アルベルト・モリヤス

フラワー・バイ・ケンゾー (アルベルト・モリヤス)

    香水名:フラワー・バイ・ケンゾー Flower by Kenzo オード・トワレ
    ブランド: ケンゾー
    調香師:アルベルト・モリヤス
    発表年:2000年
    対象性別:女性
    価格:30ml/6,800円、50ml/9,300円、100ml/14,000円
    公式ホームページ:KENZO















    ★★★★☆ メロンウッディ

    アメリカの哲学者ジョージ・サンタヤナが話したように(私たちが彼のことを忘れる前だけど)、過去を思い起こし得ないものは、過去を繰り返すように運命づけられている。悲しいことに、あらゆる芸術の中では香水はいちばん記憶喪失症。香水の歴史に記憶する価値がないんじゃなくて、伝えられないのだ。きれいにコピーしたり、CDに焼きつけることはできないし、口ずさむことも書き留めることもできない。たいていの若手画家は、ミケランジェロの「アダムの創造」の本物は見ていなくても版画ポスターは見たことがあるはずだけど、オリジナルの「エメロード」を嗅いだことがある若い調香師は、ほとんどいないだろう。もちろん、アルベルト・モリヤスはキャロンの「ロイヤル・ベイン・ド・シャンパーニュ」をほぼ完璧に暗記していて、それを複製したものにヘディオンを少し加えてフラワーを作った。でも誰も気づいていないみたい。私もルカが教えてくれるまでまったく知らなくて、思わずおでこをぴしゃりと叩いた。ロイヤル・ベイン・ド・シャンパーニュはさっそうとした甘いパウダリーウッド。めまいがするくらいのメロン、ミュゲ、ヘリオトロピンで飾り立てている。香りは甘美でユーモアがある。タキシードでタップダンスを踊っている感じ。アメリカの作曲家ガーシュインの曲(魅惑のリズムがぴったり)に匹敵する香水。そうはいっても、フラワーがリメイクだって気づかなくても許される。ロイヤル・ベイン・ド・シャンパーニュ(シャンパーニュのブランド側がオリジナル名を嫌がった)は、しばらくして本来の香りではなくなってしまったのだから。実際には古代ギリシャ彫刻をコピーしたローマのブロンズ像のように、フラワーは密かにクラシックな価値を守っている。オリジナルのエメロードはとっくの昔に忘却の彼方だけれど。― タニア・サンチェス

    『「匂いの帝王」が五つ星で評価する世界香水ガイドⅡ』ルカ・トゥリン/タニア・サンチェス 原書房

    トップノート:クロスグリ、サンザシ、ブルガリアン・ローズ、マンダリン・オレンジ
    ミドルノート:オポポナックス、ジャスミン、パルマ産すみれ、ローズ
    ラストノート:バニラ、ホワイト・ムスク、インセンス

    KENZOの創立者・高田賢三の引退時に、彼の愛した花の1つポピーをモチーフにして作られた香り。都会で今を生きる女性たちを応援する香り。アスファルトにも咲くことの出来るポピーは、ギリシア神話の絵の背景や、江戸時代には浮世絵に好んで描かれた美しい真紅の花です。その香りは、作り上げたフローラルな香りではなく、みずみずしいグリーンさを含む生花の香り。まさに品のいいフローラル・ショップの香り。

    2013年、中国人のスーパーモデル、ミン・シー(1989-)がキャンペーン・モデルに。その前のキャンペーン・モデルは『トランスポーター』(2002)『クローサー』(2004)で有名な台湾人映画女優スー・チーでした。一輪挿しの花瓶の様なボトル・デザインはセルジュ・マンソーによるものです。サイズによって挿されたポピーの造詣が違い、小さなサイズから大きなサイズまで並べると花が咲いていく瞬間がよく伝わる画期的かつ幻想的なデザインです。



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