【バイレード】ジプシーウォーター（ジェローム・エピネット）

ジプシーウォーター

原名：Gypsy Water
種類：オード・パルファム
ブランド：バイレード
調香師：ジェローム・エピネット
発表年：2008年
対象性別：ユニセックス
価格：50ml／24,530円、100ml／34,980円
公式ホームページ：バイレード

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価格:990円
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疲れた心に優しく突き刺さる香り
香水データ

疲れた心に優しく突き刺さる香り

2006年に創設されたバイレードから、2008年に発売された、「ジプシーウォーター」は、ジェローム・エピネットにより調香されました。

「ジプシーの水」は、その名の通り、ジプシーと呼ばれるヨーロッパの放浪の民ロマのライフスタイルからインスパイアされた香りです。

ジプシーという存在はなかなか日本人にはピンとこないのですが、ビゼーの「カルメン」もしくは、ブラームスの「ハンガリー舞曲」やサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」などが、ジプシーから影響を受けた音楽として有名です。

ただし、この香りは、ジプシーという存在の迫害と差別の歴史の重みよりも、一般的な〝自然に根ざした自由の民〟というイメージにより作られています。

大自然の森の奥深くにずっと歩いて進んでいくのではなく、ラグジュアリー・ホテルに隣接した（獣も害虫もガラスの破片も存在しない）平和な森を裸足で歩くような、絶対的な安心感の中で、自然を謳歌する〝しあわせを呼ぶ松林の香り〟です。

針葉樹林の森の中で、すがすがしい松林の中を散歩していると、ふいにスパイシーかつフルーティーなジュニパーベリーの香りが森全体を酔わせるように包み込んでゆく、そんな情景からこの香りははじまります。

すぐに風に乗って、近くにある二箇所の果樹園からシトラスの香りがやってきます。大きなレモンの果樹園と、少し遠いところにある小さなベルガモットの果樹園です。

明るく快活な柑橘と森林の香りにペッパーがアクセントとしてブレンドされており、スカっとする爽快なジンフィズのような触感を与えています。

そして、徐々に減退するシトラスと入れ替わるようにインセンスがスモーキーな焚き火のような燻した空気を運び、レモンの残り香とパインニードルとジュニパーベリーが温かい甘さで包まれていきます。

やがてクリーミーなサンダルウッドとアンバリーな（少しキャラメル）バニラが、肌に浸透するのではなく、疲れた心に優しく突き刺さる、パインニードルを生み出すのです。

バイレードの中でこの香りが最も売れている理由は、この香りの〝超聖水〟のような役割にあると思います。後ろ向きな要素が一切存在しない香りで、それでいて、背中を押すような、強引さも一切存在しない、〝生きる楽しさをボトルに詰め込んだような香り〟、つまりは「香りのツィゴイネルワイゼン」なのです。

タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「このレモンカスタードとサンダルウッドの組み合わせが、ジプシーと関係あるとは思えないし、そのことを深く詮索する気にもなれない。本質的にジバンシーの「イザティス」のような80年代の大物の、フローラルの部分を消し去ったもの。いい香りだけど個性がない。」と3つ星（５段階評価）の評価をつけています。