アクア ディ ジオ プールオム
原名:Acqua Di Gio Pour Homme
種類:オード・トワレ
ブランド:ジョルジオ・アルマーニ
調香師:ジャック・キャヴァリエ、アルベルト・モリヤス、アニック・メナード、アニー・ブザンティアン
発表年:1996年
対象性別:男性
価格:30ml/9,350円、50ml/11,550円、100ml/15,950円
公式ホームページ:アルマーニ ビューティー
世界で最も売れているメンズ・フレグランスのひとつ
1つのフレグランスに1年半かけても、商品化された香りは5番目に提出したものに戻ったりすることが多いのです。何度も実験する必要があるのです。「アクア ディ ジオ」では、何千回と試行錯誤を繰り返しました。ダンサーと同じで、完璧なものを得るためには、何度も何度も繰り返さなければならないのです。でも、千回目の試作が、最初の試作からそれほど離れていないことはよくあることなのです。
アルベルト・モリヤス
1995年に「アクア ディ ジオ」(エドゥアール・フレシェとフランソワーズ・キャロン)が発表されました。そして、翌1996年に発表されたメンズ・ヴァージョンである「アクア ディ ジオ プールオム」は、フィルメニッヒ社のジャック・キャヴァリエとアルベルト・モリヤス、アニック・メナード、アニー・ブザンティアンによって調香されました。
「私の最も成功した香水は、アクア ディ ジオ プールオムとロードゥ イッセイだろう」と、ジャック・キャヴァリエが自負するこの香水は、メロン系の香りをもたらす合成香料カロン(1966年に発見)を使用したマリンノートの代表作の一つです。
(日本を含め)ミレニアムをまたぎ世界的に大流行したアルマーニのロングセラーとなりました。
そんな「ジョルジオの水」は、ジョルジオ・アルマーニが毎年一ヶ月間ヴァカンスを過ごすパンテッレリーア島からインスパイアされた香りです。この島は、人口7500人の火山島であり、温泉はあるが河川はありません。そして、年間を通してシロッコ(サハラ砂漠からの温風)が吹きます。そんな小島の地中海に燦燦と降り注ぐ太陽とシロッコの風、鉱水と海水をイメージして作り上げられました。
私は今まで香りが完成した瞬間に、この香りは絶対に成功すると確信したことはありません。特に男性の香りにおいて、男性は伝統的に香りに保守的なので、未知なる男性の香りに挑戦することは、とてもリスキーなことなのです。
そんなリスクの中で生み出された「アクア ディ ジオ」も、まさか22年経ってもベストセラーであるなんて思ってもみなかったのです。
アルベルト・モリヤス
モリヤスが自薦する「史上最高のモテ香水」
ここだけの話ですが、私が今まで創造した香りの中で、もっとも女性に対して「その気にさせる効果があった」香りは、アクアディジオです。
アルベルト・モリヤス
年間2,000ものフレグランスが発売されるうち、多くはそのまま消えてしまいます。良いフレグランスは偉大な俳優のようなものです。色褪せません。「ロー ドゥ イッセイ」で私は新しい香りのトレンドを生み出しましたが、それが「別の場所で新しい香りを誕生させた」のでした。 「アクア ディ ジオ」です。
この香りは依然としてベストセラーであり、もし私が明日これを作ったとしても、必ず成功する香りでしょう。なぜなら、すべての偉大な香水と同様に、この香りには非常に認識しやすいノートがあるからです。私たちが決して忘れることのない名優の顔に似ています。
ジャック・キャヴァリエ
『水の第二革命』とも言えるこの香りが、21世紀に主流となるメンズ・フレグランスの流れを作りました。そのため発売当時斬新だったこの香りは、21世紀に入ると数々のクローン・フレグランスの中に埋没し、個性のない香りの典型になってしまうのでした。
つまりは、2023年において、とても過小評価されている香りのひとつです。であるにも関わらず(だからこそとも言える)、今でも世界的に最も売れているメンズ・フレグランスのひとつです。
そんな「GIORGIOの水」は、地中海のすべてを水だけで表現したように、地中海で収穫されるすべての柑橘類(特にレモン)が太陽に押しつぶされスプラッシュするようにしてはじまります。最初から大いなるカロンの息吹を感じます。
すぐにローズマリーを中心とした地中海のハーブのアロマティックなニュアンスが加わり、全体にプルプルするマスカットの果肉のような高揚感を与えてくれます。
火山岩にぶつかる海水のミネラル・パワーと共に、アクアティックなジャスミン(ヘディオン)とフリージアを中心とした軽やかな花々と、海沿いの樹木の香りがブレンドされた爽やかな芳香に包まれます。つまりは、合成香料カロンが生み出す〝太陽と海水と潮風と植物の賛歌〟です。
控えめに洗練されたこの香りの全体像を象徴するように、シダーを中心としたウッディ・ムスキーな温かな余韻で包み込んでくれます。間違いなくこの香りの隠し味は、ときどき感じることができるジューシーなパーシモン(柿)です。
アルマーニ版「オーソバージュ」
私にとって常に強い記憶を呼び起こす香りの筆頭として、「アクア ディ ジオ」の名が上がります。それは海や若い頃の自分など、バカンスを思い起こさせます。それでいて、とてもスタイリッシュなのです。
アルベルト・モリヤス
〝爽やかさ〟を香りで表現したような「アクア ディ ジオ プールオム」の画期的な所を端的に示すと、それは、マリンノートという隠れ蓑を使い、メンズ・フレグランスに大胆なまでのフローラルブーケを使用したところにあります。さらに言うとこの香りは明らかにディオールの「オーソバージュ」の系譜とも言えます。
最初のキャンペーンには、のちにフォトグラファーになったファッションモデルのラリー・ポール・スコット(1996-2007)がキャンペーンモデルをつとめ、パトリック・デマルシェリエにより撮影されました。
2008年から2012年にわたりファビアン・バロンのプロデュースの下で、ラース・バーマイスターがキャンペーンモデルとして、ピーター・リンドバーグにより撮影されました。
タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「アクア ディ ジオ プールオム」を「シトラスローズマリー」と呼び、「このフレグランスづくりに参加した調香師は、最高のオールスターチーム。モリヤスやメナード、ブザンティアン、キャヴァリエも名を連ねるのだけれど、できあがった香りは今ひとつ。水っぽいシトラスとウッディの香調にクッキングハーブをちょっぴりと。気合いが空回りしたのかも。」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:アクア ディ ジオ プールオム
原名:Acqua Di Gio Pour Homme
種類:オード・トワレ
ブランド:ジョルジオ・アルマーニ
調香師:ジャック・キャヴァリエ、アルベルト・モリヤス、アニック・メナード、アニー・ブザンティアン
発表年:1996年
対象性別:男性
価格:30ml/9,350円、50ml/11,550円、100ml/15,950円
公式ホームページ:アルマーニ ビューティー
トップノート:オレンジ、ライム、マンダリン・オレンジ、ジャスミン、ベルガモット、レモン、ネロリ
ミドルノート:パーシモン(柿)、シクラメン、ナツメグ、モクセイソウ、コリアンダー、ヴァイオレット、フリージア、ピーチ、ヒヤシンス、ローズ、ジャスミン、ローズマリー、カロン
ラストノート:アンバー、シダー、パチョリ、オークモス、ホワイトムスク