マット・シュルツのスーツ
この作品において隠れたベスト・ドレッサーはマット・シュルツ(1972-)でしょう。ピンストライプのスーツとドレスシャツの色とシルエットのバランスが素晴らしいです。マットは本作の役柄のために16日間断食し、体重を18キロ落としたのでした。
ルール#4:ポロシャツは決して着ないこと
フランクという役柄には全く必要のなかった〝セックス〟をして以降、ブラックスーツも登場せず、そのファッションも著しく精彩さが欠けていきます。
そこで登場するスカイブルーのポロシャツ。あれほどスーツをカッコよく着こなしていたジェイソン・ステイサムが、ポロシャツになったとたんに、野暮ったさを感じさせるのは、ピチピチのポロシャツが鋼のような肉体を誇示させすぎなことによるでしょう。
男性においても女性においてもそうなのですが、肉体を誇示しすぎることは得てして、逆効果になるということです。ファッションにおいての不文律。それは見せすぎないということなのです。
本作からリトル・ブラック・スーツが誕生した。
フランク・マーティン・ルック3 戦闘スタイル
- カーキー色のニット
- ブラックデニム、リーバイス
- 茶色のブーツ
この作品が、日本人にブラックスーツの美学を伝えたという意味では『レザボア・ドッグス』以上のモード・ブラックスーツ=リトル・ブラック・スーツのはしりと言えます。
鍛え上げられた肉体にスリムフィットしたジョルジオ・アルマーニのブラック・スーツに、上質な白シャツと、ラペルの幅に合わせた細身のタイと、ブローグシューズ。決して崩しすぎないスーツの着こなし。この作品は、ただのアクション映画ではなく、明らかに21世紀の全ての男性にとっての、スーツのルールその一なのです。