ヴェティヴェール オリエンタル(東洋のヴェチバー)
原名:Vetiver Oriental
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2002年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売(75ml/€260)

あなたが根暗であればあるほどうつくしく香るベチバー

©Serge Lutens
ヴェチバーは、奥底に秘められた潜在的な何かを呼び覚ます。
魔女の石と化した髪のごとく謎めいたヴェチバーの根から官能的な絹の温かさを見出す。
それは誇り高き東洋のベルベット。「コレクション ノワール」時代の公式ホームページより
セルジュ・ルタンスは、コロンをはじめとする男性向け化粧品の刺激的な香りを嫌悪していた。そこで彼は、石化した魔女の髪の毛のような、神秘的なベチバーの根に目を向け、温かくシルキーな香りを探求した。まさにベルベットのように滑らかなオリエンタルな香り!
「私は常に変化を切望してきた。子供の頃は家族を変えたいと思い、友人を変えたいと思い、ついには国さえ変えたいと思った。そして性別さえも変えたいと、すべてを変えたいと思っていた。このベチバーでさえもだ。ここではオリエンタルなベルベットに官能的な香りが溶け込んでおり、コロンの一成分として使われるベチバーとは見違える変化を見せている。タールのようなニュアンスを帯びたシスタスの香りを漂わせ、ワックスのように粘り気のあるベチバーは、それ自体が香りとして際立っている!」
現在の公式ホームページより
かつてセルジュ・ルタンスの「コレクションノワール」の中にひとくくりにされていた「ヴェティヴェール オリエンタル」は、2002年にクリストファー・シェルドレイクによって調香されました。
その名の意味は、フランス語で、「東洋のヴェチバー」です。
まず最初に、釣鐘形をしたオリジナルボトルにより、パレ・ロワイヤル本店限定で販売され、2004年から一般販売が開始され、その後、パレ・ロワイヤル本店だけで取り扱われている「レフラコンドターブル」コレクションのひとつとなっています。
すべてはベチバーのためにある香りです。
それは、眼鏡をかけた根暗な少女の奥底に眠る、美の息吹をかぎつけた魔女が、この少女の雨女のような湿った空気に、大人の女性としてのうるおいを、良くも悪くもレクチャーしていく、そんな道行きを香りで伝えてくれます。
あの根暗な少女が、ただ単に華やかさに目覚めるわけではなく、静かな佇まいの美しさに目覚める瞬間。
それはまるで眼鏡をおしゃれな形に変更し、黒髪をストレートに整え、ナチュラル・メイクと伏せ目がちな演出で、自分自身のキラーアティチュードを見つけてしまった、根暗な少女が、雨上がりの美少女へと覚醒していく香りなのです。
根暗な少女が、雨上がりの美少女へと覚醒していく香り

©資生堂
ハーブやシトラスの魅力を引き出す存在として、地味な役割に甘んじていたベチバー(たとえベチバーが主役のような名が付けられた香水であっても)が、ようやくその魅力を引き出される立場に立ったのです。でも主役になる気のない美少女の物語。
弾けるようなでもなく、爽やかなでもなく、溌溂なでもない、しめやかで清らかなアイリスとグリーンの樹液とほのかなアニスが蜃気楼のように素肌に広がっていく。そんなエレガントな静寂に包まれていくような感覚からこの香りははじまります。
すぐに雨上がりの土の香りを思わせるベチバーがおだやかに漂いはじめます。そしてオリエンタルの香りが到来します。アンバーとラブダナムがひとまとめになったとても神秘的な甘いオリンタルシャワーにベチバーは満たされてゆくのです。
そしてベチバーの甘くて苦くて香ばしいチョコレートの側面が解き放たれてゆきます。さらにスモーキーなガイアックウッドとクリーミーなサンダルウッドが香り豊かに広がり、ベチバーとオリエンタルが素肌の上で、完全に一つの世界を共有していく事になります。
それはまるで、地味な美少女が、スポットライトを浴びて、はにかみながら戸惑っているようです。華やかでもなく、自信家でもないベチバーだからこそ、この香りを身に纏うと、なにか秘められた力が呼び覚まされていくような、〝静かなる美のオーラ〟が内から目覚めていく、そんな不思議な感覚に満たされていくようです。
オリエンタルに包まれるベチバー、幽寂閑雅の調べに身を委ねていく

©資生堂
最初から最後まで、穏やかで美しい、でも平凡な美しさではなく、大地の自然のパワーに後押しされて、もっともっと自分が魅力的になれるような、幽寂閑雅の調べに身を委ねていくような香り、つまりは、実はこの香りは、あらゆる女性の『理想の男性』の香りとも言えるのです。
いつもあなたの隣で支えてくれる、包容力のある、穏やかで、優しくて、温かくて、芯は強いがあなたのためなら、どんなことも犠牲にしてくれる、そんな男性の腕の中に飛び込んでいくような、とほうもない安心感を感じさせる香りなのです。それは逆もまた真なりです。
タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「ベチバー アンバー」と呼び、「オリエンタルというが、オークモスの森の匂いが、飛びぬけて聡明なベチバーの香りになった。非現実世界のシプレのようである」
「おもしろいことに、アイリスとアンバーの香りを従えて、ベチバーがきりりと活きてくるのだ。もっとも肌につけると、すぐに香りのバランスを崩してしまうので、布につけたほうがいいだろう」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:ヴェティヴェールオリエンタル(東洋のヴェチバー)
原名:Vetiver Oriental
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2002年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売(75ml/€260)


トップノート:樹液、アイリスパリダ
ミドルノート:ベチバー、ガイアックウッド、ダークチョコレート、ムスク
ラストノート:アンバー、オークモス、サンダルウッド、ラブダナム

