ウォンテッド
原名:Wanted
種類:オード・パルファム
ブランド:ヘレナ・ルビンスタイン
調香師:ドミニク・ロピオン、カルロス・ベナイム
発表年:2009年
対象性別:女性
価格:50ml/9,350円
ヘレナ・ルビンスタインの最初で最後のフレグランス
オーストリア=ハンガリー帝国の領土だったクラクフ(ポーランド)に生まれた貧しいユダヤ人の女性は、18歳の時、叔父を頼りオーストラリアに移り住み、化粧品の第1号となった美容クリーム「ヴァレーズ」を販売し、6000万ドルのビューティー帝国を築いていくことになりました。この女性の名をヘレナ・ルビンスタイン(1872-1965)と申します。
身長147cmの小柄な女性である彼女は、現在のあらゆるビューティ・ブランドが行っているビューティーマーケティングの核心となる要素、つまり美しいパッケージとラッピング、著名人の推薦、疑似科学、ブティックのようなコスメカウンターを組み合わせた方法を考え出したのでした。
彼女の死後、1988年にロレアルの傘下に入ったヘレナ・ルビンスタイン。このビューティー帝国から1902年のブランド創業以来最初で最後となる香水が、2009年に発売されました。その名を「ウォンテッド」と申します(実際のところ、1985年から約25年ぶりの香りとなるがブランドの公式発表では、ブランド初香水とアナウンスされている)。
「Brilliant Women(輝く女性たち)」という40代以上の女性を表現したビューティー・テーマに沿って、〝All you’ve ever wanted(あなたが今まで望んでいたすべて)〟の意味を持つこの香りは、ドミニク・ロピオンとカルロス・ベナイムにより調香されました。
デミ・ムーアがミューズをつとめた〝40代以上の女性〟のための香り
2007年1月26日にヴェルサイユ宮殿の『戦闘の回廊』で開催された豪華な晩餐会と共に、ブランドのミューズに就任していたデミ・ムーア(1962-)により大々的なキャンペーンが行われました。撮影は、マート・アラス&マーカス・ピゴットにより行われました。
ディオールがその究極形態へと導いたビューティーマーケティングを生み出したブランドとして、「高価な商品にしかお金を払いたくない女性がいる」という明確なターゲット層を対象にした香水を生み出すべきだった、ヘレナ・ルビンスタインが、デミ・ムーアという広告塔に多大なる予算を割いてはいるが、なぜか商品自体は低価格で販売してしまい、失敗した香りです。
愛し合う2人の愛のエクスタシーを象徴している光り輝くボトル・デザインは、「ジャドール」のボトルを作り上げた宝飾デザイナーのエルヴェ·ファン·デル·シュトレーテンによるものです。
マグノリアとイランイランの洗練された香り
マグノリアと木が生み出す中毒性、イランイランが生み出す光、アイリスが生み出す官能性に満ちた男性を愛する女性の物語からインスピレーションを得ました。
ドミニク・ロピオン
「私たちはみんな、求められたいと思っている」という思いが込められているこの香りは、情熱が渦巻くようなジューシーなオレンジからこの香りははじまります。
すぐにフレッシュかつクリーミーな二つの花々が到来します。マグノリアとイランイランです。パウダリーなアイリスが、それぞれの花々に、華やかさを与えてゆき、エアリーなエレガンスも付け加えてゆきます。
やがて、ソフトなサンダルウッドとシダーとバニラに甘く温められ、素肌にとけこむフェイスクリームのように、洗練されたイエローフローラルのほのかな余韻を残してくれます。
香水データ
香水名:ウォンテッド
原名:Wanted
種類:オード・パルファム
ブランド:ヘレナ・ルビンスタイン
調香師:ドミニク・ロピオン、カルロス・ベナイム
発表年:2009年
対象性別:女性
価格:50ml/9,350円
トップノート:マンダリン・オレンジ、ブラックペッパー、プチグレン
ミドルノート:イランイラン、マグノリア、ガーデニア、ジャスミン
ラストノート:アイリス、バニラ、ヴァージニア・シダー、サンダルウッド