マリー・サラマーニュ
Marie Salamagne 1977年、フランス・パリ生まれ。一族の多くが医師である裕福な家庭で生まれる。イジプカで学び、フランスの香料供給会社シャラボでインターンシップを受けたときに、アン・フリッポに師事する。2001年からフィルメニッヒで働き、オリヴィエ・クレスプの下で働く。
現在は、ジョー・マローン・ロンドンにおいても、大活躍中。
代表作
アクア アレゴリア マンダリン バジリック(ゲラン)
アライア パリ(アズディン・アライア)
イストワール ド オランジェ(ラルチザン)
オーラ(ティエリー・ミュグレー)
トーキョー バイ ケンゾー(ケンゾー)
バイ ザ ファイヤープレイス(メゾン マルジェラ)
ブラック オピウム(イヴ・サンローラン)
フランジパニ フラワー コロン(ジョー・マローン・ロンドン)
ジョー・マローンの未来を背負う調香師
2019年5月現在、日本で最も勢いがあるフレグランス・ブランドが、ジョー・マローン・ロンドンであることを否定するフレグランス業界人は、一人もいないだろう。たとえ多くの販売員のフレグランスに対する知識が、香料のみを暗記した薄っぺらなものであろうとも、エスティローダー・グループの豊富な資金源と(的確であるかは別にして)拡大する店舗数によりその認知度は飛躍的に高まっています。
そんなジョー・マローン・ロンドンのここ最近の香りを多く調香しているのが、マリー・サラマーニュという40代前半の美貌の調香師なのです。彼女こそが、日本で最も売れているゲランのアクア・アレゴリア・シリーズである「マンダリン バジリック」を調香し、日本には入ってきていない幻の名香と言われるアズディン・アライアの「アライア パリ」とティエリー・ミュグレーの「オーラ」を調香した人なのです。
私の最初のフレグランスの記憶は、母親が愛用していたゲランの「シャリマー」と、父親が愛用していたクリスチャン・ディオールの「オー ソバージュ」の香りです。最初につけた香りは、10歳のときにつけた、タルティーヌショコラの「プチサンボン」でした。ティーンエイジャーの時には、英語を学ぶために毎年夏にアメリカに行っていたので、滞在先のホストファミリーのために、フランスの香水を象徴するものとして、いくつかのゲランの香水をお土産に持っていきました。
マリー・サラマーニュ
マリー・サラマーニュは、1977年にパリで、一族の多くが医師である裕福な家庭で生まれました。母親も父親も麻酔科医でした。幼い頃からダンスを学ぶ活発な娘であり、一方で、絵画を本格的に学ぶ培った芸術気質を持ち合わせていたマリーは、両親と同じように医学の道に進みました。子供の精神科医になるためにメディカル・スクールに進学するも、初年度を終えて科学を勉強するようになりました。
「科学は私にとってとても退屈なものでした。私は何か創造的なことをしたくてうずうずしていました」。そんな時にフレグランスのラボを訪れ、そこで遭遇したアンブロキシドに恋をしたことからマリーの調香師人生はスタートしたのでした。科学の学位を取得後、ISIPCA(イジプカ)で学び、フランスの香料供給会社シャラボでインターンシップを受けたときに、アン・フリッポの指導を受けます。
そして、2001年からフィルメニッヒで働くことになり、オリヴィエ・クレスプという素晴らしい師匠と出会い、今では超一流のスター調香師として大活躍しています。
オリヴィエ・クレスプが、フィルメニッヒに入社したときの私のメンターでした(彼から教わった最大のことは、良質な天然香料を生かすために調香を複雑にしないこと)。彼は本当にすばらしい人です。彼は常に若者の意見に耳を傾け、リスペクトを失わない謙虚な人です(現在もパリのオフィスで隣りあわせである二人は仲が良い)。
フィルメニッヒのトレーニングの時に、アルベルト・モリヤスの若々しい仕事に対する情熱に驚かされ、ジャック・キャヴァリエの誰よりも詳しい香料に対する知識に驚かされました。そして、ゲランの共に仕事をする機会が与えられたのでした。
マリー・サラマーニュ
マリー・サラマーニュ語録
物語性のある天然香料と、通常は男性用に使用される香料である樹脂、アンバー、ウッド、パチョリとシトラスが私のお気に入りです。中でもパチョリが一番のお気に入りです。特に旅から香りのインスピレーションを得ます。そして、子供時代の香りの記憶も私が調香するときにとても重要なきっかけとなります。
私は何よりもゲランのシャリマーを愛します。私にとってそれはもはや神聖なものとさえ言えます。私は神を分析しません。だからこそ、シャリマーを分析したりはしません。その香りが好きかどうかに関して言葉は必要ないと考えます。
私が好きな香りを5つあげるとするならば、パチョリ、パテ、グリシン(アミノ酸)、パンの皮、生まれたばかりの私の子供の頭の香り(それは3週間しか続かなかった)です。
私がひとつのフレグランスを作るためにかける時間は、平均14ヶ月から18ヶ月間です。
私の最もお気に入りのボトル・デザインはメゾン・マルジェラのレプリカ・コレクションです。
私はゲランのジッキーのような大胆不敵かつウルトラ・フェミニンな香りを作りたいと願っています。それは香りの持つエレガンスを究極に追求した香りです。