ピエール・カルダンは衣裳を担当していません。
セシル・ルック4 グレー・パジャマルック
- グレーのコットンジャージー・セーラー・パジャマ
- クロップド・レギンス
この作品の衣裳を担当したのは、バルドーが、崇拝していたファッション・デザイナーであるアルレット・ナスタ(1937-)でした。つまり、一般的に記載されるようにピエール・カルダンによるものではありません(彼がデザインしたものは、ウエディング・ドレスのみ)。
アルレット・ナスタほど日本で過小評価されているファッション・デザイナーは存在しません。彼女こそが、『シェルブールの雨傘』で登場したギンガムドレスを発明した人であり、60年代のブリジット・バルドーのスタイルをほぼ全て創造した人なのです。そして、そんなバルドー・ルックに影響され、ジェーン・フォンダや、カトリーヌ・ドヌーヴ、シルヴィ・バルタン、ジーン・セバーグ、ジュリー・クリスティ、エリザベス・テイラーもこぞって、彼女の顧客になっていったのでした。
アルレットが1957年に僅か19歳でオープンしたパリの高級ブティック「リアル」は、マリー・クワントが1955年にロンドンでオープンした高級ブティック「バザール」と共に、当時の若きファッショニスタ達の関心を一身に浴びたのでした。