アンドロギュヌス

グレタ・ガルボ1 『グランド・ホテル』2(2ページ)

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作品名:グランド・ホテル Grand Hotel (1932)
監督:エドマンド・グールディング
衣装:エイドリアン
出演者:グレタ・ガルボ/ジョーン・クロフォード

グレタ・ガルボとジョーン・クロフォードを創造した男。

ガルボとクロフォードが同じセットにいる唯一の写真。映画の中では、二人は一度も顔合わせしない。

私はMGMに入る前から、彼女の優美な魅力、神秘的な美貌に圧倒されていました。私にはガルボが大地にシッカリ根を張った大樹のように思えたのに、彼女の衣裳はそれをまるで理解していなかった。本物のスターが安っぽいガラスの宝石やニセ物の服に身を包んでいるのが残念でならなかった。

エイドリアン

エイドリアンとグレタ・ガルボ。

『グランド・ホテル』におけるグレタ・ガルボ(1905-1990)の演技は、ガルボ自身が、『アンナ・カレニナ』(1927)以来最高の出来だと自画自賛する程でもなく、完全にジョーン・クロフォード(1904-1977)に喰われていました。1才年上のクロフォードの方が遥に若々しく魅力的な女性に見え、ガルボは当時20代であったにも関わらず30代後半に見えるほど疲れ果てたムードを漂わせていました(さらにジョン・バリモアとの恋愛シーンにおいては、安っぽい盲目の愛の小芝居が始まり、むず痒くなるほどです)。

しかし、この作品におけるガルボの衣裳には一見の価値があります。衣装を担当するのは、エイドリアン(1903-1959)です。

1928年にMGMに入社したエイドリアンは、29年から42年にかけて衣裳デザイナーのヘッドを務め、専用のビルまで与えられます。最終的に週給1000ドル(なんと週給500万円)を手にした彼は、「MGMの作品は、他のメジャーとは違うんだ。ここではスターだけではなく、エキストラまでもが美しい。それがMGMなんだ」という名言を残しています。彼の衣裳のための予算は、底なしだったのです。1930年代の黄金のハリウッドは、まず破格の予算で生み出された衣裳から創られたのでした。

元祖アンドロギュヌス女優=グレタ・ガルボ

スウェーデン・ストックホルム生まれのグレタ・ガルボ。

「グレタ・ガルボの神話」は、全く自分の作品の宣伝に協力しないという宣伝によって生み出された。

全身をすっぽりと包み込んだ着心地の悪そうなネグリジェ。

グレタ・ガルボ・ルック1 シャイニーなネグリジェ
  • マオカラーの中国風のサテンネグリジェ

エイドリアンは、グレタ・ガルボの衣裳に対して、細部に至るまで絶対に手を抜きませんでした。それは、ガルボという女性が、ハリウッドスターにしては珍しく時間を厳守し、衣装合わせの仮縫いに対しても決して不満を言わないというプロ意識の高さに対する敬愛の念からでした。

浮いた噂も無ければ、ハリウッドのパーティにも一切顔を出さず、私生活を売り物にせず、MGMのスタジオに来る時もぼさぼさの髪にノーメイクで、男物のシャツとパンツに、色気のないサンダルというメンズライクなスタイルでした。そのため、ガルボは、本当は男性ではないかという噂まで出たほどでした。

グレタ・ガルボの魅力とは、映画の中でも十分に見えてくるコミュニケーション障害なムードにあるのです。捉えどころがないからこそ、神秘的であり、結局彼女は最後まで何者だったのかはっきりしないというのが、ガルボの魅力なのです。



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