日』と『麗しのサブリナ』で披露したショートカット。それを更にベリーショートにしたものが、セシルカットと呼ばれます(欧米ではピクシー・カット)。アンドロギュヌス・イメージを更に突き詰め、少年のような無垢な魅力を発散する髪型で、60年代に入り、ミア・ファローやツイッギーのトレードマークになりました。

    ピクシー・カットは、ロングヘアで画一化されがちな女性に、個性を取り戻させるカットです。美人はより美しく見えるという形容ではなく、美人から個性が生み出されるヘアスタイルです。ジーン・セバーグの場合は、その頭をなでてあげたいなと思わせる愛らしさを持ち合わせていました。このセシル・カットは、『悲しみよこんにちわ』(1957年)において、パリ初の女性ヘアアーティストであるマリア&ロージィ・カリタ姉妹により創造されました。この姉妹こそ、「カリタ」の創始者です。

    パトリシアは、このピクシー・カットに、キャットアイラインで合わせており、それが彼女の愛らしさと大人っぽさの絶妙なバランスを生み出しています。この作品の後、ピクシー・カットがフランスを中心に大流行することになります。



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