N°5(No.5)オードゥ トワレット
原名:N°5 Eau de Toilette
種類:オード・トワレ
ブランド:シャネル
調香師:エルネスト・ボー
発表年:1924年?1952年?
対象性別:女性
価格:50ml/14,520円、100ml/20,350円
公式ホームページ:シャネル
軽やかに、人々を魅了する、香りの薄化粧。
1918年に、女性がもっと美しくなるための新兵器が開発されました。この新兵器は、女性が身だしなみを整える最後に身につける魔法の液体であり、〝あなたの存在を知る前に、相手を魅了する〟夢のような兵器でした。
の戦死者を出した第一次世界大戦(1914年7月28日-1918年11月11日)が終了し、アメリカ合衆国で〝狂騒の20年代〟が始まろうとしている1921年に、その兵器の名を「N°5」申します。それは花の香りではなく、女性の香りを調香して欲しいというガブリエル・ココ・シャネルの要望に応える形で、シャネルの初代専属調香師エルネスト・ボーにより生み出されました。このN°5の精神をもっとも体現しているのが「パルファム」です。その成り立ちについて、詳しくは「N°5シリーズの全て」をお読み頂ければ幸いです。
しかし、その一方で、3年後の1924年に発売されたオード・トワレは、サンダルウッドが際立つ軽やかな香りで、同じくエルネスト・ボーにより調香されました(一説によると、オード・トワレ版は1952年にシャネルの二代目専属調香師アンリ・ロベールにより調香されたとも言われています)。
それは、隙のないメイクアップでその美貌を輝かせていた絶世の美女が、日中、薄化粧で、また違った美しさを見せてくれるような、きらめくように軽やかなメイクアップの香りです。
〝官能の疼き〟ピーチが強く出るフルーティーなN°5
ベルガモットの煌めきと、(グラース産の)ネロリが絡み合い、生み出されていく輝きに、クリーミーなイランイランが溶け込んでいくようにしてこの香りははじまります。全体的にフレッシュな明るさに包まれたはじまりです。すぐにグラース産のジャスミンとローズドゥメが、アルデハイドと柔らかく発泡しながら広がってゆきます。
どこか授業参観で最も綺麗なお母さんから漂ってきそうな匂いのようです。年頃の少女たちの憧れの的であり、年頃の少年たちの青い衝動を駆り立てる〝教室にうっすらと広がる官能の疼き〟とも言えます。
涼しげな流し目のようなスズランが、熱っぽい空気を冷ましてゆきながら、パウダリーなアイリスとクリーミーなサンダルウッドが、うっとりするような清潔なるフローラルアルデヒドの余韻を満ち広がらせてゆきます。
1990年代以降に、この香りは再調香され、熟したピーチがより官能的に滴るフルーティーな香りへと変貌を遂げました。
ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「N°5 オードゥ トワレット」を「ピーチ調フローラル」と呼び、「ウッディ調のバイオレットがトップを際立たせ、ドライダウンはラクトニック・ピーチと、トワレの香りは1950年代の作風を思わせる。じつに美しい作品で、最近の「31 リュ カンボン」の真の先駆けであり、そして、永久に凛としている傑作というよりは、いくらか貴婦人を思わせるしとやかな感じである。」と5つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:N°5(No.5)オードゥ トワレット
原名:N°5 Eau de Toilette
種類:オード・トワレ
ブランド:シャネル
調香師:エルネスト・ボー
発表年:1924年?1952年?
対象性別:女性
価格:50ml/14,520円、100ml/20,350円
公式ホームページ:シャネル
トップノート:アルデハイド、ネロリ、イランイラン、ベルガモット、アマルフィ産レモン
ミドルノート:アイリス、オリスルート、ジャスミン、スズラン、ローズ
ラストノート:アンバー、サンダルウッド、パチョリ、ムスク、シベット、バニラ、オークモス、ベチバー