イヴ・サンローラン

カトリーヌ・ドヌーヴ2 『昼顔』2(2ページ)

    作品名:昼顔 Belle de jour (1967)
    監督:ルイス・ブニュエル
    衣装:イヴ・サンローラン
    出演者:カトリーヌ・ドヌーヴ/ミシェル・ピコリ



    健康体を究めるためには、病体を理解しなければならぬ

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    ピエール・クレマンティよりもミシェル・ピコリの方が男性の魅力を発散していた。

    あの娼館で毎日彼女が過す2時間は、他の時間とはまったく切り離された時間、別個な時間、独立した時間を形づくっていた。その時間が流れている間、セヴリーヌは、芯から自分が何者であるかさえ忘れていた。その間、彼女の肉欲の秘密だけが、束の間開いたかと思うと早くもまた処女のような安息に還っている、やがて、セヴリーヌは、自分の生活が二重だとさえ感じなくなった。彼女には、自分の一生は、かくあるべきものとして、生れない以前から定められていたもののように思われた。

    『昼顔』 ジョゼフ・ケッセル

    心と肉体が離反する瞬間に生まれるアンバランスなバランスを知った時の衝撃。そして、その後にやってくるもう引き返せないことに対する怖れ。やがて日常を支配し始める闇。この作品の原作がジョゼフ・ケッセル(1898-1979)によって書かれたのは1929年でした。約90年前の小説です。そして、映画は50年前の作品。であるにもかかわらず現在においても色褪せない、いや寧ろ濃厚ささえも漂わせるこの作品の本質にあるのは、1人の女性が麻薬中毒者になる様と同じ点を描いている所にあります。

    最初は、ほんの好奇心から始まり、やがて、二重生活が本当の自分が充実する生き方だったのだと、開眼し、終には、その闇に、日常さえも支配されていく姿。それは更には、性欲の行き着く先が、底なしのアブノーマルであることも、示唆しています。SMの女王様は、本当は、自分が究極の奴隷になることに憧れているというあの不思議な感覚です。



    イヴ・サンローランのサファリ・ジャケット

    Catherine Deneuve + Belle de Jour + beige dress

    イヴ・サンローランがサファリ・ジャケットを発表(1968年)する一年前の作品です。

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    モデル:ヴェルーシュカ。ベージュ・コットン・サファリ・ジャケット(イヴ・サンローラン)。シルバー・ループ・ベルト。フォトグラファー:フランコ・ルバルテリ。ヴォーグ・パリ、1968年。

    1968年、イヴ・サンローランが、サファリ・ジャケットをモードへと昇華しました。元々、サファリ・ジャケットとは、アフリカでブッシュ(茂み)の中に入るためのジャケットとして作られたものでした。それは主に軽いコットンかポプリンで作られました。カーキの生地に、エポレットと4つのポケットが付いているデザインが一般的でした。

    1935年、初めて「サファリ・スーツ」として貴族がアフリカ大陸への狩猟旅行のためのラグジュアリー・ウェアとして紹介され、1936年、アーネスト・ヘミングウェイウイルス&ガイガーに作らせたジャケットが当時話題になります。

    1939年、アバクロンビー&フィッチがサファリ・ジャケットとトラウザーの一式をレジャーウェアとして売り出します。そして、1960年代から70年代にかけて、テッド・ラピドスとイヴ・サンローランがファッション・アイテムに取り入れ、定番アイテムになりました。それは、本作のサファリスーツと、1968年SSのサンローランのアフリカ・コレクションを更に進化させたものでした。



    そのコンセプトは、『5月革命』でした

    Catherine Deneuve, Genevieve Page, Francoise Fabian, and Maria Latour in Belle de Jour, 1967

    1967年までサファリスタイルは、モードなアイテムではなかった。

    Catherine Deneuve + Belle de Jour + beige 6

    ヴェルーシュカもそうですが、基本はゴールドチェーンベルトで合わせます。

    イブ・サンローランも語るように、モードとしてのサファリ・ジャケットは、1966年から激化したフランスの学生運動の影響から生まれました。最終的には、1968年のパリの5月革命を経て一般公開されることになったのです。野性の都と化したパリでサバイブするためのファッション。だからこそ、男性的かつ女性的であり、これを身につける人は、その性差さえも越えてしまう不思議さに包まれるところに、アンドロギュヌス的な魅力がありました。

    それは、もはやそのファッション自体が元々の意味を全く失い、新たな社会情勢の中で、変化するファッションの意味を世に示した画期的なファッションでした。人は、ファッションに合わせて生きるのではなく、ファッションが社会に合わせて変化を遂げていく。それが、トレンドという言葉の慣わしの始まりであり、ファッションの商業化はますます加速することになりました。

    そんな本格的なサファリ・ジャケットの発表に先駆けること1年。カトリーヌ・ドヌーヴにより、サンローランのサファリ・スタイルのプロトタイプは発表されていたのです。それはミリタリー・スタイルとは全く異質の、しかし、カジュアルスタイルでもない、新しいエレガンスの提案としての〝サファリ〟だったのです。

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    セヴリーヌは貞淑な妻の時は、几帳面に整えたアップスタイルとなり、娼婦の時は、その髪を解き放つのです。

    セヴリーヌ・ルック5 サファリ・ファッション
    • サファリドレス。サンドベージュ。パッチポケット。フライ・フロント・ジップ。エポレットに金ボタン。シャツカフス
    • ゴールドチェーンベルト
    • 靴は同じロジェ・ヴィヴィエ




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