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【グロリア】(1980年版)21世紀の女たちのバイブル

ジーナ・ローランズ
ジーナ・ローランズ
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【グロリア】

Gloria 今では想像もつかないほど荒廃したニューヨークという街を舞台に、犯罪組織のボスの情婦だった49歳のグロリア・スウェンソンが、6歳のプエルトリコ人の少年フィルと共に、組織に対して逃避行を繰り広げるものがたり。

当時、世界最高の犯罪率を誇ったサウス・ブロンクスを出発点に、エマニュエル・ウンガロの高級服に身に包み、小走りでハイヒールを履いたまま犯罪都市ニューヨークの荒廃した街路や地下鉄内を駆け抜けるのです。

そして、グロリアは教えてくれるのです。女が惚れる女の条件。それは損得勘定抜きで戦い抜く女であること。だからこそ、この作品の公開当時のキャッチコピーにはこう書き記されているのです。「グロリア、あんたはすごい。タフで、クールで・・・やさしいよ」と。

ジョン・カサヴェテス監督の唯一の娯楽大作であり、1969年から1979年の空白の時代を越えて、復活したヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞を、1980年にルイ・マル監督の『アトランティック・シティ』と共に受賞しました。

何よりもグロリアを演じたカサヴェテスの妻でもあり名女優のジーナ・ローランズ(1930-)の役に対する入り込み方が素晴らしく、くたびれたオバサンがいつの間にかとんでもなく魅力的な女性に見えてしまうという奇跡を起こしています。

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あらすじ

ニューヨークがかつて最悪の治安を誇っていた1970年代後半のものがたり。サウス・ブロンクスのスラム化したアパートに住むグロリア(ジーナ・ローランズ)が、お昼前、友人のジュリのもとにいつも通りコーヒーを飲みに行くと、ただならぬ緊張感に包まれていました。

マフィアの会計士をしているジュリの夫ジャックの横領がバレ、組織に消されかけており、FBIに情報提供し、魔の手から逃れようとしていたのですが、いまやギャングに包囲されており、逃げ切れないと観念しているところでした。

そして、ジュリは、6歳の息子フィルをグロリアに預けるのでした。その時、ジャックが渡した手帳にマフィアの秘密の情報がすべて記されていたのでした。

ジュリとジャックを含む一家全員惨殺されたフィルと共にアパートを脱出するグロリア。実は彼女は、このマフィアのボスの元情婦だったのでした。無関係を装いたいグロリア。しかし、6歳の少年をほったらかすわけにもいかず、「子供は大嫌いなの」と疎んじながらも、追いかけてくるギャング達から少年を守るために、銀色の拳銃を発砲してしまうのでした。

安宿を転々としながら必死の逃亡劇を繰り広げる二人。やがて、グロリアはフィルに母性を感じるようになり、フィルも、グロリアを深く慕うようになっていくのでした。そして、遂に追い詰められたグロリアは、すべてに決着を付ける決意を固め、逆にマフィアのボスの邸宅に乗り込んでいくのでした。

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ファッション・シーンに与えた影響

GLORIA
21世紀のあらゆる年代の女性のためのバイブルである『グロリア』が、ファッション・シーンに与えた影響は、以下の二点でした。

  1. 映画のために衣裳提供をさほど行わなかったエマニュエル・ウンガロの全盛期のファッションが堪能できる
  2. 1980年の最悪の治安のニューヨークの風景が、生々しく映し出されている

過去の街並みから沸き起こるファッション・インスピレーションは、ファッションに関わる仕事に従事するものにとってとても重要なことです。

つまりは、グロリアという女性がとても魅力的に見えるのは、1980年のニューヨークの本当に危険な空気が、映像を通して伝わってくるからなのです。

作品データ

作品名:グロリア Gloria (1980)
監督:ジョン・カサヴェテス
衣装:エマニュエル・ウンガロ/ペギー・ファーレル
出演者:ジーナ・ローランズ