エディター・プロフィール:圭子・スカイウォーカー
生年月日不明。性別不明。国籍日本。見た目は30代前半、身長170cmくらい。藤圭子にすごく似ている。ラグジュアリー・ファッションに対する情報の幅の広さから、恐らく現役の関係者と推測される。本人とのやり取りはメールと電話と二度っきりの会見のみ。口癖「ファッション誌はあてにならないので読まないわ」。大好きなものは「ダイアン・アーバスの写真とニーナ・シモン」、最も嫌いなものは、「SNSに夢中な女子と、プチプラ自慢する人たち」とのこと。(長谷紅記) |
19.ボッテガ・ヴェネタ
私たちはあまりにもボッテガ・ヴェネタの真の実力を知らなさすぎるの。それはファッション誌における扱いの低さからも影響を受けているんだけど、明らかにこのブランドは、ブランディング能力の低さによって、多くのお客様を取りこぼしているの。これだけは断言できるの、ボッテガの真の実力は、グッチやディオールの実力に匹敵しうると。 |
ボッテガ・ヴェネタが今、販売力の強化を図っているらしい。相変わらず眠たそうな男性販売員の制服は兎も角として(このブランドの最大の弱点は、その野暮ったさにある。イントレチャートという天下の宝刀を持つブランドだからこそ、今までは、ボッテガ・マニア以外のハイセンスな客層を掴む必要性に迫られていなかったが、どうやらこれからはそうではないらしい)、明らかに他ブランドを意識した、他ブランドとも相性の良いデザインへと方向転換しているボッテガ・バッグの数々を、今までボッテガに興味のなかった客層にアピールしていきたいという意図が見受けられるの。
もしかしたら、2018年に最高のラグジュアリー・バッグのラインナップを揃えているブランドは、ルイ・ヴィトンでもシャネルでもグッチでもなく、ボッテガ・ヴェネタかもしれないと言い切れる程に、魅力的なバッグ(マイナーチェンジも含めて)で溢れかえっているボッテガ・ヴェネタ。
ボッテガ・ヴェネタ=「ベネチアの工房」を意味するそのブランドの歴史は、1966年にイタリアのヴィチェンツァで創立という風に、意外に浅いのよ。1975年にイントレチャートと呼ばれる特徴的なレザーの編み込み技法を開発し、そのソフトな肌触りのレザーの質感のセンセーションによって、1970年代から80年代にかけて隆盛を極めたのも束の間、90年代からミレニアムにかけて、ブランド力急転落下していったの。
そして、2001年2月、グッチ・グループに買収されたボッテガは、トム・フォードによって任命された、(エルメスで9年間女性服とレザー製品のデザイナーをしていた)トーマス・マイヤーがクリエイティブ・ディレクターに就任することにより、有名なスローガン「自分のイニシャルで十分(“When your own initials are enough”)」を再び掲げ、ブランドのロゴを前面に出さない、かつての伝統に立ち返り、10年間で800%の売上高を上げることに成功したの。今では、2018年12月に、ディオール銀座(現在ギンザ・シックスに移転)の跡地に旗艦店をオープンするまでの大躍進を遂げているの。
ヴェネタバッグ ラージ 349,920円 ★★★★★
イントレチャートで構成された、ハンドルとバッグの胴体が一体化したホーボーバッグ「ヴェネタバッグ」は、ブランドのシグネチャーバッグのひとつよ。
開閉が若干不便なことを除くと、軽量で、すこぶる使い勝手の良いバッグなの。素材は、ソフトナッパレザーを使用しており、肩がけすると吸い付いてくるようなレザーの感触にかなり病み付きになるはず。上質なバッグを持つということは、レザーと身体を交わせるということだという意味がよく理解できるバッグよ。