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アラン・ドロン5 『シシリアン』(2ページ)

アラン・ドロン
アラン・ドロン
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作品名:シシリアン Le Clan des Siciliens (1969)
監督: アンリ・ヴェルヌイユ
衣装:エレーヌ・ヌーリー
出演者:ジャン・ギャバン/アラン・ドロン/リノ・ヴァンチュラ/イリナ・デミック

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当時33歳には見えないアラン・ドロンの老けっぷり。

撮影当時(1969年3月から7月)、アラン・ドロンは地獄の環境の中にいた。

1969年当時、フランスを代表する男優は4人いました。そのうちの3人が共演したのが本作です。撮影時64歳のジャン・ギャバン(1904-1976)、そして、49歳のリノ・ヴァンチュラ(1919-1987)、最後に、最も脂の乗り切っていた33歳のアラン・ドロン(1935-)が共演した作品です。ちなみに、この作品に登場しなかったフランスを代表する男優の最後の一人は、ジャン=ポール・ベルモンド(1933-)です。

アラン・ドロンは、前年に撮影された『さらば友よ』(1968)、その前年に撮影された『サムライ』(1967)『冒険者たち』(1967)において、30代に突入し、圧倒的な男性的な魅力を発散していたのですが、この作品においては、異様なまでに老け込んでいます。特に額の皺がすごく、目元に異様なまでの疲労感が見て取れ、肌自体に潤いがありません。

それは1968年10月に起こったマルコヴィッチ事件で疑惑の最中にいた時期であり、容疑者として何度も取調べを受けていたアラン・ドロンは、精神的にも肉体的にも限界すれすれの中で撮影にのぞんでいたのでした。このマルコヴィッチ事件とは、アラン・ドロンのボディーガードをつとめていたステファン・マルコヴィッチ(31歳)が、10月1日に、公共のごみ捨て場で他殺体で見つかったことから端を発し、彼が、高級売春宿を経営していたこともあり、ドロンと、当時の妻ナタリー・ドロン、そして、客だったジョルジュ・ポンピドゥーを含め政府要人を巻き込む一大スキャンダルへと発展したのでした。

だからこそこの作品のアラン・ドロンは、疲労感に満ち溢れています(ただし、この男の恐ろしいところは、そんな絶体絶命の状況の中でも、悲壮感に満ちていないところです)。そして、そこにはまだ33歳とは思えない40代男に見えるアラン・ドロンがいるのでした。

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60年代のフランス映画は、コートで出来ていた。

オープニングでアラン・ドロンが着ているレインコート。

アラン・ドロンとジャン・ギャバン。

60年代ゴダール風のポップなインテリアと、イリナ・デミックの原色ミニワンピ。

アラン・ドロン・スタイル1
  • ベージュのレインコート
  • チャコールグレーのスーツ
  • ブラックレザーベルト
  • スカイブルーのシャツ
  • グレータイ
  • ブラックレザーの外羽根シューズ

アラン・ドロンというとびきりハンサムな俳優が、ただそれだけの存在で終わらなかった理由は、以下の三つの要素によってです。

  1. 育児放棄された不良少年であり、半ば「あしたのジョー」のような孤独な少年時代だった
  2. そのルックスを生かし、母親に対する憎しみがその後押しをして、女性を手玉に取ることに喜びを感じる青年期を過ごした果てに感化院送りになる
  3. 第一次インドシナ戦争(7万5千人のフランス軍兵士が戦死した壮絶な戦争)で、1954年のディエンビエンフーの戦いが終わった後に実戦部隊に投入され、本物の地獄の戦場を経験した

母親に対する歪んだ感情と、感化院の中での不良との交わり合い、そして、戦場での経験がアラン・ドロンに与えた影響は強く、そういった部分が絶世の美男子に、暗黒面を与えたのでした。アラン・ドロンが21世紀においても、男性にとってのタイムレス・アイコンである理由は、その暗黒面ゆえなのです。

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リノ・ヴァンチュラの魅力

ストライプのネイビースーツにポルカドットのネイビータイの組み合わせ。

恩師ジャン・ギャバンの前では、常に直立不動の姿勢でいたという昔気質の男リノ。

バルカラーコートをゆったりと羽織る男の色気。

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グランサンクの宝石が登場する。








40年ぶりに再会した旧友の二人は、今ではパリとニューヨークのマフィアのボスになっていました。40年ぶりに再会した二人が一仕事するのです。「もしこの仕事が上手くいきそうにないなら、何も言わずに別れて、40年後にまた再会して何かやろう」と言いながら・・・。これがジャン・ギャバンの持つダンディズムなのです。

イタリア・ローマのボルゲーゼ美術館で開催された宝石展示会に展示されているジュエリー・ブランドがこれまたすごいです。ショーメモーブッサンブシュロンカルティエヴァンクリーフ&アーペルといった具合です。