【シャネル】クリスタルオードゥトワレット（アンリ・ロベール/エドモン・ルドニツカ）

クリスタルオードゥトワレット

原名：Cristalle Eau de Toilette
種類：オード・トワレ
ブランド：シャネル
調香師：アンリ・ロベール、エドモン・ルドニツカ
発表年：1974年
対象性別：女性
価格：100ml／15,070円
公式ホームページ：シャネル

シャネル CHANEL クリスタルオードゥトワレット 1.5ml アトマイザーお試し香水レディース人気ミニ【メール便送料無料】

価格:700円
(2021/12/10 08:53時点)
感想(4件)

エドモン・ルドニツカ唯一のシャネルの香り
都会で輝く女性が、かぎりなく透明になるための香り
クリスタルの広告集
香水データ

エドモン・ルドニツカ唯一のシャネルの香り

©CHANEL

©CHANEL

1936年にコティでスズランの香り「ミュゲドボワ」を生み出していたアンリ・ロベール（1899－1987、シャネルの二代目専属調香師）と、彼の盟友として同時代の調香界を牽引していたエドモン・ルドニツカがタッグを組んだ香りです（彼は1956年にディオールのために、スズランの香り「ディオリシモ」を生み出しています）。

1974年に生み出された「クリスタル」は、ルドニツカがシャネルのために創造した唯一の香りでした。

日本ではアンリ・ロベール単独調香の香りとして取り上げられるのですが、紛れもなく、二人の天才調香師の奇跡のコラボレーションにより生み出された、ガブリエル・ココ・シャネル（1883－1971）の追悼の意を込めた渾身の香りでした。

クリスタルのように輝き色めくシトラス・シプレの香りのテーマは、〝都会を離れ過ごす、自然と戯れる週末〟です。それはどこか（No.5をつけていない）マリリン・モンローの休日を連想させます。

ある夏の雨上がりの晴れた日の午前10時。肌に受けるそよ風と共に、あふれんばかりのフレッシュなレモン（ジューシーさを排除した）とベルガモットが弾けます。そんなシトラスの悦びに、バジルがぴりりと加わっていくところからこの香りははじまります。

朝露に濡れるガルバナムの新緑のハーモニーが、ハーバルグリーンへとその悦びを変えていきます。

やがて自然との戯れに慣れ親しんだ肌に馴染んでいくように、みずみずしい新緑のヒヤシンスとフルーティーなハニーサックル、ジャスミンが浸透していきます。そして、その柔らかい甘さにより、眠りについていたほのかなレモンの残り香が目を覚まします。

あくまでも洗練されたスタイルは放棄せずに、自然を謳歌する女性のように、自然と調和しきれないぎこちなさを感じさせる所にこの香りの醍醐味はあります。

ドライダウンに向かうにつれ、大地から立ち上るように存在を増すオークモスとベチバーにより、シプレの要素はさらに強くなり、花々は、色めきたちやさしくふんわりと咲き誇ります。そして、グリーンとフローラルが混ざり合った苦味のある甘さで身体全体は包み込まれていきます。

どこまでもかぎりなく透明にちかいシトラスシプレの香りです。

都会で輝く女性が、かぎりなく透明になるための香り

©CHANEL

©CHANEL

1991年より、スーパー・モデルのクラウディア・シファーがキャンペーン・モデルに起用されました。ちなみにこの香りは、ディオールのディオレラとよく比較される香りです。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「誰よりも優れた分類をする香水の分類家マイケル・エドワーズによれば、このクリスタルはすがすがしいシトラス系である。それはもっともなのだが、このクリスタルの魅力は、ある種から別の種へと進化の枝わかれをする途中にある生物のように、これがグリーンシプレの一種でもあるところだ。」

「グリーンシプレはエドワーズの分類によれば新鮮な苔と樹の香りである。シトラス系とすれば、クリスタルはちょっと真面目過ぎる。シプレ系とすれば、この香水には独特な朝の気分、おそらく特別な夜を明かした後の朝の気分がある。」

「見知らぬ美女と夜を過ごし、目覚めてみると彼女はすっかり服を着て化粧も済ませ、何事も無かったように去る用意ができている、そんなビジネスライクな爽やかさ。連絡先の代わりに残すのは、クリスタルの香りだけ。美しく、ちょっと怖い。」と5つ星（５段階評価）の評価をつけています。